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高すぎる国民健康保険料(税)を引き下げ、住民と医療保険制度を守ります

2018年11月1日 日本共産党

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 高すぎる国保料(税)が国保制度の構造的な危機となり、医療保険制度としての持続性を揺るがしています……全国どこでも、高すぎる国民健康保険料(税)に住民が悲鳴をあげています。滞納世帯は289万、全加入世帯の15%を超えています。無保険になったり、正規の保険証をとりあげられるなど、生活の困窮で医療機関の受診が遅れたために死亡した事例が、昨年一年間で63人(全日本民医連調査)にのぼるという、深刻な事態も起こっています。

 高すぎる保険料(税)は、住民の暮らしを苦しめているだけではなく、国民健康保険制度の根幹を揺るがしています。全国知事会、全国市長会、全国町村会などの地方団体は、加入者の所得が低い国保が他の医療保険より保険料が高く、負担が限界になっていることを「国保の構造問題」だとし、「国保を持続可能とする」ためには、「被用者保険との格差を縮小するような、抜本的な財政基盤の強化が必要」と主張しています。日本医師会などの医療関係者も、国民皆保険制度をまもるために、低所得者の保険料(税)を引き下げ、保険証の取り上げをやめるよう求めています。

 “所得は低いのに保険料はいちばん高い”――この不公平をただすのは政治の責任です……国保加入者の平均保険料(一人当たり)は、政府の試算でも、中小企業の労働者が加入する協会けんぽの1・3倍、大企業の労働者が加入する組合健保の1・7倍という水準です。東京23区に住む給与年収400万円の4人世帯が、協会けんぽに加入した場合、保険料の本人負担分は年19・8万円ですが、同じ年収・家族構成の世帯が国保加入だと保険料は年42・6万円、じつに2倍以上の格差が生じています。

 この25年間に、一人当たりの国保料(税)が、6・5万円から9・4万円に引き上がった結果です。しかも、同時期に、国保加入世帯の平均所得は276万円から138万円に半減しています。

 国民の4人に1人が加入し、国民皆保険制度の重要な柱を担うべき国保が、他の医療保険制度に比べて著しく不公平で、庶民にたいへん重い負担を強いる制度になっているのです。高すぎる保険料(税)問題を解決することは、住民の暮らしと健康を守るためにも、国保制度の持続可能性にとっても、社会の公平・公正を確保するうえでも、重要な政治課題です。

 日本共産党は、この国保の構造的危機を打開し、公的医療保険としての国保制度を立て直すために、以下の提案を行います。

 

1、高すぎる国保料(税)を「協会けんぽ」並みに引き下げる

(1)全国知事会なども強く要望している公費の投入で保険料(税)を引き下げます

――全国知事会は、国保料(税)を「協会けんぽの保険料並み」に引き下げるために、「1兆円の公費負担増」を政府に要望しました(2014年)。日本共産党も賛成です。

 高すぎる保険料を引き下げ、国保の構造的な問題を解決するためには、公費を投入するしかありません。全国知事会、全国市長会、全国町村会なども、国保の定率国庫負担の増額を政府に要望し続けており、2014年には、公費を1兆円投入して、協会けんぽ並み負担率にすることを政府・与党に求めました。

 もともと、現行の国保制度がスタートした当初、政府は、「国民健康保険は、被保険者に低所得者が多いこと、保険料に事業主負担がないこと……などのため……どうしても相当額国庫が負担する必要がある」と認めていました(社会保障制度審議会『1962年勧告』)。

 ところが、自民党政権は、1984年の法改定で国保への定率国庫負担を削減したのを皮切りに、国庫負担を抑制し続けてきました。国保加入者の構成も、かつては、7割が「農林水産業」と「自営業」でしたが、いまでは、43%が「無職」、34%が非正規雇用などの「被用者」で、あわせて8割近くになっています。

 国保に対する国の責任後退と国保の加入者の貧困化・高齢化・重症化が進むなかで、国保料(税)の高騰が止まらなくなったのです。国保の構造的な危機を打開するためには、国庫負担を増やす以外に道はありません。

 財源は、安倍政権のもとで、純利益を19兆円から45兆円へと2.3倍にも増やしながら、4兆円も減税されてきた大企業や、超大株主(保有株式時価総額1000億円以上)が保有する株式時価総額が3.5兆円から17.6兆円へと5倍にもふくれあがるなど株高で資産を大きく増やした富裕層に、応分の負担を求めることで十分つくりだすことができます。例えば、アメリカなどと比べても高額所得者優遇となっている証券税制を改め、株式配当の総合課税や高額の株式譲渡所得を欧米並みに30%に引上げるなど、富裕層への証券課税の強化だけで1.2兆円の財源が生まれます。

――国保財政への公費負担は、国と都道府県で4.6兆円、そのうち国が75%、都道府県が25%を負担しています。これを1兆円増やせば、国保料(税)を協会けんぽ並みに引き下げることができます。財政力の弱い県には交付税措置などを検討します。

 

(2)「人頭税」と同じ「均等割」「平等割(世帯割)」を廃止し、国保料(税)を協会けんぽ並みに引き下げていきます

 国保料(税)が、協会けんぽなどの被用者保険と比べて、著しく高くなる大きな要因になっているのは、国保にしかない「均等割」「平等割(世帯割)」という保険料算定です。

 被用者保険の保険料は、収入に保険料率をかけて計算するだけで、家族の人数が保険料に影響することはありません。ところが、国保料(税)は、所得に保険料率をかける「所得割」、固定資産税の額に応じてかかる「資産割」のほかに、世帯員の数に応じてかかる「均等割」、各世帯に定額でかかる「平等割」を合算して算定されます。このうち、「資産割」「平等割」は、自治体の判断で導入しないことも可能ですが、「均等割」は、法律で必ず徴収することが義務づけられています。

 東京23区の国保料の「均等割」は、39歳以下の人で1人=5・1万円です。家族が1人増えるごとに、「5・1万円」「10・2万円」、「15・3万円」…と、国保料の負担額が上がっていきます。低所得者には一定の減額があるものの、子どもの数が多いほど国保料(税)は引き上がる「均等割」には、「まるで人頭税」「子育て支援に逆行している」という批判の声があがり、全国知事会などの地方団体からも「均等割」見直しの要求が出されています。

 “人間の頭数”に応じて課税する人頭税は、古代に作られた税制で、人類史上でもっとも原始的で過酷な税とされています。それが21世紀の公的医療制度に残っているのです。この時代錯誤の仕組みこそ、国保料(税)を低所得者や家族が多い世帯に重い負担にしている最大の要因です。これを廃止し、“逆進的な負担”をなくして所得に応じた保険料(税)にしていきます。

 全国で「均等割」「平等割」として徴収されている保険料(税)額は、およそ1兆円です。公費を1兆円投入すれば、「均等割」「平等割」をなくすことができ、多くの自治体では、協会けんぽ並みの保険料(税)にすることができます。そのうえで、「所得割」の保険料率の引き下げや、低所得世帯に重い「資産割」がかかる問題の改善など、各自治体の負担軽減の取り組みもすすめ、所得に応じた国保料(税)への改革を進めます。

 

●均等割・平等割(世帯割)をなくせば、保険料(税)は大幅に引き下がり、協会けんぽ並みになります。

試算例。給与年収の場合は、同収入の協会けんぽ保険料を掲載。

〇給与年収400万円・4人家族(30歳代の夫婦+子2人)
 東京都特別区:42万6,200円➡〔廃止後〕22万2,200円 〔協会〕19万8,000円
 大阪市   :41万9,500円➡〔廃止後〕26万0,400円 〔協会〕20万3,400円
 京都市   :39万7,400円➡〔廃止後〕24万2,000円 〔協会〕20万0,400円
 札幌市   :41万3,500円➡〔廃止後〕28万0,700円 〔協会〕20万5,000円

