◆(3)アメリカいいなり政治の異常をただし、独立・平和の日本をきずく改革を
(続き)
(3) 「日米同盟」の侵略的変質、憲法改悪という道が、どんなに異常な逆流であるかは、世界に目をむけると歴然としてくる。いま世界では、憲法九条を、国際社会の平和秩序をつくっていくうえでの指針、とりわけ東アジアでの平和と安定の秩序をつくるうえでの指針として評価する動きが広がっている。
――二〇〇五年七月、ニューヨークの国連本部で世界百十八カ国のNGO諸団体が参加しておこなわれた「GPPAC(ジーパック)」(武力紛争予防のためのグローバルパートナーシップ)の国際会議が採択した「世界行動宣言」では、「世界には、規範的・法的誓約が地域の安定を促進し信頼を増進させるための重要な役割を果たしている地域がある。たとえば日本国憲法第九条は、……アジア太平洋地域全体の集団安全保障の土台となってきた」と、九条を平和の土台として高く評価している。それにさきだって二月に採択された「GPPAC北東アジア地域行動宣言」では、「九条の原則は、普遍的価値を有するものと認知されるべきであって、北東アジアの平和の基盤として活用されるべきである」とのべている。
――二〇〇五年六月、パリでおこなわれた国際民主法律家協会の第十六回大会が採択した「日本国憲法第九条についての決議」では、「人類は、戦争のない二一世紀をつくることを悲願としており、その悲願は、第九条に表された法的な原理に支えられている」とし、「第九条は、人類に与えられた小さな包みに入った贈り物」であり、「その宝物を破壊してはならない」とのべている。
――二〇〇四年七月、アメリカの「平和のための退役軍人会」が採択した決議「危機に瀕(ひん)している日本国憲法第九条を支持する」では、「親愛な日本の友人のみなさん、私たちは、九条が『戦争による支配』を『法の支配』に置きかえる地上の生きた模範であるというあなた方の考えを共有する」とのべている。
こうした動きのなかで、憲法第九条が、たんに日本の平和的進路にとって重要な意義をもつにとどまらず、世界と地域の平和秩序をつくるうえで、「土台」「基盤」「模範」「法的な原理」など普遍的価値をもつものであることが、共通してのべられていることは注目される。
こうした動きがあいついで起こる背景には、国連憲章にもとづく平和の国際秩序をめざす地球的規模での波の高まりがある。またアメリカを中心とする軍事同盟体制が、世界でも、アジアでも、その多くが解体、機能不全、弱体化におちいり、それにかわって仮想敵国をもたない平和の地域共同体が広がるという、世界の大きな変化がある。
戦後、日本国民が、憲法九条をつくったさい、そこには日本が二度と戦争をする国にならないという「不戦の誓い」とともに、戦争放棄と軍備禁止という恒久平和主義を極限にまですすめた道に世界にさきがけて踏み出すことで「戦争のない世界」への先駆になろうという決意がこめられていた。戦後六十年をへて、国際政治の現実が、憲法九条が掲げた理想に近づいてきているのである。
(4) 新しい綱領は、「日米安保条約を、条約第十条の手続き(アメリカ政府への通告)によって廃棄し、アメリカ軍とその軍事基地を撤退させる。対等平等の立場にもとづく日米友好条約を結ぶ」ことを、日本の民主的改革の方針の冒頭に位置づけている。
また、「現行憲法の前文をふくむ全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす」ことを明記している。
綱領のしめす方向にこそ、二一世紀の世界の流れにそった未来ある道がある。日本共産党は、憲法改悪反対の一点で国民的多数派を結集する運動、米軍基地強化を許さないたたかいなど、一致する要求で立場の違いをこえた共同をつくりつつ、日米安保条約解消の国民的世論を広げるために奮闘するものである。
[大会決議目次]