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2011年11月6日(日)

主張

G20サミット

公正な経済めざす役割発揮を

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 フランスで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議は、最後までギリシャ政局の成り行きに翻弄(ほんろう)されました。ギリシャ政府は結局、欧州「包括支援」策の受け入れを決め、各国が恐れた無秩序なデフォルト(債務不履行)は当面避けられました。

 ギリシャ政治の混乱は、支援と引き換えに負担をしわ寄せする緊縮政策で、国民が追い詰められていることを示しました。緊縮政策で問題は解決できません。事態は他の国々にも多かれ少なかれ共通しており、国民犠牲の路線の見直しが迫られています。

転機にさしかかるG20

 世界的に景気の悪化が進行するなかで、各国で国民生活への悪影響が一段と強まっています。首脳会議の宣言は、先進国で失業が「容認できない水準」にあるとして懸念を表明しています。各国は内需の拡大を軸にして景気浮揚を図る必要があります。

 ところがG20は、各国の既存の対策を追認する一方、金融の安定化とそのための財政「健全化」を太く押し出しました。こうした路線を進めば、景気回復の処方箋という看板とは裏腹に、国民生活をいっそう破壊し、財政もさらに悪化させかねません。

 今回の首脳会議は、欧州の混乱もテコとしながら、財政赤字と公的債務の削減を最優先課題として各国に求めるとともに、その実行を監視する態勢も強めています。ユーロ圏第3の経済規模をもつイタリアは、債務削減の実行をめぐって国際通貨基金(IMF)の監視下におかれることになりました。米国やイギリス、フランスも財政赤字の削減計画が個別に盛り込まれています。日本についても、野田佳彦首相が「公約」した消費税の10%への増税が時間枠とともに明記されています。

 ここには、G20が一つの転機にさしかかっていることが示されています。G20がその原則である「国際協調」を掲げながら、そのもとで暮らしを破壊する路線を各国に押し付ける強行突破の機会になるのなら、枠組みの正当性が問われることになります。

 日本の景気対策では「新成長戦略」の実行を盛り込みました。その路線は相変わらずの輸出依存で、経済のゆがみをひどくし、内需を冷え込ませるものです。焦点の雇用拡大で、雇用の「流動性」促進など大企業奉仕の「構造改革」を求めたことは、不安定雇用の拡大につながるものとして批判されるべきです。

 「リーマン・ショック」を受けて創設されたG20には、投機を抑えるための実効ある金融規制が期待されてきました。ところが、ユーロ圏の混乱もあって、注目された金融取引税の導入では「一部の国の動き」にふれたにとどまり、食料投機の抑制でもみるほどの成果をあげませんでした。これらは当面の金融不安に対処するうえでも必要であり、その前進があらためて求められます。

格差拡大に広がる反発

 G20は、市場原理一本やりで弱肉強食の立場に立つ新自由主義が破綻し、その反省が迫られたなかで設立され、「公正で維持可能な世界経済」の追求を掲げました。それから3年を経た現在、格差拡大への反発が世界的に広がっています。G20には出発点で掲げた役割の発揮が求められます。


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