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2011年11月17日(木)

破たんした核燃サイクル計画

参院予算委 井上議員の追及

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 16日の参院予算委員会で、「原発埋蔵金」などを原発災害対策の財源に回すよう求めた日本共産党の井上哲士議員。破たんした「核燃料サイクル計画」の実態が浮き彫りになりました。


写真

(写真)パネルを示し質問する井上哲士議員=16日、参院予算委員会

利益共同体に負担求めよ

 井上氏は、原子力委員会の専門部会が最終報告案で、廃炉に要する費用について米国スリーマイル島事故の例を参考に、「原子力業界全体の負担」を明記していることを指摘。原子力産業協会の主要企業の内部留保(表)が80兆円にのぼることを示し、こうただしました。

 井上 社会的責任も体力もある。原発で大きな利益を上げてきた「原発利益共同体」に負担を求めるべきだ。

 枝野幸男経産相 資金拠出を求めるのは一般的には難しい。原子力委員会の指摘もあるので調べたい。

 井上氏は「『安全神話』をふりまき、もうけを上げてきた責任がある」と述べ、「協力」ではなく負担を求めるべきだと強調しました。

図

再処理工場・最終処分場

井上 原発以上に危険な技術

経産相 ゼロベースで見直していく

 井上氏は、日本共産党が原子力業界が積み立てている「原発埋蔵金」を原発災害対策に使うよう求めていることを紹介。埋蔵金の積み立て目的である核燃料サイクル計画が行き詰まっていると追及しました。

 核燃料サイクル計画は、使用済み核燃料を再処理してウランとプルトニウムを取り出し、再利用するもの。その柱となる再処理工場は1997年の完成予定が18回も延期され、建設費も7600億円から2兆1930億円へと3倍に膨らんでいます。

 井上氏は「再処理は原発以上に危険で未熟な技術だ」と指摘し、中止を迫りました。

 井上 仮に稼働しても、人間がふれるほど近づくと20秒で死ぬほどの高レベル放射性廃棄物が生じる。最終処分はどうするのか。

 経産相 地下深く埋めるが、最終処分地は決まっていない。

 経産相は、最終処分地の調査を受け入れた自治体すらないことを明らかにし、「いっそう困難な状況が高まっている。ゼロベースで見直していく」と述べ、行き詰まりを認めざるをえませんでした。

プルサーマル

経産相 泊・浜岡・伊方で「やらせ」あった

井上 計画推進ありえない

 再処理で生まれたプルトニウムの利用計画はどうか。

 政府は、ウランと一緒に軽水炉で燃やすプルサーマルを推進してきました。井上氏は、プルサーマルが普通の原発より危険性が高く各地で反対運動が起こっていることを示し、こう追及しました。

 井上 プルサーマルをめぐるシンポジウムでも「やらせ」はあったか。

 経産相 泊、浜岡、伊方であった。

 井上氏は「『やらせ』をしなければ住民に安全性の説明ができない代物だということだ。再稼働や計画推進はありえない」と批判しました。

もんじゅ

井上 とてつもないムダ遣い

首相 原子力政策見直しの中で議論

 核燃料サイクルの中核である高速増殖炉「もんじゅ」も事故が相次ぎ、現在も停止したままです。

 井上氏の質問に中川正春文科相は、総事業費は1兆810億円、16年余で運転したのはわずか250日、停止中の維持費も1日4000万円かかることを明らかにしました。

 井上氏は、日本原子力研究開発機構の鈴木篤之理事長が「実用化とは別の研究開発に軸足を移す」と述べていることを示して、こう迫りました。

 井上 とてつもないムダ遣い。16年間の結論は、実用化は無理ということだ。

 首相 今後の原子力政策の見直しの中で議論していく。

 井上氏は「核燃料サイクルはどの工程を見ても危険で行き詰まっている」と強調。速やかに中止を決断し、19兆円まで積み立てる「原発埋蔵金」を原発災害の被災者のために使うべきだと主張しました。

除染・賠償

井上 不当な線引きするな

経産相 東電が積極対応するよう指導

 井上哲士議員は16日の参院予算委員会で、原発事故で放出された放射性物質の除染について質問。「国の予算措置への不安もあり、全面的な除染にちゅうちょしている市町村も少なくない。これまでに実施した除染も含め、国が全面的に財政負担することを具体的に示すべきだ」と求めました。

 細野豪志環境相は、「市町村が行う除染は、国の責任で財政措置をする」と明言。実施ずみの費用についても「対象とするよう検討したい」と述べました。

 井上氏は、原発事故被害の賠償について、30キロの距離で線引きしていることを批判。「圏外で自主避難した人も避難していない人もさまざまな負担や精神的苦痛を被っている。原発事故がなければ被ることがなかった被害であり、両方とも賠償するべきだ」と求めました。

 東京電力の西沢俊夫社長は、「紛争審査会の議論の結果をふまえ対応したい」と述べるだけ。井上氏は「ひとごとみたいだ。事故がなければ起きなかった被害という自覚はあるのか」と批判。枝野幸男経済産業相は、審査会の結論にかかわらず賠償責任があるとし、「東電が主体的にどういう基準で賠償できるか、積極的に対応してもらいたい。そうした指導をしていく」と答えました。

 井上氏は、不当な線引きをせず全面賠償するよう改めて求めました。


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