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33 動物愛護

ペットの殺処分を減らし、人と動物が共生する社会を目指す

2019年6月

 犬や猫などのペットは、こんにちでは単なる愛玩動物としてだけでなく、コンパニオン・アニマル=「伴侶動物」と考えて飼育する人も少なくありません。保健所への持ち込みや捕獲による犬や猫の殺処分数は、この間、市民団体や保健所の譲渡・返却の懸命の努力で2010年度には年間20万件を超えていたものが、2017年度には4万3千件まで減少しました。

 愛護団体の粘り強い働きかけを受けて、超党派の「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」が提案した改正動物愛護法が6月に可決、成立しました。

 改正法では、ペットショップなど動物取扱業者に順守を義務付ける基準として、飼う施設の構造や広さ、従業者数、環境管理、疾病への対応、展示・輸送方法、繁殖回数・方法などについて、環境省が定めることを新たに加えました。

 また犬や猫を親から早く引き離すと、かみ癖など問題行動が出る可能性があるという指摘を受けて設けられた子犬・子猫の販売を始められる時期を、生後56日(8週)超として実施し(公布から2年以内実施)、ただし改正前にあった暫定的に生後49日(7週)超とされていた規定を削除しました。改正法では、特定の条件で繁殖か販売される「天然記念物として登録された犬」(日本犬)が例外として、生後7週超となっています。

 マイクロチップ装着の義務化は、繁殖業者などが対象で、犬猫の生年月日や業者の情報が分かる識別番号が記録されたチップを、犬猫に埋め込みます(公布から3年以内実施)。犬猫を買った人は飼い主情報を登録する義務が生じます。すでに飼っている人は、装着は努力義務となります。チップは、注射器に似た器具で犬猫の首付近に埋め込むのが一般的なやり方で、動物病院で数千~1万円ほどかかります。

 犬猫の殺傷事件があり、インターネットに犬や猫の虐待動画を投稿するなど、悪質なケースが後を絶たないため、改正法は動物虐待罪の罰則を強化しました。ペットの殺傷に対する罰則を改正前の「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」から「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」に引き上げました。虐待や遺棄は、100万円以下の罰金から、1年以下の懲役(または100万円以下の罰金)に引き上げました(罰則強化は公布から1年以内)。虐待を把握した獣医師による通報の義務化なども盛り込みました。

 動物愛護法の改正で、愛護団体の要求も取り入れられましたが、殺処分を減らすためには、なによりも飼い主の責任として、ペットが死ぬまで飼いつづけることが基本です。同時に、引き取り手の見つからないまま子猫・子犬が処分されることがないよう、里親を探すなど譲渡する数をふやすことが依然として重要です。改正法では動物愛護管理センターを都道府県は設置し、動物の適正飼養・保管の専門知識をもつ動物愛護管理担当職員を置くと定め、政令市・中核市、特別区にも動物愛護管理担当職員を置くよう努めるとしています。さらに自治体と「民間団体との連携の強化」や、「地域における犬猫等の動物の適切な管理」が加わり、国はそのための情報提供、技術的助言など必要な措置を講じるとしています。

 子犬は引き取り手が見つかりやすいのに比べ、成犬はみつけにくく処分されることが多いといわれています。譲渡の可能性を広げるためには、性格を知り、必要な矯正をし、一定期間の健康管理をするなど手間と時間が必要です。行政だけでこうした措置をカバーすることは困難ですが、愛護団体やNPO、地域の住民の協力なども得られる仕組みをつくります。政府は、市町村による動物との共生の地域ビジョンの作成を支援し、不妊手術への助成制度の創設や、譲渡促進のとりくみへの支援などに乗り出すべきです。

 今回の法改正で、動物実験に関して、附則に、「国は、動物が科学上の利用に供される場合における動物を供する方法に代わり得るものを利用すること、その利用に供される動物の数を少なくすること等による動物の適切な利用の在り方について検討を加え、必要があると認めるときには、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」としました。現在、環境省がつくった「基準」や学術会議が策定した「ガイドライン」、文部科学省・厚生労働省・農林水産省の「基本方針」をもとに、研究機関が管理する仕組みになっています。公的な研究機関・大学では、動物実験に関する委員会を組織して、研究者に必要な教育を行い、研究計画書の審査し、その実験方法の評価を行っています。民間の事業者でも、アメリカ研究協議会が作成した詳細な動物実験に関するガイドラインをもとに、国際実験動物ケア評価認証協会(AAALAC International)から、このガイドラインに適合しているという認証を受けているところもあります。現状を理解するために、透明性の向上も大事です。

 動物の安楽死の問題では、国際的なルールをよく検討し、苦痛をできるだけ与えない方式を目指します。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会の飲食サービスの調達基準にアニマルウェルフェア(動物福祉)が入っています。またEUに牛肉などを輸出する場合には、アニマルウェルフェアを踏まえた飼養管理・輸送・屠畜がなされたかが問われるなど、アニマルウェルフェアへの関心が高まってきました。アニマルウェルフェアは、動物の本来の自然なふるまいを尊重し、生活環境からのストレスを減らし、空腹・不快・苦痛・恐怖を与えないように動物の生活の質の改善を図ることです。そのために能力・エサ・空間における集約化を緩和することになります。日本でも、ブロイラーや採卵鶏の飼育のように大規模な工場的な生産が行われているものや、肉牛・乳牛飼育、養豚のように小規模生産が多数存在する分野もあり、状況をよく踏まえて、基準や支援策を定める必要があります。

 動物に関する考え方は、愛玩動物、畜産などの産業動物、実験動物、動物園などの展示動物、盲導犬・救助犬などの支援用動物、野生動物など、それぞれの分野で、異なります。人と動物が共生できる社会を目指していくには、各分野の状況を情報提供し、認識の共有を図る必要があります。

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