2011年12月2日(金)
港湾泥から87万ベクレル
福島第1 取水口付近に沈殿
東京電力は1日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)港湾内の1〜4号機取水口付近の海底の泥から、最大で1キログラム当たり87万ベクレルのセシウム137を検出したと発表しました。文部科学省の環境放射能調査によると、福島第1原発事故が起こる前の2009年度に14道府県周辺の海底土に含まれていたセシウム137の濃度は最大で1キログラム当たり3・9ベクレルでした。福島第1原発港湾内で最も高かった1〜4号機取水口付近南側の値は、その22万3000倍に相当します。
セシウム137が大量に
東電は、2号機と3号機の取水口付近から4月と5月に流出した高濃度放射能汚染水に含まれるセシウムが沈殿したとみています。今後、港湾内に船が出入りする際に拡散しないよう、浚渫(しゅんせつ)などの対策を考えるといいます。
11月24、25日に1〜4号機取水口付近の3カ所など港湾内の9カ所の海底から泥を採取しました。取水口付近の海底の泥の採取は初めてで、3カ所からは、半減期(放射能が半分に減るのに要する期間)が約30年のセシウム137が1キログラム当たり19万〜87万ベクレル、半減期が約2年のセシウム134が15万〜73万ベクレル検出されました。
東電が高濃度放射能汚染水の流出後に、汚染水が広がらないようにと設置した「シルトフェンス」外側の物揚げ場前でも、セシウム137が同6万2000ベクレル、セシウム134が同4万9000ベクレル検出されています。
東電は、今回の調査地点から選んでストロンチウム、プルトニウムについても調査するとしています。
一方、2号機と3号機取水口付近の海水に含まれる放射性物質の濃度を測定しています。30日に採取した2号機取水口付近の海水からセシウム137では1リットル当たり270ベクレルで、国の基準の3倍を検出。3号機取水口の海水からはセシウム137で同230ベクレル、国の基準の2・6倍が検出されています。
2号機と3号機から海に流出した放射性物質の量は、東電の推定によると、2号機から4720兆ベクレル、3号機から20兆ベクレルとされており、大部分が港湾外へ出ています。東電は、港湾内に残っている放射性物質が外洋へ出ないために、シルトフェンスや鋼管矢板などを設置してきました。