2011年11月3日(木)
主張
文化の日
復興へ旺盛な文化の営みを
張り詰めた気持ちが和らいだ、勇気をもらった、救われる気持ちがした―。
東日本大震災の半月後から演奏活動を再開した仙台フィルハーモニー管弦楽団には、演奏を聴いた人たちから、こんな声が寄せられています。
被災地に向き合って
「いま、被災地で文化ができることは何か」「いま、何が表現できるか」―被災地をはじめ、全国の文化関係者、文化団体が、東日本大震災と原発事故に向き合い、模索しています。その中から、新たな作品や表現、被災者に寄り添うプロジェクトなど、さまざまな営みが始まっています。
人と人との絆や心のつながりを見つめ直す動きが広がる中で、その大切な懸け橋となるのが、文化です。地域のお祭り、芸能を再興することが、地域の復興につながります。新しい日本をつくり、未来を探求するうえでも、文化の力は欠かせません。日本共産党は、こうした文化の営みと強く連帯します。そして、その創造・普及活動の支援を進めるものです。
大震災と原発事故による被害は文化の分野でも甚大です。東北の文化財は、国指定の重要文化財だけで700件を超える被害を受けています。東北の沿岸地域では、楽器や衣装が流失し、伝統芸能の存続が危ぶまれているところもあります。
「レスキュー(救出)した資料を返したいといわれても、今はとても受け入れられない。空調設備も収蔵施設もなく、またカビが生えてしまう」―。
9月に開かれたシンポジウムでは、地震・津波で被害を受けた博物館・美術館や劇場・音楽堂の現状が生々しく報告されました。
文化ホールの被災もあり、映画、演劇、音楽など、東北での公演再開は困難をきたしています。原発事故の影響によるコンサートや演劇などの公演中止も全国で相次ぎました。
いま政治が果たすべきは、こうした文化分野の活動を応援することです。ところが、文化財の復旧事業である国の「文化財レスキュー」は財政的措置もなく、寄付に頼っています。来年度予算の文化庁の概算要求では「被災文化財の復旧」と「被災ミュージアムの再興事業」の合わせて53億円にすぎません。
概算要求では芸術団体の活動を支える「重点支援」は16%の減額となっています。「次代を担う子どもの文化芸術体験事業」や映画、アニメーション映画製作支援も減額されています。文化の分野でも政治の後退は明らかです。
昨年、日本芸能実演家団体協議会(芸団協)は、文化予算の増額を求め、初めて署名運動にとりくみました。ところが、民主党は通常国会で、63万人が賛同した署名を不採択にしました。「事業仕分け」にみられた民主党政権の助成縮減路線が続く限り文化の振興はありません。
助成縮減路線の転換
今年12月は文化芸術振興基本法の制定から10周年にあたります。同法は国民の文化的権利や専門家の地位向上をうたいました。
文化を応援するどころか、むしろ助成を縮減し続ける政治と正面から対決し、日本共産党は、多くの文化団体と力を合わせ、文化を応援する政治を実現するために力を尽くします。