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2011年12月5日(月)

主張

農業再生

TPP参加とは両立しない

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 日本農業は農業者の高齢化が進み、耕作放棄地が全耕地の1割にものぼるなど危機に直面し、農業再生は待ったなしの課題です。このなかで、野田佳彦政権は環太平洋連携協定(TPP)への参加に足を踏み出しました。「例外なき関税撤廃」が前提のTPPへの参加は、農業に壊滅的打撃を与えるとともに、農業再生の展望をおおもとから破壊するものです。

大規模化を露払いに

 野田政権は、農業危機の原因にふれないまま、農家1戸当たりの平均耕地面積を現在の10倍以上に拡大する大規模化を農業改革の柱にすると決めました。その方針は、歴代自民党政権が失敗を重ねた「構造改革」路線と変わりません。大規模化を無理やり進めれば、生産を担う農業者を追い出し、農業をさらに疲弊させます。

 重大なのは、大規模化をTPP参加の露払いにする意図を鮮明にしていることです。野田首相は、高レベルの経済連携と農業再生は「両立できるか、できないかではない。しなければならない。マスト(絶対)だ」と述べ、TPP参加が前提だと強調しました。

 大規模化で国際競争力をつければ「両立する」というのが野田政権の主張です。しかし、耕地面積は国土の条件に左右されるもので、その拡大には限界があります。TPPに参加する米国の1戸当たり耕地面積は日本の99倍、オーストラリアは1902倍にのぼり、政府の目標が達成できたとしても対等な競争など不可能です。

 日本農業の衰退をもたらした最大の要因は、歴代の政権が米国と財界の要求に応じて食料輸入を次々に自由化し、輸入への依存を強めてきたことにあります。日本の農産物の平均関税率は11・7%と、米国に次いで世界で2番目に低くなっています。食料自給率は39%と主要国で最低の水準にまで落ち込んでいます。自給できるコメをはじめ乳製品や砂糖などまで明け渡すTPP参加は、農業再生にとって最悪の選択です。

 食料自給率の50%以上への引き上げは全国民的な要求であり、民主党政権も50%の目標を掲げ続けています。その実現には、農産物貿易を市場メカニズムだけに任せず、自国の必要に応じて食と農業のあり方を決め、関税や輸入規制の国境措置をとることができるよう、経済主権と食料主権を確立することが不可欠です。

 同時に、工業と違い自然の制約を受ける農業の再生には、経営を安定して持続できるよう保障することが不可欠です。現実には、農畜産物の生産者価格が再生産費を割り込み、農業経営が成り立たない実態が広がっています。若い人たちが農業に参入しないのも、他産業なみの所得を得られる見通しがもてないためです。

日本の条件を生かして

 農業の持続的な再生産を保障するには、農産物価格を一定の水準で支える価格保障が必要です。さらに、農業の環境保全機能などを守る所得補償を組み合わせることも重要です。

 日本には温暖多雨な自然やすぐれた農業技術、安全・安心な食料を求める消費者ニーズなど、農業の発展に必要な条件があります。これらを生かすことで農業の再生は可能です。その第一歩として、TPP参加に「ノー」をつきつけることが不可欠です。


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