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2011年11月15日(火)

NHK「日曜討論」

市田書記局長の発言

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 日本共産党の市田忠義書記局長は13日放送のNHK番組「日曜討論」で、野田佳彦首相が表明した環太平洋連携協定(TPP)交渉参加と、各党協議が行われている衆院選挙制度改革問題について与野党代表と討論しました。


TPP(環太平洋連携協定)

交渉参加表明どうみるか

 首相のTPP交渉参加表明について民主党の樽床伸二幹事長代行は「『関係国との協議に入る』というものだ」と説明。TPP推進のみんなの党以外の野党は「あまりに拙速だ」(自民・田野瀬良太郎幹事長代行)、「玉虫色の表現だ」(公明・斉藤鉄夫幹事長代行)などと反対しました。市田氏は次のように述べました。

 市田 44の道府県議会が(TPP参加)「反対」「慎重」の意見書をあげていますし、全国町村会は3度にわたる反対決議をあげています。農林水産業関係だけでなくて、医療関係者、中小(企業)関係者、消費者などさまざまな国民のあいだから疑問と意見が相次いでいましたし、「(政府がTPPで)説明を十分していない」との声は、どの世論調査も8割から9割なんです。それを押し切って交渉参加を表明したのは許しがたい。撤回を求めて頑張りたいと思います。

 国会でわが党の志位和夫委員長が、(TPP参加は)第一に被災地の復興の最大の妨げになる、第二に食料の安定供給を土台から突き崩す、第三に「食の安全」や「医療」などアメリカの対日要求を押し付けられる危険がある、第四に内需や雇用、日本経済をめちゃくちゃにしてしまうと提起しましたが、首相からはまともな回答はありませんでした。

 ただ、これからアメリカ議会の承認がなかったら交渉参加できないわけですから、(アメリカ側から)さまざまな要求を突きつけられたときに日本政府がどういう態度をとるか、その一歩一歩が国民から問われ、試される。たたかいはこれからです。

どうして競争できるのか

 TPP交渉参加表明にあたって野田首相は「農業の規模集約化、規模拡大」などを5年間で集中的に行うと表明。樽床氏は「5年間の話をすべてこの場で公約のように申し上げることはできない」と述べました。市田氏は次のように発言しました。

 市田 TPPは関税撤廃が原則、条件なんです。そうなりますと米の自給はだいたい1割以下になると農水省は計算しています。食料自給率はいま39%ですが、(TPP参加で)13%まで落ち込む。小麦は99%がやられるし、牛肉も豚肉も7割から75%がだめになってしまう。

 いま世界人口が70億人を超え、世界的に食料危機が叫ばれているときに、潜在的な能力がいっぱいある日本の農業をどうしてそんな形でつぶしてしまうのか。民主党は、去年3月に自給率50%という方向を出されましたよね。「関税ゼロ」にしてどうして自給率を向上させることができるのか。(農業を)集約したらうまくいくといっておられますが、アメリカは日本の農家の1戸当たりの耕作面積の100倍、オーストラリアは1500倍でしょ。どうしてこれで競争ができるのか。

 これに対し樽床氏は「国土のあり方が違うし、中山間地の問題等々もあるから、よく理解している」と認めましたが、具体策となると「みんなで知恵を出してあっていく」というだけでした。

医療の担保・保証はない

 医療分野も議論になり、樽床氏は「日本の国益を守る」などと発言。市田氏は次のように反論しました。

 市田 「医療はTPPの交渉の対象に入っていない」というのが政府の説明でした。ところが、衆院本会議で志位委員長がその保証はあるかと追及しましたら、「それは対象に入ることもありうる」と野田総理が答弁しました。外務省が民主党のプロジェクトチームに提出した資料によれば「混合診療についても俎上(そじょう)にのせられることはありうる」としています。

 日本はいろいろ弱点はあるとしても、1枚の保険証さえあれば、いつでもどこでも平等に医療が受けられるという皆保険制度がある。アメリカは公的医療がないわけですから、医療も保険も全部ビジネス、金もうけの対象です。もうからなかったらいつでも撤退をすることになってくる。一応、総理は公的医療制度を守るとおっしゃったけれども、その担保、保証は一切ありません。(志位委員長が)「非関税障壁」で一つでもノーといえるものがあったら、あげなさいと(本会議で)いっても具体的に一つもノーといえるものをあげることはできませんでした。これではやっぱりまずい。

世論背景に参加阻止へ

 自公は、TPP交渉参加問題で国会に特別委員会を設置し、「問題点をあぶりだすべきだ」(自民・田野瀬氏)などと主張。市田氏は次のように述べました。

 市田 交渉に参加するということと、TPPに正式に参加するということはイコールではないと思うんです。これは、これまでの交渉参加のすべての国の了解がいりますし、アメリカの場合は議会の承認がいります。

 これまでもアメリカはいろんな(不当な)要求を日本に突きつけてきました。たとえば、「食の安全」だったら大腸菌が検出された冷凍フライドポテトを日本が拒否しているのはけしからんと(迫る)。食品の安全基準だとか、その他の残留農薬の基準を緩和しろとか、公的医療制度をやめなさいとか、さまざまな要求を突きつけてくると思うんですね。こういう問題の一つひとつがこれから問われてくるわけです。

 国会ではいろんな場があると思うんですが、大いに議論をする。これからいよいよ世論を高めて問題点を明らかにして、TPP参加を阻止するために国民世論を背景に国会内外で大いに頑張りたい。

選挙制度改革

民意が反映される制度に

 衆院選挙制度改革の各党協議会座長を務める樽床氏は、今週にも小選挙区の区割り作業を進めるための法改定案とともに「定数削減と(選挙制度の)抜本改革を担保する案を提示したい」と表明。自民・田野瀬氏も「復興予算を増税で賄うのだから国会議員も身を切られないといけない」として定数削減を主張しました。

 市田 小選挙区の区割りだけを変える、それを先行してやるというのが自民党と民主党さんのお考えです。(すると)その先に残るのは比例の定数削減という狙いがすけて見えます。

 いまの選挙制度の一番の問題は、民意をゆがめる小選挙区制にあると思うんですよ。(小選挙区導入から)過去5回選挙がやられました。比較第1党が4割台の得票で7割の議席を、いわば民意をゆがめて独占している。これがさまざまな弊害をよんでいるわけですから、主権者・国民の民意が正確に反映される(比例を中心にした)選挙制度にすべきです。

 それから、国会議員の総定数ですけれども、(日本は)国際的にみても多すぎることはありません。OECD(経済協力開発機構)加盟の(34カ)国のなかで日本は下から2番目に少ない。国民の民意を反映させようといっているときに、総定数を削減するというのは、その民意を削減することになります。まして、民意を一番反映する比例定数を削減するなど論外です。絶対そういうことをやってはならないといっておきたい。


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