2011年11月23日(水)
公務中の米軍属犯罪 法相が「米と協議」
井上議員 「日本に裁判権 明確に」
平岡秀夫法相は22日の参院法務委員会で、在日米軍の軍属による犯罪が日本で裁判にかけられない問題について、「国民が納得できる解決策を(米国と)協議している。問題意識は持っている」と答え、日米両政府が協議を進めていることを明らかにしました。日本共産党の井上哲士議員への答弁。また、外務省の伊原純一北米局長は、公の催事で飲酒後に運転し事故を起こしても日本で起訴できない問題についても、「(解決にむけ)早期に結論が出せるよう日米間で協議している」と答えました。 (関連記事)
日米地位協定は、米軍人や軍属の犯罪について「公務中」の場合は、米国が第1次裁判権を持つことを定めています。しかし、法務省が井上氏に提出した資料によれば2006年9月から10年にかけて発生した在日米軍軍属の犯罪62件中、軍法会議にかけられたものはゼロで、27件は懲戒処分すらされていません。
井上氏は、「国民の安全が脅かされている。米国では誰も裁いていないのだから裁判権は日本で行使すると毅然(きぜん)と対処すべきだ」と主張しました。
また、地位協定運用の見直しで例外的に日本側に裁判権を移すことが伝えられているが、「そんなあいまいなことでなく、軍属については日本側に裁判権があると明確にすべきだ」と強調しました。
改善に向け詰めの協議
外相が表明
玄葉光一郎外相は22日の記者会見で、米側に裁判権がある在日米軍の軍属による事件・事故の裁判が行われず、事実上不問に付されている事例があることを受け、改善に向けて米政府と詰めの協議に入ったことを明らかにしました。
外相は、米軍属が公務中に罪を犯した場合、米側に裁判権があることについて「ありとあらゆる事態でそういうことでいいのかどうか、問題意識を強く持っている」と述べました。外相は近く沖縄県を訪れ、政府の取り組みを説明する方針です。
軍属 軍人以外で軍隊に所属し、軍の事務や技術・法務・語学など専門業務を行う職員。英語でシビリアンと呼ばれます。在日米軍には、昨年9月現在で7824人が所属しています。