2011年11月23日(水)
主張
3次補正成立
復興と徐染・賠償に本腰を
東日本大震災の復興、原発災害の除染費用などを盛り込んだ第3次補正予算が成立しました。
かつてない大災害です。古い政治の枠組みを根本から見直し、大胆に財源を確保して、文字通り本腰を入れて取り組まなければ乗り越えることはできません。
除染費用は福島・飯舘村だけでも3224億円と試算されているのに、3次補正が計上した予算はわずか2400億円です。除染費用は来年度予算案を含めても1・2兆円にすぎません。やる気を疑わせる予算です。
旧来の枠組みを超えて
民主党政権が月内の成立をめざす3次補正の財源確保法案は、25年間で8・8兆円の庶民増税を盛り込み、法人税にも3年間の「付加税」を課すとしています。しかし政権は、財界の要求に従って、大震災前に計画した法人税減税を来年度から実行しようとしています。法人税の「付加税」は法人税減税の一部を3年間だけ停止するにとどまります。大企業には「付加税」の3年間も実質減税、その後は年間1・2兆円の大幅減税が約束されます。
「庶民に増税、大企業に減税」―。旧来の自民党政治のやり方そのものです。庶民増税による税収は大企業減税に吸い込まれ、復興財源は1円も生まれません。
「思いやり」予算など米軍関連経費と政党助成金を中止すれば、それだけで25年間で8兆円以上の財源をつくれます。法人税減税と証券優遇税制をやめれば、25年間で42兆円の財源を生み出せます。財界の利益と米軍優先の古い枠組みを打ち破れば、復興をしっかり支えることができます。
原発事故の賠償と除染の費用は第一義的には原発事故を引き起こした東京電力が負担すべきです。電力業界、原子炉メーカー、大手ゼネコン、鉄鋼・セメントメーカー、大銀行など原発で大もうけしてきた「原発利益共同体」にも負担を求めるべきです。
こうした抜本的な財源策に踏み切るどころか、3次補正は東電救済の枠組みである原子力損害賠償支援機構の税金投入枠を2兆円から5兆円に拡大しています。すでに政府は東電への8900億円の税金投入を認定し、同機構が15日、そのうち5587億円を東電に交付しています。本末転倒のやり方では、必要な財源を確保することはできません。
「原発埋蔵金」の活用を
除染と全面賠償の費用は膨大です。日本共産党は、東電をはじめ電力業界が核燃料サイクル計画のために積み立てている「再処理等積立金」など巨額の「原発埋蔵金」の活用を提案しています。
政府は再処理工場を40年間運転するという虚構を前提に核燃料サイクルや放射性廃棄物の処理、廃炉の費用を19兆円と見込んでいます。その大半は電力会社が電気料金をもとに「再処理等積立金」などとして2020年までに積み立てる計画です。16日の枝野幸男経産相の答弁によると10年度末の残高は5兆円余に達しています。
この「原発埋蔵金」を、新たに設ける「基金」に移し、「原発利益共同体」にも「基金」への拠出を求めて除染と賠償の費用に活用するという提案です。
巨額の財源を賄う抜本策に踏み切って、復興と除染、賠償に本腰を入れてとりくむよう求めます。