「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2011年11月25日(金)

日本の裁判権行使に考慮

米側、軍属「公務中」犯罪で

「被害者死亡」などに限定

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 玄葉光一郎外相は24日夕、外務省で記者会見し、在日米軍に勤務する軍属による「公務中」の事件・事故で、日本人被害者が死亡またはそれに類する被害を受けた場合、日本側の裁判権の行使の要請に対し米側が「好意的考慮」を払うとする日米地位協定の運用改善を行うことを、23日の日米合同委員会で米側と一致したと発表しました。


 外相はまた、今回の合意に基づき、今年1月に沖縄市で「公務中」の米軍属が交通事故を起こし、当時19歳の與儀功貴(よぎこうき)さんを死亡させた事件で、裁判権の行使を要請して米側が同意したことを明らかにしました。

 日米地位協定は、米軍人・軍属による「公務中」の犯罪は米側に第1次裁判権があると規定。米側が「公務証明書」を発行すれば日本の検察当局は不起訴にしてきました。この場合、米軍人は軍法会議で裁かれますが、軍属は米最高裁判決により平時での軍法会議にかけることが禁じられているため、2006年9月から10年にかけて、少なくとも62件、日本でも米国でも裁判を受けない事態が生まれていました。

 1月の沖縄市での交通死亡事故でも、軍属は帰宅途中で「公務中」とされ、那覇地検が不起訴を決定。容疑者の軍属は軍法会議にかけられず、5年間の運転禁止の懲戒処分を受けただけでした。このため沖縄県内では怒りの声が噴出し、那覇検察審査会も、「起訴相当」の議決をしていました。

 今回の合意は、日米地位協定の改定ではなく、個別の事件・事故ごとに日本側が裁判権の行使を要請し、これに米側が「好意的考慮」を払うというもので、要請すべてに応じる保証はありません。

 また、今回の合意は、沖縄での事件を除いて23日以前については適用されません。

写真

米側の“好意”で左右

 米軍属の裁判権問題を追及してきた日本共産党の井上哲士参院議員の話 「公務中」を理由に、在日米軍の軍属の犯罪が誰からも裁かれないことに、沖縄県民、国民が怒りの声をあげ、そうした世論の広がりのなかで、日米当局が一定の対応をせざるをえなかったものです。しかし、今回の合同委の合意は、犯罪をきわめて限定し、米側に第1次裁判権を認めたまま、米側の好意的な考慮によって対応が左右されるものになっている。これでは根本的な解決にならない。米軍属が軍法会議にもかけられないのだから、日本が第1次裁判権を持つのが当然です。日本側が厳正に裁判権を行使することを明確にすべきです。


 軍属 軍人以外で軍隊に所属し、軍の事務や技術・法務・語学など専門業務を行う職員。英語でシビリアンと呼ばれます。在日米軍には、昨年9月現在で7824人が所属しています。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって