2011年11月23日(水)
牛肉・自動車・郵政 米国、日本に攻勢
TPP事前交渉
野田佳彦首相が日米首脳会談、アジア太平洋経済協力会議で環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加表明をしたことを受け、米国政府はさっそく、牛肉、自動車、郵政などで日本に攻勢をかけようとしています。
日本がTPP交渉に正式参加するためには、米国、オーストラリアなどTPP交渉参加9カ国すべての同意が必要です。このうち米国は議会の承認が必要です。米国政府は、新規交渉参加国との交渉開始の少なくとも90日前までに、議会に交渉開始の意図を通知しなければなりません。議会への通知は「ある程度、議会との調整、協議が進んでから行われる」「これに必要な時間は個別の交渉ごとにさまざまであり、決まっているわけではない」(日本の外務省)。一方、日本は交渉参加を交渉参加国に通報、説明し、同意取り付けのための調整、協議を行うことになります。野田首相が「TPP交渉参加に向け関係国との協議に入る」と表明(11日)したことは、このことをさします。
日本政府は年内にも米国との事前協議に入る方向で調整中です。カーク米通商代表は11日の記者会見で、日米の事前協議の議題の例として、米国産牛肉と自動車の市場開放、日本郵政への優遇措置の三つをあげました。月齢20カ月以下に限定している米国産牛肉の輸入規制について日本はすでに30カ月以下に緩和する方向で検討に入っています。米国はさらに輸入規制の完全撤廃を求めてくる可能性があります。自動車について米政府は燃料電池自動車など新技術を使った自動車を日本に輸出するさいの安全基準や規制の緩和を迫っています。郵政について米政府は日本郵政グループの競争上の優位性を完全に撤廃し、保険と銀行サービスで民間金融機関と対等な競争条件にすることを求めています。
9カ国によるTPP交渉では24作業部会で21分野について協議が行われており、事前協議でも農産物、食の安全、医療、政府調達など広範なテーマについて、日本は米国基準に従うかどうかを迫られることになりかねません。
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