2011年12月3日(土)
バス代 関電 丸ごと負担
“自民国会議員後援会ご一行様”
行き先は 美浜原発
自民党衆院議員の後援会の旅行で、関西電力が参加者の交通費を負担していたことが2日、本紙の取材でわかりました。美浜原発と議員の地元を往復400キロの送迎という手厚い交通費の負担は政治資金規正法の寄付行為にあたる可能性があります。(矢野昌弘)
寄付に該当 「規正法」違反の疑いも
関西電力の交通費負担がわかったのは、自民党の竹本直一衆院議員の政治団体「竹本直一後援会」が2008年12月に開催した「12/14美浜原子力発電所視察旅行」です。
政治資金収支報告書と領収書によると、この旅行は宿泊をともなったものでした。約20人から40人規模の参加者があったとみられます。一行は美浜町内の旅館に宿泊しています。
“理解のため…”
旅程は、竹本議員の地元、大阪府富田林市から関西電力美浜原発がある福井県美浜町にいくもの。片道200キロの距離があり、旅行の中身に、原発視察以外のものも含まれていた可能性があります。
関電は「当社がバス費用の負担を行った」と認めたうえで、交通費を支出した理由について「美浜原発の安全性への理解を深めていただくため」としています。
今回のケースに当てはめて観光バスを1泊2日でチャーターした場合、「スペシャル料金」と銘うった会社のものでも相場は11万円から12万円ほど。
総務省は、「個別の事例について断定できないが、政治団体にたいして(バスの提供などの)労務の無償提供は政治資金規正法の寄付に該当する」(政治資金課)としています。
報告書記載せず
「竹本直一後援会」の政治資金収支報告書に、関電からの寄付の記載はありません。しかも政治資金規正法では、政党支部以外への企業からの寄付は禁止されています。今回の交通費負担は、二重の規正法違反にあたる疑いがあります。
本紙の取材に竹本議員の事務所は「政治資金規正法にのっとり、適正に処理をしており、政治資金収支報告書は全て開示されております」と回答。
関西電力の担当者は「原発の理解促進のため行う見学については、バス代を当社が原則負担している。しかし、見学に関する交通費の負担は政治資金規正法の寄付行為に当たらないと考えています」としています。