◆(14)革新懇運動、国民各層・各分野でのたたかいについて

 (1) 日本共産党が一九八〇年によびかけた全国革新懇は、無党派の人々と党との共同を広げ、民主的改革の国民的多数派をめざす運動として発展をとげている。草の根での革新懇は、最近十年間に倍加し、五百九十六の地域革新懇、百五十九の職場革新懇、三つの青年革新懇が組織され、合計七百五十八に達し、構成員は四百五十万人を擁している。

 この間のきわだった特徴は、幅広い知識人や文化人が革新懇と共同する形で、憲法問題や基地問題、増税問題や民主主義の課題での国民的な世論と運動を広げていることである。革新懇が「憲法改悪反対の一点での国民的共同」をよびかけたことは、憲法運動の国民的な発展のうえで、重要な推進力の一つとなっている。

 平和・民主主義・生活向上の三つの革新の共同目標のもとに、政治的立場や思想・信条の違いをこえて共同する革新懇運動が、「政治を変えたい」と願う国民の巨大なエネルギーを広く結集し、いっそうの前進をかちとることがつよくもとめられる。

 わが党は、新しい綱領に明記しているように、統一戦線を基礎に民主連合政府をめざしている。地域・職場に網の目のように革新懇をつくり、質的にも量的にもいっそう高い段階に発展させることは、希望ある新しい日本をつくる保障であり、わが党の綱領的な任務である。

 (2) 民主的改革の国民的多数派を結集するうえで、国民運動が、憲法問題、増税問題、社会保障問題、雇用問題、米軍基地問題など、焦眉(しょうび)の国政上の重要課題で、国民要求を結集して、壮大な社会的反撃のたたかいを発展させるとともに、分野ごとにも切実な要求をかかげて多面的な発展をかちとることがもとめられている。

 イ、子どもと教育……今日、学力の危機の問題、モラルの荒廃の問題など、さまざまな形で、子どもたちの心と成長を傷つける深刻な事態がひきおこされている。その原因の一つは、歴代の自民党政府が、憲法と教育基本法の民主主義的な原則をふみにじり、国連からも是正をもとめられるような過度の競争主義と管理主義を特徴とする教育政策をすすめるとともに、教育諸条件を貧困で劣悪なものに放置してきたことにある。

 自民党政府は、この間、「教育荒廃の解決」などとして上からの「教育改革」をおしすすめてきた。それは、(一)「選択の自由」「平等の打破」「多様化」などの名のもとに、学校間競争をあおりたて、競争主義をいっそう極端にする「新自由主義」の「改革」を教育におしつけて、子どもへの教育の格差を拡大するとともに、(二)「日の丸・君が代」の強制、職員会議の形がい化、「教員評価」という行政による統制の導入など、教職員・子ども・学校の自主性を奪いながら、権力が必要とする教育を子どもにおしつける国家主義をもちこみ、学校教育にいっそう深刻な矛盾を蓄積させてきた。義務教育費国庫負担制度の廃止など、わが国の教育条件の根幹を破壊しようとしていることも重大である。

 過度の競争主義と管理主義という病根にメスを入れないまま、「ゆとり教育」を上から画一的におしつけ、それが破綻すると一転して「学力重視」のおしつけをはじめるなど、自民党政治は教育政策の面でも破綻をふかめ、教育現場を疲弊させている。

 教育基本法改定は、国民主権にたった国民の教育権を否定して、それを国家による「教育権」におきかえ、主権者として一人ひとりの子どもの「人格の完成」を目的とする教育から、憲法改悪がめざす「海外で戦争をする国」にふさわしい人間を育てあげる教育への変質をはかろうとするものである。

 いま全国各地で、子どもの人間的成長と発達を願う、多面的な国民的運動が広がっている。教育基本法改悪反対の運動、少人数学級実現や私学助成増額のとりくみ、子どもの学力保障をめざす学校・地域でのさまざまな努力、非行や不登校の子どもと向きあい成長をささえる草の根からのとりくみ、戦争礼賛を子どもたちに教え込もうとする歴史教科書を許さない運動などが、豊かな広がりをみせていることは、重要である。上からの「教育改革」の矛盾が明らかになるもとで、教職員・子ども・保護者・住民などが共同しての一人ひとりの子どもの成長と発達を中心においた学校づくりの動き、住民本位の学校教育を模索する自治体の動きが広がっていることも注目すべきである。

 わが党は、子どもの人間的発達を願い、教育の危機を打開する運動をひきつづき発展させるために力をつくす。競争と管理を特徴とする教育政策を転換し、すべての子どもが主権者として必要な基礎学力、体力、情操、市民道徳を身につけることを保障する教育改革をはかり、そのための豊かな教育条件を確保するとともに、教育基本法改悪を阻止するために全力をあげる。また、子どもの権利条約の完全実施のために力をつくす。

 前大会決議は、日本社会の道義的な危機と、子どもたちへの深刻な影響について指摘し、それを克服するための国民的な対話と運動をよびかけたが、これは、子どもをめぐる深刻な事態を日本社会全体の力で打開する方向をしめしたものとして重要である。犯罪から子どもの生命と安全をまもる地域づくりの運動をふくめ、その具体化のとりくみを発展させる。

 ロ、食料と農林漁業……農業と農村の衰退は、食料自給率の低下をもたらし、地域経済や国土・環境を破壊し、日本国民の生存条件を根本からゆるがしている。政府・財界は、価格支持政策を全廃し、一定規模以上の農業経営以外を、農業の担い手から排除するという、家族経営を全面的に破壊する政策をおしすすめている。この亡国の政治に、日本農業の未来をたくすわけにはいかない。

 国民の多くは、安全・安心な国産農産物をもとめ、農林漁業と農山漁村の立て直しを願っている。BSE問題をはじめ食の安全をまもる運動、産直運動など都市と農村の交流、地産地消のとりくみ、森林と緑をまもるとりくみなども、多面的に広がっている。

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