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消費税増税の中止 くらしに希望を―三つの提案

家計を応援し、貧困と格差をただし、明日に希望が持てる政治を

2019年5月22日 日本共産党

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 日本共産党は、くらしと景気に大打撃となる消費税増税の中止を訴えます。そして、国民が明日のくらしに希望を持てる政治への切り替えを求めます。そのために、ただちに取り組む課題として、「くらしに希望を―三つの提案」を発表します。

消費税10%への増税を中止する

 10月からの消費税増税に対して、生活や商売への不安が日々高まっています。「こんな経済情勢で増税を強行していいのか」という声は、消費税増税に賛成する人たちの中からも上がるようになっています。

“景気悪化の中での大増税”という無謀な道

 前回の消費税8%への増税を契機に、実質家計消費は年25万円も落ち込み、労働者の実質賃金も年10万円も低下してしまいました。内閣府が発表した景気動向指数が6年2カ月ぶりに「悪化」となるなど、政府自身も景気悪化の可能性を認めざるを得なくなっています。

 これまで3回の消費税増税が行われましたが、1989年の3%増税は「バブル経済」のさなかであり、1997年の5%増税も、2014年の8%増税も、政府の景気判断は「回復」でした。それでも、消費税増税は深刻な消費不況を招きました。今回は、景気後退の局面で5兆円に近い大増税を強行しようとしているのです。これほど無謀な増税があるでしょうか。

“世界の流れ”も無視する愚かな道

 米中の「貿易戦争」も深刻化しており、IMF(国際通貨基金)やOECD(経済協力開発機構)なども世界経済の減速や失速を警告しています。そんな中でも、安倍政権は大増税で家計を痛めつけようとしています。「安倍首相は年内に消費税率を引き上げ、景気を悪化させると固く心に決めているように見える」(ウォール・ストリート・ジャーナル4月4日付)とやゆされるほどです。これほど愚かな経済政策があるでしょうか。

“今からでも間に合う”――国民の審判で中止させよう

 政権与党の中からも動揺が生まれています。自民党の萩生田光一幹事長代行は、7月1日に発表される「日銀短観」が示す景況感次第で「増税の延期もありうる」と述べました。7月以降でも、消費税増税の中止は可能なことを政権与党の幹部も認めているのです。ほんらい税のあり方を決めるのは主権者国民です。「10月からの10%への増税は中止せよ」の一点で大同団結し、参議院選挙で「増税ストップ」の審判を下し、増税をやめさせましょう。

くらしに希望を―三つの提案

 いま求められているのは、家計の負担と不安を軽減する家計応援政策と、格差と貧困を是正する政策です。明日への希望が持てる社会にするために、消費税増税中止とあわせてただちにとりくむべき経済政策として、3つの提案を行います。

1、8時間働けばふつうにくらせる社会を――賃上げと労働時間の短縮で

 OECDの調査によると、過去21年間に日本の時給は8%も減りました。一方、韓国は167%、英国は93%、米国は82%、仏は69%、独は59%も増加しています。主要国で、賃金が下がったのは日本だけです。長時間労働も深刻で、過労死が後を絶たず、働く者の健康を害し、家庭生活にも重大な影響が出ています。

 賃上げと長時間労働の是正をすすめ、8時間働けば普通にくらせる社会にしていくことは、家計消費を増やし、日本経済を立て直すかなめです。

●最低賃金をただちに全国どこでも1000円に引き上げ、1500円をめざし、全国一律の最低賃金制度を創設します。

 東京と鹿児島との最低賃金は、時給で224円、年収で45万円もの格差が生じており、最低賃金の地域格差拡大が、地方からの労働力の流出など地方の疲弊を加速させています。全国一律の最低賃金制の確立を求めます。最低賃金の引き上げで恩恵が大きいのは、女性や若者が多く働く非正規雇用の労働者です。地方経済の活性化や労働者全体の賃上げに波及する効果もあります。

 中小企業への賃上げ支援――社会保険料の事業主負担分を減免して賃上げを応援します……カギは中小企業対策です。安倍政権は、中小企業の賃上げ支援策の予算を2014年度の35.9億円から2019年度には6.9億円へと5分の1に削減しました。中小企業1社あたりわずか200円です。予算規模を、現在の1000倍の7000億円へと抜本的に拡充し、労働者を雇用すれば赤字でも負担する社会保険料の事業主負担分を、賃上げ実績に応じて減免する中小企業賃上げ支援制度をつくります。

 安倍政権が行っている「賃上げ減税」は、2017年度の実績で3849億円ですが、半分以上は大企業にまわり、中小企業で対象になったのは4%程度の企業にすぎません。法人税減税は、赤字企業は対象にならず、黒字額が小さい企業には恩恵がありません。

●残業代ゼロ制度の廃止、「残業は週15時間、月45時間、年360時間まで」と上限を労働基準法で規制するなど、長時間労働を是正します。

 これらに加え、勤務間に最低11時間の連続休息時間を確保するインターバル規制を導入するとともに、1日2時間を超える残業、連続3日以上の残業は、残業代の割増率を現行の25%から50%に引き上げ、長時間・連日残業の常態化を防ぎます。

●労働者派遣法の抜本改正をはじめ、非正規労働者の正社員化をすすめます。

 製造業への派遣や日雇い派遣の禁止、常用代替を目的とした派遣の禁止など、労働者派遣法の抜本改正を行います。無期雇用への転換が迫られる5年を前に非正規労働者を解雇するという違法・脱法行為を厳しく取り締まる労働行政を確立します。

●保育・介護・障害福祉労働者に国の責任で、ただちに月5万円の賃上げし、一般労働者との格差をなくしていきます。

 保育・介護・障害福祉労働者は、公定価格や報酬で政府が賃金水準を決めますが、低く抑えられています。国の責任でただちに5万円の賃上げを行い、引き続き、全産業平均との賃金格差をなくしていきます。これには労働力不足によって起きている待機児童・待機者を解消する上でも大きな効果があります。

2、くらしを支える社会保障を

 国民のくらしを支えるはずの社会保障が、高い保険料や給付・サービスの低下により、くらしを押しつぶすようになっています。くらしを支え、生存権を保障する社会保障ほんらいのあり方にしていく第一歩として、以下の改革をすすめます。

●公費1兆円の投入で国民健康保険料(税)を抜本的に引き下げます。

 国保は、加入者の4割が年金生活者、3割が非正規労働者であり、所得の低い人が多く加入する医療保険です。ところが平均保険料は、4人世帯の場合で、同じ年収のサラリーマンの健康保険料の2倍にもなります。しかも安倍政権が2018年度から開始した「国保の都道府県化」によって、今でも高すぎる国民健康保険料(税)の負担がさらに引き上げられようとしています。

 全国知事会、全国市長会、全国町村会などは、加入者の所得が低い国保が他の医療保険より保険料が高く負担が限界に達している「国保の構造問題」を解決するために、公費投入を増やして国保料(税)を引き下げることを国に要望し続けています。

 国保には、「均等割(人数割)」「平等割(世帯割)」という勤労者の医療保険にはない「人頭税」があり、高い保険料(税)の大きな要因になっています。公費負担を1兆円増やせば「均等割」「平等割」をなくせます。それによって、所得250万円(給与換算380万円)の4人世帯の国保料(税)は、全国平均で35.4万円から20.2万円に下がります。給与年収180万円(所得108万円)の単身者の国保料(税)も、12.8万円から7.0万円に下がるなど、大幅な負担軽減となります。

●子どもの医療費無料化を国の制度に。

 すべての都道府県・市町村で、子ども医療費への助成制度が実施されていますが、国の制度として、小学校就学前の子どもの医療費を所得制限なしで無料化する国の制度をつくります。その共通の土台のうえに、自治体の助成制度をさらに前進させ、小・中・高校生への医療費助成を推進します。

 国は、子ども(小学生以上)の窓口無料化を行う市町村に予算カットのペナルティーを科すなど自治体の努力を妨害しています。全国知事会も「ペナルティーを廃止し、国の責任において、子どもの医療費に関わる全国一律の制度を創設すること」を要望しています。

●物価が上がっても年金を上げない仕組みを廃止して「減らない年金」にします。低年金者(基礎年金満額以下)の年金を年間6万円上乗せし、底上げします。

 安倍政権の7年間(2013~2019年度)の合計で、年金改定の指標となる物価は5.3%上昇したのに、年金は0.8%のマイナス改定で、実質6.1%もの大幅減となりました。年金の支給水準を自動的に減らす「マクロ経済スライド」など、さまざまな年金削減の仕組みを自公政権がつくったためです。この年金削減システムを廃止し「減らない年金」にします。

