2011年11月5日(土)
電気料金
大企業には甘く家庭からがっぽり
電力会社が家庭向けなどの電気料金(規制部門)で利益を確保し、大企業向けなどの大口電力料金(自由化部門)は安く設定している実態が明らかになりました。
日本の電気料金は、発電・送電にかかった営業費用に事業報酬を加えた「総括原価方式」で決まります。その上で、電気料金は家庭向けを中心とする規制部門と企業向けの自由化部門の2部門に分かれています。
東電の場合、営業費用は、人件費、修繕費、減価償却費、公租公課、購入電力量、燃料費、その他経費の7項目です。
事業報酬は、発電所や送電網など、電気事業を運営するために必要となる資産に事業報酬率をかけて算出します。原子力発電所をつくり、電気事業資産が大きくなればなるほど、得られる報酬も高くなる仕組みです。事業報酬率は1960年には8%でしたが、その後段階的に引き下げられ、現在、東電では3%です。
規制部門の料金は、電力会社の安定的経営を保証するため、政府による規制に基づき、電気供給約款で決まっています。一方、自由化部門の料金は、電力会社と民間企業との個別の交渉で決定されます。
ただし、自由化部門はどこまでも安くしていいわけではありません。規制部門で自由化部門の赤字を補てんするなどの事態を防ぐため、それぞれの部門が負担すべき原価は厳密に分ける建前になっています。
財団法人省エネルギーセンター発行の『2011年版エネルギー・経済統計要覧』の推計によると、09年の家庭向けの電気料金は21・57円/キロワット毎時であったのに対し、企業向けの大口電力料金は10・72円/キロワット毎時と半額以下の安さで設定されています。
その結果、自由化部門で赤字を出す電力会社も生まれています。日本共産党の吉井英勝衆院議員の調べによると、原油などエネルギー価格が高騰した08年度には、電力10社の合計で自由化部門の純損失額は1580億円に上っています。一方、その年には電力各社が規制部門の燃料費調整額を大幅に引き上げ、利益を確保しています。
大企業には甘く、一般家庭には厳しい、電力会社の姿勢が表れています。
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