2011年11月10日(木)
きょうの潮流
2カ月以上たちますが、覚えている人は多いはずです。玄葉(げんば)外相がいいました。「踏まれても蹴られても誠心誠意、沖縄のみなさんに向き合っていく」▼すぐに、抗議をうけました。沖縄を踏みつけているのは政府の方だ、加害者が被害者ぶるとはなにごとだ、と。しかし、玄葉外相はこりません。沖縄を踏みつけるような発言を、くり返しているのですから▼9月末、国会でのべました。「(アメリカの)海兵隊がどうしても沖縄に必要だ」。沖縄の多くの人々が、海兵隊はいらないと思っているのに? 外相は、「どこよりも東アジアに等しく近い地政学的な位置が大きい」からと説明します▼外相の論法では、普天間基地の沖縄外への移転も論外となります。ちなみに地政学とは、政治や軍事と地理との関係を研究する学問です。第1次大戦後のドイツで関心を集め、ナチスが支持しました▼10月下旬、外相は国会で語ります。鳩山元首相が「(普天間基地の移転先は)最低でも県外」と選挙で公約したのは「誤りだった」。沖縄県民が、「最低でも県外」の実行を求めているのに。加えて玄葉外相は、自由貿易について「まずTPP(環太平洋連携協定)をやる」といいます▼沖縄のサトウキビ農業に大打撃を与えるTPP。野田首相は先の所信表明で、神妙に「春風をもって人に接し、秋霜をもってみずから粛(つつし)む」といいました。しかし、南国に身を切るほど冷たい秋霜をもたらす野田政権、どこまで沖縄を踏みつけるつもりなのか。