 政府は、消費税10%増税と引き換えに、低年金者に「最大月5000円、年間6万円」の「底上げ」を行うと言っていますが、月5000円をもらえるのは年金に40年加入して、すでに月6.5万円の年金を受けとっている人だけです。加入期間10年で現在の年金額が月1.6万円の人は、月1250円しか年金は増えません。年金額が低い人ほど、「底上げ」も少額になる、こんな不合理なやり方では低年金の解決になりません。消費税とは別の財源を確保し、年金額が基礎年金満額(月6.5万円)以下の低年金者全員に、月5000円・年間6万円を現在の年金額に上乗せして給付します。

●低所得者の介護保険料を3分の2の水準に軽減します。

 政府は低所得者の介護保険料軽減を、消費税10%増税と引き換えに行うとしていますが、低所得者にいちばん重い負担となる消費税増税を押し付けながら「軽減」などと言うことは国民をあざむくものです。消費税増税なしで実施します。

●安倍政権が行った生活保護の削減を中止し、支給水準を回復します。

 安倍政権が2013年以来、繰り返してきた生活保護費の削減が、貧困の深刻化に追い打ちをかけています。生活保護基準は、住民税、保育料、介護保険料、就学援助、最低賃金などに連動しており、保護費の削減は他の制度も後退させ、生活保護を利用しない貧困世帯のくらしも悪化させる「貧困の悪循環」をもたらします。

●障害者(児)福祉・医療の無料化をすすめます。

 障害が重く支援が必要な人ほど負担が重くなる「応益負担」を撤廃し、障害者(児)福祉・医療を無料にします。

3、お金の心配なく、学び、子育てができる社会を

 子育て、教育の負担軽減は、家計を応援するとともに、貧困から子どもを守り教育の機会を保障するなど子どもの権利を守るうえでも、少子化対策としても差し迫った課題です。

●すべての学生を対象に、大学・短大・専門学校の授業料を、すみやかに半分に値下げし、段階的に無償化をはかります。

 安倍政権は、「大学無償化」などと言いますが、学費値上げを抑えることもしません。授業料減免の対象になるのは、文科省の答弁でも、現在の大学・短大・専門学校の全学生の1割程度です。しかも、その財源は消費税増税です。

 政府案では、授業料等の減免対象は4人家族で年収270万円程度(住民税非課税世帯)が上限です。年収380万円未満の世帯も一部対象になりますが、3分の1または3分の2に減らされます。9割近い学生を対象にしない制度を「大学無償化」などと言うことは「看板に偽りあり」です。

 日本政府は、国際人権規約の大学、高校の学費を段階的に無償化する条項の「留保撤回」を2012年に閣議決定し、国連に通告しました。段階的無償化は、国際公約であり、国民への政治の責任です。

●給付奨学金は、政府案の低所得者を対象にした制度に加えて、月額3万円(年額36万円)の給付奨学金制度をつくり、全体で70万人の学生が利用できるようにします。すべての奨学金を無利子にします。

 給付奨学金(国公立―自宅35万円、自宅外80万円 私立―自宅46万円、自宅外91万円)も対象になるのは「授業料減免」と同じく4人家族で年収270万円未満の世帯で、年収380万円未満の世帯は、これも3分の1または3分の2に減額されます。若者の人生の門出で、「奨学金」という名の多額の借金を背負わせる社会をあらためます。

●私立高校の負担の軽減をすすめ、高校教育の無償化をはかります。

 民主党政権時に公立高校授業料の無償化がすすみましたが、私学の減免は不十分で、施設整備費等の負担も小さくありません。政府は、消費税増税と引き換えに、私学授業料の「実質無償化」(年収590万円未満)としていますが、消費税増税なしで実施するとともに、施設設備費等の負担軽減もすすめます。

●学校給食の無償化をはじめ、義務教育で残されている教育費負担をなくしていきます。

 憲法は、義務教育の無償を定めていますが、給食費や制服、副教材などさまざまな負担があります。憲法制定時には、政府も「(憲法の)義務教育の無償をできるだけ早く広範囲に実現したい」「学用品、学校給食費、できれば交通費」(1951年3月19日 参議院文部委員会 日本共産党岩間正男議員への答弁)などとしていましたが、70年たっても実現していません。歴代自民党政府が、憲法をないがしろにし、教育費負担の軽減に背を向けてきたことが、ここにも表れています。

