2003年10月23日(木)「しんぶん赤旗」
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総選挙公示(二十八日)を目前にして、いまの行き詰まった経済・くらしをどう打開するのか、有権者の関心が高まっています。いろいろな問題で、「ああ、そうなんだ」と胸に落ちる対話ができることを願って、新たなシリーズでみていきます。
財界は、消費税率を18%に(日本経団連)、いや19%だ(経済同友会)と迫っています。なぜ、財界は、消費税大増税に熱心なのでしょうか。
なぞを解くカギは、財界が消費税の導入や税率引き上げをいうときには、必ず大企業の減税(法人税減税)とセットだということです。一九八九年の消費税導入に至るさいには、当時の経団連の代表が政府税調の公聴会で公然と法人税減税の財源として大型間接税(消費税)の導入を求めたことが、経団連の五十年史にも記録されています。
消費税は3%で導入され、九七年には5%に引き上げられました。法人税は相次いで引き下げられました。その結果、どうなったでしょうか。
消費税導入以来十五年間の消費税収の総額は国と地方で百三十六兆円(〇三年度は当初予算額)になります。同じ時期に法人三税(法人税、法人住民税、法人事業税)は百三十一兆円も減りました。消費者から吸い上げた消費税は大企業減税と不況による法人税などの減収の「穴埋め」で消えてしまった計算です。
それでも財界は満足していません。
企業の税負担は、法人税減税で「確実に軽減」したが、「この効果を相殺(そうさい)」しているのが「社会保険料負担の増加」などだ(九月十六日、日本経団連の「税制改正」に関する提言)と、さらなる企業の負担軽減を求めています。
法人税をもっと下げろ、社会保険料の企業負担を軽くしろというのです。社会保険料の上昇への対応は「雇用削減を通じて」行うしかない(九月の日本経団連の提言)と脅し、「企業の従業員についても、自営業者と同様、保険料を全額本人が負担する方法に改めることが考えられる」(一月一日、日本経団連の「奥田ビジョン」)とまでいっています。一部を除き労使折半となっている社会保険料の企業負担をなくしてしまえというわけです。
社会保険料をいまの水準にとどめるなら、「消費税の拡充」しかないというのが日本経団連のいい分です。企業負担を軽減あるいはなくすために、消費税の大増税をしようという財界・大企業の身勝手な要求です。