2011年11月4日(金)
国連 雇い兵使用増加に警告
自国民弾圧に政府が利用
“外注は人権上の危険生む”
国連人権理事会の「雇い兵使用に関する作業グループ」は1日、国連総会に提出した報告で、武力紛争における雇い兵使用が再び増加していると警告しました。また民間軍事・警備会社による人権侵害が多発しているとして、活動を規制するよう求めました。
同グループのファイザ・パテル議長は「雇い兵は治安上脅威であるだけでなく、人権と諸国民の自決権への脅威でもある」と強調、「これを一掃するために各国が協力することが決定的に重要だ」と述べました。
従来、雇い兵は武力紛争や政府転覆のために雇われた兵士とされてきました。しかし報告によると、最近は政府が雇い兵を自国民に対して使用。その例として、リビアで外国人戦闘員が平和的なデモの鎮圧にかかわったことを挙げました。リビアの雇い兵はアフリカの隣国や東欧から呼び寄せられたとみられています。
また報告は、民間軍事・警備会社の活動が近年かつてなく広がるなかで、さまざまな問題も起きていると指摘。パテル氏は「自国民の安全を確保するのは国家の基本的な責任だ。民間軍事・警備会社に治安維持を外注することは人権上の危険を生みだす。その活動を規制する必要がある」と強調しました。
報告によると、民間軍事・警備会社の活動は麻薬撲滅や紛争後の復興までかつてなく広がり、事業規模は推定で年200億〜1000億ドル(約1兆5600億〜7兆8000億円)になります。
利用する国も増え、政府だけでなく、非政府組織(NGO)や一般企業、国連諸機関も活用しているといいます。