2011年11月8日(火)
復興財源確保法案に対する佐々木議員の代表質問
衆院
日本共産党の佐々木憲昭議員の第3次補正予算案に関する復興財源確保法案への代表質問(7日、衆院本会議)は次の通りです。
政府は「連帯して負担を分かち合う」といいますが、まったく違うものになっています。
大企業には軽減
政府提案では、今後10年間で個人や中小業者に8・8兆円の大増税を押し付ける一方、大企業には実質5%の法人税減税を恒久的に行い、初めの3年に限って付加税を課すだけです。これでは個人には「重い負担」、大企業には「負担の軽減」になってしまうではありませんか。
重大なのは、支援制度からもれた防災集団移転先の住宅建築、宅地の復旧、事業所や店舗の再建などが個人責任とされていることです。被災者に復興増税だけが押しつけられ、支援も受けられないなどあってはなりません。直接支援をきちんとやると約束していただきたい。
資本金10億円以上の大企業の内部留保は約260兆円に達しています。労働者の賃金を抑え、下請け単価を買いたたき、減税や補助金の恩恵を受け、利益を蓄積してきたからです。法人税減税が実施されれば内部留保はますます膨れあがってしまうではありませんか。内部留保を、被災者のため復興財源として有効に活用するのは当たり前ではありませんか。
総理は、法人税減税は「産業空洞化防止」のためだと答えました。しかし、日本の製造業が海外進出する一番大きな理由は「現地需要への対応」、次は「人件費の安さ」です。「(日本の)税金が高い」という理由はほとんどありません。法人税をいくら引き下げても、海外進出に歯止めをかける対策にはなりません。実際、法人税は42%から30%まで減税を繰り返してきましたが、海外進出はますます進んでいるではありませんか。
財界・大企業は海外進出を続けながら、その理由を法人税にあるとすり替え、さらに大きな減税を手にしようとしているのです。
昨年11月、経団連の副会長は「減税分は、国内における投資の拡大、雇用創出につなげていく決意」と発言し、5年後に84兆円、10年後に104兆円と国内投資を拡大すると大風呂敷を広げました。当時の菅総理は「素晴らしい提案をいただいた」と大喜びし、法人税率引き下げを決意したといわれています。
しかし、法人企業統計では、大企業で増えた利益のほとんどが内部留保、配当、役員給与に分配され、労働者の賃上げに使われず、給与総額は引き下げられてきたのです。大企業への法人税減税に合理的根拠がないことは明らかではありませんか。
過酷な庶民増税
次に消費税についてお聞きします。
野田総理は、今回のG20(20カ国・地域国際会議)で、今年度中に消費税増税法案を提出し、2010年代半ばまでに消費税率を5%引き上げ、10%にする方針を明らかにしました。閣議決定もされていない方針をなぜ「国際公約」したのですか。消費税増税を盛り込んだ6月末の「社会保障・税一体改革」の成案は閣議決定されず、「閣議報告」という扱いになっていたのです。
自見金融担当大臣は私の質問に「国民新党の主張をご理解していただいて、ご配慮いただいた」と答弁しています。国民新党が同意しなかったから閣議決定できなかったのです。自見大臣は増税法案が閣議決定されようとしたとき賛成するのか反対するのか。野田総理は、閣内で反対が出ても増税法案を強行するつもりでしょうか。
もともと民主党は、政権を担当する4年間は消費税をあげない、引き上げる場合には選挙で国民の信を問うと約束していたのではありませんか。
一昨年秋、当時の藤井財務大臣は私の質問に対し、2012年3月までに消費税増税法案を提出して成立させるとした2009年度税制改正法付則104条は「修正するのが筋だ」と答弁していたのです。ところがその後、修正の必要はないと変わり、さらに消費税増税法案を強行するという方針へと大転換が行われたのです。公約違反であり、国民への背信行為ではありませんか。
家計調査を見てもこの10年間、夫婦高齢者世帯の年金給付が大幅に減っています。保健医療、介護保険、所得税、住民税の負担は大きく増えました。消費税増税は年に12兆円もの過酷な庶民増税です。復興増税と合わせると、家計と内需への打撃は計り知れず、被災地の復興と日本経済の再建に冷水を浴びせることになります。
「これ以上増税されたら生活できない」との切実な声を総理はどのように受け止めているのでしょうか。
津波と原発別に
日本共産党は地震・津波災害の復興財源と原発災害対策財源は分けて考え、それぞれ別途確保する提案をしています。
復興財源としては、米軍への「思いやり予算」や米軍基地関連予算、政党助成金を廃止するだけで、15年間に5兆円の財源を確保できます。法人税減税と証券優遇税制の延長をやめれば年間1・7兆円、15年間で25兆円を超える財源が生まれます。これらを実行すれば、庶民増税なしに復興財源を確保することは十分に可能です。