2003年10月15日(水)「しんぶん赤旗」
消費税について、小泉純一郎首相が「上げざるをえない」といい、民主党の菅直人代表まで2ケタ税率をいいはじめました。日本経団連は、政治献金までからめて、2007年度までに10%、将来は18%にせよと迫り続けています。こんな大増税を許したらたいへんです。日本共産党は消費税増税に絶対反対です。
■奥田ビジョン2004年度から毎年1%ずつ税率を引き上げた場合、2014年度から先は、消費税率を16%で据え置くことが可能 (別のケース) 消費税率を2007年度10%、2013年度15%、2016年度18%。2025年度の消費税率は18% (1月1日、日本経団連の「奥田ビジョン」)
■経済同友会消費税率を、最終的に(2020年度以降)20%未満(19%)に抑制することが可能 (2月27日、経済同友会の提言) ■日本経団連の献金基準(1)法人実効税率を引き下げるとともに、租税負担と社会保障負担を合わせた企業の公的負担を抑制。 (2)消費税率の引き上げを検討する。 (9月25日、日本経団連の献金についての政党の政策評価の「優先政策事項」) |
↓
↓ ↓ ↓ |
|
↓
↓ ↓ ↓ |
|
|
生活費には税金をかけないという生計費非課税と、“所得の多い者は多く、少ない者は少ない負担”という累進課税が、税金の原理・原則です。
これに対して、消費税は、所得の多少にかかわらず、買い物のたびに税金がとられます。このため、所得の低い人ほど負担が重くなる最悪の不公平税制です。
消費税はくらしも経済も破壊します。このことは、橋本内閣時代の1997年、消費税を3%から5%に引き上げるなど9兆円の負担増が、日本経済を台無しにしたことをみても明らかです。
消費税が10%になれば、4人家族で年80万円の負担(年40万円の負担増)、18%になれば4人家族で年144万円の負担(年104万円の負担増)となります。くらしと経済への打撃ははかりしれません。
消費税は営業破壊税でもあります。
大企業は、消費税率が上がっても、その分を価格に転嫁できるため、自分は負担しないで済みます。しかし、中小企業庁の調査では、売り上げ3000万円以下の業者の52.3%、全国商工団体連合会の8万事業所調査では61.4%がほとんど転嫁できていません。
価格に転嫁しきれず、身銭をきって納税している多くの中小零細業者などにとって、消費税増税は営業そのものをいっそう困難にします。
財界も自民党も消費税は社会保障の財源のためだといいます。しかし、これはごまかしです。
なにより、消費税は低所得者ほど負担が重い“福祉破壊税”です。
これまでの消費税による税収は、社会保障のためどころか、法人税の減税に消えてしまった計算になります。
消費税導入以来15年間の消費税収の合計は136兆円。同じ時期の法人3税(法人税、法人住民税、法人事業税)の税収は131兆円も減りました。景気悪化に加え、大企業のための減税が繰り返されたためです。
財界が求める消費税増税の狙いは、さらに大企業の負担を減らして、それを消費税で穴埋めすることです。
日本経団連は、消費税の2ケタ税率を求めることとセットで、さらなる法人課税の減税や年金など社会保険料の軽減・廃止を求めていることにも、そのことがあらわれています。
日本共産党は、社会保障の財源は、こうすればできると主張しています。
まず当面の財源は、無駄を省くことです。
90年代に国と地方で50兆円にまで膨張した公共事業を段階的に半減させ、5兆円にまで膨脹した軍事費を「聖域」にしないで大幅に軍縮させれば、10兆円以上の財源を、社会保障を中心にした国民のくらしのために、新しく振り向けることができます。
将来の高齢化社会をささえる財源は、税でも保険料でも大企業や高額所得者にもうけや所得に応じた負担を求めることで生み出していくことが大切です。
日本の企業の税と社会保障の負担は、とくに社会保険料負担が低いため、国民所得比で12%です。イギリス15%、ドイツ18%、フランス24%、スウェーデン22%にくらべて、5割から8割です。大企業に国際水準にてらして適切な負担を求める改革をすすめます。