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2011年11月1日(火)

宮城の仮設 凍える被災者

暖かい布団を

災害救助法使わず支給不足

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 宮城県の仮設住宅で暮らす被災者から、毛布や厚手の掛け布団など冬物の寝具を求める声があがっています。災害救助法の定める寝具の支給が徹底されていないためです。寝具の追加支給に後ろ向きな厚生労働省、救助に乗り出さない県の姿勢が問われます。(本田祐典)


 仮設住宅約7200戸が建設された宮城県石巻市。10月上旬に大橋地区の仮設住宅に入居した男性(58)は、「行政から配られた布団がぺラペラで、寒さに耐えられない。毛布すらないんですよ」と訴えます。

5人に4組

 家族5人で同市給分浜の仮設住宅に暮らす男性(71)は、「支給の布団は4人分。これでは冬を越せない」。

 市内の日本共産党震災救援対策センターには、毛布など冬物寝具がほしいという被災者からの要望が連日のように寄せられます。同センターでは毛布などの配布を始めていますが、全体には届いていません。

 石巻市が仮設住宅の入居者に支給するのは枕、掛け布団、敷き布団の3点だけ。毛布はありません。5人以上の世帯に対しても一律に4セットだけです。

 市は入居者に配った文書で、「世帯人数分の配布ではございませんので不足分は各自で準備願います」と自己負担を求めます。

 石巻市に限らず、各地の仮設住宅で支給不足が起きています。商店が復旧せず寝具が手に入りにくい地域もあり、被災者の命と健康をおびやかしかねない状況です。

 本来、寝具は災害救助法が国費負担での支給を定める、もっとも大事な救助物資のひとつです。なぜ不足し、被災者が凍える事態が起きるのか―。

 宮城県は今回の震災で、被災者への寝具の支給に災害救助法にもとづく経費を使いませんでした。代わりに、企業やNPOなどから寄せられた救援物資で間に合わせようとしたのです。

 結果、冬を越すのに不十分な寝具しか被災者に配られないという事態を招きました。県は「自治体から支給状況の聞き取りを行い、冬でも足りると認識していた」(震災援護室)と弁明します。

 寝具の追加支給に後ろ向きな国の姿勢も、事態をさらに悪化させています。

 厚労省災害救助・救援対策室は10月下旬、「仮設住宅入居後に必要になった物資は被災者が各自で用意するべきではないか」と、国費負担に否定的な姿勢を宮城県に示しました。

 これは、従来の「仮設住宅入居後においても、現に救助を必要とするものであれば、災害救助法の対象になり得る」(5月19日、衆院本会議、日本共産党の高橋ちづ子衆院議員の質問に対する、細川律夫厚労相=当時=の国会答弁)という方針に反するものです。

共産党要請

 日本共産党宮城県議団(横田有史県議団長、遠藤いく子県議)は10月13日、宮城県に対して冬物寝具の支給を要請しました。

 要請を受けた宮城県は当初、「要望があれば対応する」と前向きな姿勢を表明。ところが、経費負担に後ろ向きな国の姿勢を受け「災害救助法にもとづく国費負担の対象にならないようなので回答を訂正する」と後退し、支給に踏み切っていません。


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