●「幼児教育・保育の無償化」を消費税に頼らず実施します。認可保育所を30万人分新たに増設し、保育水準を確保しながら待機児童を解消します。

 消費税増税なしで、「幼児教育・保育の無償化」を実施します。認可保育園を30万人分増設し、認可保育園を希望しながら無認可施設や企業主導型保育所などで保育を受けている子どもを含めた待機児童を解消します。

 安倍政権の「受け皿づくり」は、保育士配置数を2分の1に後退させる企業主導型保育など、深刻な保育の質の低下をもたらしています。企業主導型保育は、突然の閉園や助成金の不正受給、施設で基準違反が相次ぎ、「定員割れ」も続出しています。待機児童の解消と保育の質の確保は、親の願いであるとともに、成長・発達する子どもの権利を保障するためにも待ったなしの課題です。

7.5兆円の新たな財源で可能に――「消費税に頼らない別の道」で

 「三つの提案」をパッケージで実行するために必要な財源は7.5兆円です。

 消費税10%増税による増収は5兆円規模です。安倍政権は、「増税分は全部お返しする」としていますが、政府が増収分を財源に充てるとしている施策のなかで、幼児・保育無償化、高等教育の負担軽減、低年金底上げなど社会保障や教育・子育てに関するもの(2.6兆円程度)は、すべて実施します。一方、ポイント還元や軽減税率、景気対策としての大型公共事業などの財源は、消費税増税をしなければ必要がなくなります。

 したがって、7.5兆円の新たな財源を確保すれば、消費税増税を中止し、「三つの提案」を実行することができます。「三つの提案」は、消費税増税と「引き換え」の政府の「対策」の3倍規模で、くらし向上と社会保障、教育・子育ての充実・支援策を、消費税増税なしで実施することになります。

 この財源は、富裕層と大企業に応分の負担を求めるなど、「消費税に頼らない別の道」で確保します。

「くらしに希望を―三つの提案」の概要

  財源規模 項目別の内訳  
1、8時間働けばふつうにくらせる社会を 1.7兆円 最低賃金引上げ(中小企業の社会保険料軽減) 0.7兆円
介護・保育労働者の月5万円の賃上げ 1兆円
2、くらし支える社会保障を 2.4兆円 国保料(税)の引下げ(「均等割」「平等割」廃止) 1兆円
就学前児童の医療費無料化 0.24兆円
低年金の底上げ 0.7兆円
低所得世帯の介護保険料の軽減 0.14兆円
削られた生活保護を元に戻す 0.26兆円
障害者福祉・医療の無料化 0.05兆円
3、お金の心配なく学び、子育てができる社会を 3.4兆円 大学・専門学校の授業料半減など 1.29兆円
70万人に給付奨学金を支給 0.42兆円
すべての奨学金の無利子化 0.04兆円
私立高校授業料の無償化など 0.1兆円
学校給食の無償化 0.45兆円
幼児教育・保育の無償化 0.78兆円
認可保育所の大幅増設(保育所運営費) 0.3兆円
合計 7.5兆円    

 (注)毎年必要となる経常経費のみを記載(このほかに保育所建設費などの投資的経費がある) 

消費税に頼らない財源確保の概要

  財源規模 項目別の内訳  
1、大企業優遇税制を是正し、中小企業並みの負担を求める 4.0兆円 研究開発減税の廃止 0.67兆円
「賃上げ減税」の振り替え(注) 0.38兆円
その他大企業向け特別措置の縮減 0.3兆円
受取配当益金不算入制度・外国子会社配当益金不算入制度の見直し 2兆円
連結納税制度の廃止 0.66兆円
2、富裕層優遇税制を是正する 3.1兆円 富裕層優遇の証券税制の見直し 1.2兆円
最高税率の引上げ・控除の見直し 1.9兆円
3、「思いやり」予算などの廃止 0.4兆円 米軍への「思いやり」予算など 0.22兆円
米軍再編経費(辺野古基地など) 0.17兆円
合計 7.5兆円    

