2011年11月17日(木)
災害廃棄物処理 「賃金適正に」指針
環境省が決定
高橋・山下氏が要求
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環境省は、東日本大震災の災害廃棄物処理を行う民間事業者との契約指針を16日までに決定し、公共事業の労働者に対する「適正な賃金確保」を初めて盛り込みました。
被災地では廃棄物処理を大手企業が受注し、賃金の買いたたきが問題になっています。同指針について労働組合などからは「公共事業の品質と労働者の生活を守る上で力となる」との声が上がっています。
指針(11日付)は、8月に成立した災害廃棄物処理特別措置法にもとづくもの。労働者の賃金について、国土交通省公表の労務単価・諸経費を採用し、「適正な金額が支払われるように努めること」と明記。下請け業者が支払う賃金についても、元請け業者が確認し「全ての労働者や下請け業者に対し適切な賃金・報酬が支払われるように努めること」を求めています。
可能な限り地元雇用を考慮することなども指摘しています。
指針の策定は自民・公明が提出した同特別措置法案に盛り込まれましたが、全会派の修正協議のなかで与党が削除を主張。これに対し日本共産党の高橋ちづ子衆院議員が、復興特別委員会の議論で適正な賃金が支払われる重要性が深められたことを強調し、条文化されました。地元業者への発注についても、参院で山下芳生議員が求めていました。
大きな前進だ
建設・運輸業の労働者が加入する全日本建設交運一般労働組合(建交労)の藤好重泰中央執行委員長は、「公共事業にかかわる労働者に対する賃金について、ここまで書き込まれたのは初めてで大きな前進だ」と評価します。同氏は被災地の廃棄物処理作業について「現地で労働者は、1日4000〜6000円の低賃金で働かされ、工務店も元請けの大企業の言い値でやらされています。これを放置すれば公共事業の品質にも影響が出かねません」と問題点を指摘。指針決定を受け「元請け業者を含め、賃金に縛りをかける指針を最大限活用して、労働者の生活と住民のための公共事業を守るとりくみをすすめていきたい」と述べています。