◆(14)革新懇運動、国民各層・各分野でのたたかいについて

(続き)

 農業を基幹的な生産部門として位置づけ、その再建をはかり、食料自給率を計画的に向上させることは、国民的意義をもつ課題である。わが党は、(一)農産物の価格支持制度をまもり、価格・所得保障を農業予算の主役にすえて農業経営をささえること、(二)とめどもない輸入拡大をおさえるために、WTO農業協定を改定させ、食料主権を回復し、アジア諸国との多様な農業の共存と連携をめざすこと、(三)BSEの全頭検査を維持し、食の安全を確保するための体制の強化をめざすことなど、農業と食料をまもり発展させるたたかいの前進をはかるために奮闘する。

 水産資源の保全・管理を国の責任ですすめ、漁業の振興、水産物の自給率向上のために力をつくす。

 ハ、中小企業と地域経済……「構造改革」路線は、中小零細企業と地域経済に、深刻な打撃をあたえている。「不良債権処理」の号令での貸し渋り・貸しはがしの横行、「規制緩和」による大型店の野放図な出店、大企業による下請け切り捨て、消費落ち込みによる経営への圧迫などのもとで、年間四千人をこえる中小零細企業の経営者が、経済苦などから自殺に追い込まれていることは、痛ましい異常な事態である。

 このもとで、全国各地で、中小企業と地域経済をまもるための共同したたたかいが起こっていることは、重要である。中小企業の経営基盤を支えるために、自治体と住民、公的研究機関などが共同して、金融、技術、商品開発、販路拡大、経営相談などをおこなうとりくみが、全国各地にうまれている。自治体独自に、大型店出店を規制する「まちづくり条例」をつくり、地元商店街のにぎわいをとりもどすとりくみも広がっている。

 わが党は、国政の舞台で、中小企業予算の拡充、中小企業への資金供給に責任をもつ金融行政への転換、下請けいじめや大型店の身勝手を規制するルールの確立などにとりくむとともに、地域から中小企業をささえ発展させる、共同のたたかいに力をそそぐ。中小企業むけの公的金融機関を縮小・廃止する動きに反対し、その拡充をもとめてたたかうことは、急務である。

 ニ、子育て環境の改善……二十代後半から三十代にかけて約二千七百万人をしめる「子育て世代」の要求が切実化、顕在化している。その背景には、少子化がすすみ、それにたいして国民の多くが不安をいだいているにもかかわらず、日本の子育て環境の劣悪化がすすんでいるという問題がある。

 二〇〇五年九月に発表された「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較」(政府の男女共同参画会議・専門調査会)では、OECD加盟国のなかで、日本が、労働時間、雇用機会の均等度、地域の子育て環境、家庭内役割分担、子育て費用、若者の自立可能性などの子育て環境の指標で、もっとも遅れた国になっていることがしめされた。

 一九七〇年代以降、他の主要国では、子育てと仕事が両立可能な社会環境をつくり、女性の労働力率を大きくのばしている。それに対して日本は、七〇年代以降の女性の労働力率の伸び率はわずかであり、OECDの二十四カ国のなかで最も小さい。これは日本の子育て環境の劣悪さをしめすものであり、出生率の低下に歯止めがかからない一つの重要な原因となっている。

 安心して子どもを産み、育てることのできる社会をつくることは、日本国民の未来にかかわる大問題である。わが党は、長時間労働をなくし家庭生活との両立ができる人間らしい労働をとりもどすこと、男女差別・格差をなくし女性が働きつづけられる社会をきずくこと、保育所や学童保育など子育ての条件改善にとりくむこと、子どもの医療費無料化を拡充すること、若者に安定した仕事を確保することなど、子育て環境の抜本的改善をはかる運動を大いに発展させるために、力をつくすものである。

 ホ、環境をまもる運動……アスベスト、大気汚染、産業廃棄物の不法投棄などによる国民の健康被害、諫早湾干拓事業や川辺川ダム、八ツ場ダムなどむだな公共事業による環境破壊が、重大な問題となっている。同時に、米国が京都議定書から離脱するもとで、地球温暖化など地球的規模での環境破壊がいっそう進行し、これをくいとめることが緊急課題となっている。

 こうした状況のもとで、環境をまもる市民運動、NGO・NPOなどの運動が大きく広がっている。わが党は、これらの運動との協力と共同を広げ、地域でも、地球的規模でも、環境をまもる運動を発展させるために奮闘する。

 ヘ、男女平等の前進……日本の女性の社会的地位の低さ、平等の遅れは、社会全体の根本問題として国際的機関からくりかえし批判され、改善が強くもとめられている。女性労働者は雇用労働者の四割を占めているが51・7%が非正規雇用であり、パート労働者の七割は女性、派遣労働者の八〜九割は若い女性である。正規で働く女性労働者の賃金は平均で男性の賃金の68%、管理職に占める女性の比率は10・1%、夫婦が別々の姓を名のることが保障されていない民法、女性の性をおとしめ人格をふみにじる性の商品化の氾濫(はんらん)など、主要な先進資本主義国の中でもきわめて異常な状態がつづいている。

 女性差別撤廃条約の実施をもとめる取り組みは、国際的な運動と連帯を強めながら、新しい前進を生みだしている。昇格や賃金など差別是正の裁判の勝利、パート労働者の組織化、家庭内暴力の禁止、セクハラ防止など女性の人権を守る運動がねばりづよくすすめられた。

 わが党の女性議員は、地方議会・国会をあわせて第一党である。この力も生かし、広い女性団体や運動との共同をいっそう強め、この分野での国際条約の批准と実行、差別是正の実効あるルールの確立をめざし、男女平等の前進のために力をつくす。

 (3) 日本社会を、政府や財界からの不当な攻撃にたいして、強力な社会的反撃をもってこたえる社会へと前進させることは、二一世紀の日本の民主的前途を考えても、たいへん重要な問題である。

 労働運動が、人口の七割をしめる労働者階級の多数を結集する運動をめざして新たな前進をかちとるとともに、国民各層・各分野の運動を多面的に発展させ、多様な市民運動・住民運動との共同をつよめ、壮大な国民運動の高揚の波をつくるために、奮闘しようではないか。

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