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2011年11月25日(金)

原発敷地に活断層多数

青森・東通 専門家が分析

存在否定の会社説明覆す

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 東通(ひがしどおり)原発(青森県)の敷地内に多数の活断層が存在することが確実だとする分析結果を東洋大学の渡辺満久教授(変動地形学)らの研究チームがまとめました。25日から千葉大学で開かれる日本活断層学会の学術大会で詳細を発表します。


 東通原発は、東北電力の1号機が2005年に営業運転開始(定期検査で停止中)。東京電力が1号機の建設工事を今年1月に開始したほか、両電力はそれぞれ2号機の建設を計画しています。敷地内には多数の断層が確認されていますが、これまで両電力は「耐震設計上考慮する必要がある活断層ではない」としてきました。

 研究チームは今回、両電力が政府に提出したトレンチ(試掘溝)調査結果を分析。12万年前や10万年前にできた比較的最近の地層を、切断したり変位させる断層が多数確認されました。それらが活断層の存在を暗示する変動地形に沿って存在していることからも、活断層である可能性が高いと結論づけました。

 東北電敷地内の「s―14断層」では、12万年前の地層が3メートル以上ずれており、その地層を覆う、より新しい年代の「洞爺火山灰」層でも明瞭な逆断層による変位が確認されました。また数キロメートルにわたって延びる活断層も認定されました(図)。東電側の敷地内でも、原子炉建設予定地の直近を含め、ほぼ確実に活断層と認定されるものが複数ありました。

 両電力は、切断・変位を断層活動によるものと認めず、劣化した岩盤が地下水を吸収・膨張(膨潤作用)するなどして形成されたと説明しています。

 渡辺さんは「膨潤作用という現象そのものは知られているが、同じ岩盤の片方だけが膨れ上がって3メートルもずれることは考えにくい。断層運動ではないと結論づけるのは誤りだ。もし両電力の解釈が正しいとすると、これまでの活断層研究をすべて見直さねばならず、専門家として見過ごせない」と話しています。


解説

巨大断層との連動も

甘い評価と国審査に責任

 原子炉近傍の活断層が動けば、地震の揺れによる被害に加え、地盤がずれることによる配管破断などの機器損傷が心配されます。

 東通原発敷地内で確認された活断層は、下北半島の沖合にある長さ約84キロメートルの巨大断層「大陸棚外縁断層」が活動する際に動く“お付き合い断層”である可能性もあります。大陸棚外縁断層は、六ケ所断層とつながっている可能性があり、その場合には長さが約100キロメートルとなりマグニチュード8級の地震が起きる可能性も指摘されています。

 大陸棚外縁断層は、『新編日本の活断層』(東京大学出版会)などで活断層として認定されているにもかかわらず、電力会社は活動性を否定。耐震安全上、考慮してきませんでした。今回の調査結果は、東通原発だけでなく大間原発や六ケ所村の再処理工場など、下北半島の原子力施設の耐震安全性にたいして重大な疑問を投げかけています。

 電力会社による断層の活動性の評価の甘さとともに、原発の建設・運転を認めてきた国の審査の責任が問われる事態です。

 敷地内の断層をめぐっては、新耐震設計指針にもとづく東北電力1号機の評価見直し審議のなかで一部の専門家から疑問の声が上がっていました。経済産業省原子力安全・保安院は今月11日に、「説明が不十分」として東北電に再評価を指示。東北電は来年3月に結果を報告します。

 福島第1原発事故では、地震・津波にたいする過小評価が深刻な事態を招くことを浮き彫りにしました。国と電力会社は、渡辺さんたちの研究チームの調査結果を真剣に受け止め、同じ過ちを繰り返さないため、再稼働・建設計画から撤退すべきです。 (中村秀生)

図

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