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2011年11月20日(日)

憲法と復興・原発 焦点に

「九条の会」全国交流集会開く

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(写真)よびかけ人のあいさつを聞く九条の会第4回全国交流集会参加者=19日、東京都千代田区の日本教育会館

 「九条の会」の第4回全国交流集会が19日、東京の日本教育会館で開かれました。3年ぶりの開催となる集会に、東日本大震災の被災地や沖縄など全国各地の代表が参加し、草の根の活動経験が持ち寄られました。震災復興や原発問題と憲法のかかわり、新たに強まりを見せる改憲策動にどう対抗するかなどをめぐって、会場いっぱい750人の参加者が熱気にあふれる経験交流を行いました。

 全体会の冒頭に、呼びかけ人で作家の大江健三郎さん、憲法学者の奥平康弘さん、作家の澤地久枝さんがあいさつ。大江氏は「福島で起きていることが二度と起きないように全力を尽くすことは、核を持たないという憲法文化につながる」と指摘。奥平氏は、改憲策動が再び強まっているとし、「あらためて気を引き締め直してたたかう必要がある」と語りました。澤地氏は「改憲の黒い野心をどうするかは、結局、私たちの手の中にある」と話しました。

 「福島九条の会」事務局長の真木實彦氏は、原発事故被害の実態を告発。「人権と生存が破壊されている中で、9条の会自身が原発問題に取り組まなければならないと議論してきた」と述べました。福島第1原発から12キロにある福島県小高町の九条の会の中里範忠氏は、「事故でバラバラにされた人びとの絆をいかに紡ぐか」という問題意識から、関係者・住民の安否、所在などを載せた通信誌の発行を続けて共感を広げてきたと紹介しました。

 東京の国際基督教大学の「ICU九条の会」の学生は「3・11以降、学生の間で原発問題をはじめ政治への関心は高まっている」と発言しました。

 沖縄県大宜味村の「憲法九条を守る会」の平良啓子さんは、高江ヘリパッドや辺野古新基地の建設阻止行動などをたたかう中で会員が100人となったと報告。「憲法九条を守る首長の会」の森久一・元宮城県山元町長は、津波被害のすさまじさを語りつつ、宮城県内の首長経験者14人で発足した同会を「来年には全国組織に広げたい」と意気込みを語りました。


「九条の会」全国交流集会 3氏のあいさつ

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「憲法文化」の心で 大江 健三郎さん

 自民党の国会議員が“原発をなくすのは潜在的な抑止力をなくすこと”と言いました。(原発は)核で相手を脅し、使用を思いとどまらせる武器だといっている。(日本は)憲法で武装しないといってきましたが、現に核爆弾をつくることができるし、それは核武装しているということです。

 憲法ができる前段階で日本人は、長崎、広島で大きな被害を受けました。核を用いられ、それを繰り返すことはしないと考えているのが「憲法文化」です。核を持たないと自覚しているのは大きな文化です。

 そこに、戦後のマイナスの要素がもう一つ加わったのが、福島(原発事故)です。子どもが内部被ばくでどうなるのかわからない。不安で生きていかねばならないのは、マイナスの遺産です。(戦後)50〜60年、蓄えてきた力で、福島で起こっていることを最小限にとどめて、もう一度起こることがないように全力を尽くすことが「憲法文化」的な仕事です。

原発への意思表示 澤地 久枝さん

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 6月に足を複雑骨折して寝ていたら、“自分という存在はこんなに軽い哀れなものなのか”と鬱(うつ)になってしまいました。

 ところが、9月19日の明治公園での「さようなら原発5万人集会」で本当に感動して元気になりました。5万人どころか、6万人の発表でも少ないぐらい集まり、道にも人があふれました。堕落したマスメディアも報道しました。ともかく“原発を止めよう”とこれだけの人が思いを一つにして集まったのを見て、“日本もまだ捨てたものではない”と強く実感しました。憲法を変えようという黒い野心をつぶせるかどうかは、結局私たちの手の中にある権利なのです。

 生存権を認める憲法のもとで、福島の子たちや現場の労働者が毎日被ばくしています。憲法を守ることは、原発への意思表示とつながっています。“日本はいま世直しを求められている。変えなければいけない”と思います。

「亡霊」とたたかう 奥平 康弘さん

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 現在、憲法審査会を発足させ、(憲法改正)原案づくりで、「今を逃したらダメだ」という判断なのか、ピッチを上げています。“眠っていた問題”が、3・11を機軸にして出てくる可能性を認識する必要があります。

 9条だけでなく、13条(幸福追求権)や25条(生存権)から学び、吸収しないといけないのが「正義」です。それがようやく現れてきています。

 それは単に政治的なものではなく、人間の共同体の根幹に関する「正義」、生きがいを見いだす目的にかかわる手続きが憲法だとようやく出てきたのです。(日本人が)60年かけてつかみかけ、3・11によって再認識しているときに、憲法改正問題がまるで「亡霊」のように出てきた。

 一つここで、あらためてふんどしを締め直し、たたかいに挑む必要があります。


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