 (注)賃上げ減税の財源は、最低賃金引上げのための中小企業の社会保険料軽減の財源に充てる。


 政府は、社会保障でも教育でも、財源と言えば消費税だけです。しかし、過去30年の消費税収は372兆円にもなりますが、同じ時期に法人税は地方分を含めて290兆円、所得税・住民税も267兆円減ってしまいました。「消費税頼み」では、いつまでたっても社会保障も教育も財政も良くなりません。

 財源は、大企業と富裕層への優遇税制を改めて応分の負担を求めます。

 大企業に中小企業並みの負担を求めれば4兆円の財源がつくれます。中小企業の法人税負担率は18%ですが、大企業は10%しか負担していません。研究開発減税などもっぱら大企業だけが利用できる優遇税制があるためです。

 所得が1億円を超えると、所得税の負担率が逆に下がってしまいます。多額の金融所得がある富裕層に有利な証券税制の是正と最高税率の引き上げで3.1兆円の財源になります。

 日米安保条約上は負担する必要のない「思いやり予算」や辺野古の海を埋め立ててつくる米軍基地の建設費など、国民の税金を使う必要のない予算を廃止して0.4兆円の財源をつくります。

 トランプ米大統領言いなりの高額の米国製武器の「爆買い」も大問題です。F35戦闘機1機116億円をやめただけで、保育所なら4000人分、特養ホームなら900人分、学校のエアコン設置なら4000教室が可能になります。安倍政権は、このF35を100機以上も購入する計画です。F35の爆買いをやめて、保育所、特養ホームの建設、学校のエアコン設置をすすめます。

 この「三つの提案」は、所得の増加や負担の軽減によって、家計を直接あたためるものばかりです。そのうえ、長時間労働の是正や非正規の正規化など、直接投入される7.5兆円だけにとどまらない経済効果があります。最低賃金を1000円にする効果は約1兆円で全国的にはGDPの0.2%ですが、最低賃金の低い鹿児島県などでは県内総生産の0.7%に相当するなど、地方経済の底上げにも役立ちます。

≪99%の人たちのための政治に――財界・大企業中心、格差と貧困ひろげる安倍政治を変えよう≫

 安倍政権の下で、日本の経済と社会に何が起きたでしょうか。大企業は史上最高の利益を上げ続けましたが、日本経済全体には還流せずに、大企業の内部留保は、122兆円増えて442兆円にも膨れ上がりました。株高で富裕層に巨額の金融資産が集中し、アメリカの経済誌フォーブスが発表した日本の「長者番付」上位40人の資産は、安倍政権の7年間で7.7兆円から18.6兆円に、2.4倍にも増えました。

 安倍政権は、経団連の要求に従って、法人税を減税し、労働法制を改悪するなど、大企業の利益拡大に貢献してきました。年金の積立金や日銀マネーを使って株価をつりあげてきました。その一方で、賃金が上がらず生活が苦しくなっている国民に、消費税増税や高い国保料や教育費の負担を押しつけています。この財界・大企業中心の政治が、大企業の利益が企業内部に滞留してしまう、金持ちがもっと金持ちになっていくという、日本経済の大きなゆがみをもたらしています。

 国民のくらし第一に切り替えることが必要です。日本共産党の「三つの提案」は、日本経済の6割を占める家計消費を応援しながら、格差と貧困も是正する経済政策です。「アベノミクス」がもたらしたゆがみを根本からただし、日本経済を立て直す大きな一歩となります。この道でこそ、442兆円にものぼる大企業の内部留保を経済と国民に還元させ、日本経済のまともな循環と持続可能な成長を可能にします。

 8時間働けばふつうにくらせる社会――賃上げと長時間労働の是正は、経済的にも時間的にもゆとりをもたらす、ほんとうの“豊かさ”を実現します。くらしを支える社会保障は、経済的負担の軽減とともに、生活不安、将来不安も軽減します。お金の心配なく学べ、子育てできる社会は、重い教育費負担を軽減し、貧困の連鎖を断ち切り、希望を育みます。財源でも、「家計応援」と「格差と貧困の是正」をつらぬいています。

 「くらしに希望を――三つの提案」を実行することは、最も効果的な景気対策となり、日本経済の持続可能な成長につながる本道です。99%の人たちの幸せに心を寄せる政治に変えることによってこそ、くらしの希望が生まれます。日本共産党は、そのために、全力で奮闘します。


 

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