2003年10月24日(金)「しんぶん赤旗」
自民、公明、民主の各党が相次いで消費税増税を打ち出しています。
自民党と民主党は政権公約で事実上の消費税増税宣言に踏み切りました。小泉首相も「将来を展望すれば消費税を上げざるをえない状況になる」と本音をあらわにしています。民主党の菅代表は税率10%の可能性にまで言及しました。
公明党の神崎代表は「社会保障全体の在り方を考える中で消費税引き上げの検討は避けられない」と一般紙のインタビューに答えています。
消費税増税には国民の大多数が反対です。それにもかかわらず、政権与党と、野党の民主党が、税財源と言えば消費税だけしかないかのように増税を競い合う異常な動きです。
その大もとに、財界が仕掛けた税制「改革」のシナリオがあることは経過を見れば歴然としています。
もともと、消費税増税は財界と自民党の大方針ですが、国民の反対がもっとも強いのも消費税増税です。そこで首相は「在任中は引き上げない」と表明する一方、増税の地ならしを進める作戦を取ってきました。
これに、「スピードが遅い」と、いらだちを募らせたのが財界です。
昨年末、日本経団連の奥田碩会長は小泉税制「改革」を「拍子抜け」と批判し、16%、18%の税率を示して増税に踏み出すよう迫りました。
それだけではありません。日本経団連は、やはり政治を動かすには金を出すしかないと、政治献金「あっせん」の再開に歩を進めます。
消費税増税という具体的な要求をつきつけ、献金のヒモをつけて政治を動かそうという、まさに政治の買収行為にほかなりません。
小泉首相が本当に消費税を増税する気がないのなら、こんな献金はきっぱり断るべきです。ところが首相はこの献金を「喜んで受け取る」と公言しました。民主党も「実績だけでは与党に有利になる。政治改革や政権交代への姿勢なども基準に入れてほしい」と頼み込んでいます。増税を競い合う両党が、台所では財界献金を奪い合っているのです。
公明党は二月に日本経団連と懇談し、同党の日笠税調会長が税率引き上げは将来的にやむを得ないと表明しています(「経営タイムス」)。
消費税率10%で国民一人当たり二十万円もの負担になります。財界の要求は、国民にはこれほどの負担を強いながら、大企業みずからに課される法人税はもっと下げろという虫のいい話です。
消費税を税制の中心にすえれば大企業の負担を大幅に減らすことができる−。はじめから消費税しか選択肢のない議論になっているのは、ほかに財源がないからではなく身勝手な財界の要求が出発点だからです。
これ一つ取っても、「社会保障財源」という消費税増税の理由が全くの口実にすぎないことは明白です。
財界のひもつきや、政権に固執して財界の顔色をうかがう政党に国民のくらしを守ることはできません。
財界と一切のしがらみがない日本共産党の提案は明快です。基礎年金の国庫負担引き上げなど当面の財源は、大型公共事業や軍事費など税金のムダ遣いを改めれば十分確保できる。将来も、欧州に比べ五割から八割程度の水準にすぎない日本企業の税・社会保険料負担を欧州並みにすれば、必要な財源を生み出せます。
日本共産党とともに、当面も将来も弱い者いじめの消費税に頼らず、安心できるくらしと社会保障を築いていこうではありませんか。
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