〇給与年収240万円・単身者(20歳代)
 東京特別区 :16万2,600円➡〔廃止後〕11万1,600円 〔協会〕11万8,800円
 大阪市   :20万2,200円➡〔廃止後〕13万0,800円 〔協会〕12万2,000円
 京都市   :17万7,200円➡〔廃止後〕12万1,500円 〔協会〕12万0,200円
 札幌市   :20万5,600円➡〔廃止後〕14万0,900円 〔協会〕12万3,000円

〇年金収入280万円(夫:230万円、妻:50万円)・高齢者夫婦世帯
 東京都特別区 :15万5,000円 ➡〔廃止後〕7万3,400円
 大阪市    :16万6,600円 ➡〔廃止後〕8万6,000円
 京都市    :15万1,100円 ➡〔廃止後〕8万0,000円
 札幌市    :16万2,600円 ➡〔廃止後〕9万2,700円

〇所得300万円・自営業・3人世帯(30歳代の夫婦+子1人)
 東京都特別区 :40万7,700円 ➡〔廃止後〕25万4,700円
 大阪市    :42万8,300円 ➡〔廃止後〕29万8,500円
 京都市    :39万9,500円 ➡〔廃止後〕27万7,400円
 札幌市    :43万1,800円 ➡〔廃止後〕32万1,700円

 

2、国による保険料の免除制度をつくる――困ったときに、困った人を助ける国保制度に

 現行の国保制度には、災害などで所得が激減した人の保険料を“一時的・臨時的”に免除する仕組みはありますが、常設の免除制度はありません。“一時的に困った人は助けるけれど、ずっと困っている人は助けない”という矛盾した制度になっています。

 こうした制度のもと、所得が生活保護基準を下回る人に重い保険料が課されたり、所得が保護基準をギリギリ上回る「境界層」が、国保料(税)を払うことで所得が保護基準以下となるケースが全国で発生しています。地震・津波・集中豪雨などの災害の被害者も、国保料(税)の免除が、「いつ打ち切られるか、わからない」状況が、大きな不安となっています。

 ドイツやフランスでは、所得が一定基準を下回り、医療保険料の負担が困難とみなされる人は、保険料を免除し、国庫でその財政を補う制度が整備されています。貧困と格差が広がる日本でこそ、生活に困窮する人の国保料(税)を免除する仕組みが求められています。

――生活困窮者の国保料(税)を免除し、その費用は国庫で補う国の制度をつくります。

 

3、無慈悲な保険証取り上げや強権的な差し押さえをやめる

 滞納者からの保険証取り上げは、国民的な批判が高まり、減少していますが、正規の保険証が発行されない世帯は引き続き100万を超え、受診抑制による重症化・死亡事件が全国で起こっています。

 国保料(税)滞納者に対する差し押さえは、2005年、国が「収納対策緊急プラン」などで取り立て強化を指示して以降、激増し、10年間で3倍、33万件を超えました。生活が苦しくて国保料(税)を滞納した人が、銀行に振り込まれた給与や年金の全額を差し押さえられ、さらなる窮迫に追い込まれる事例が各地で起こっています。

失業や病気、事業の不振などで国保料(税)が払えなくなった加入者に追い打ちをかけ、命と健康を脅かし、住民をさらなる貧困に叩き落すようなことがあってはなりません。

――保険証取り上げの制裁措置を規定した国保法第9条を改正し、保険証の取り上げをなくします。

――強権的な取り立てを奨励する国の行政指導をやめさせます。

――滞納者の生活実態をよく聞いて親身に対応する相談・収納活動に転換します。

 

4、安倍政権による「国保都道府県化」を利用したさらなる保険料値上げを許さない

 安倍政権は今年4月から、これまで市町村ごとに分かれていた国保の財政を都道府県に集約することなどを内容とする「国保の都道府県化」をスタートさせました。この最大の狙いは、市町村が一般会計から国保会計に繰り入れて行っている、自治体独自の国保料(税)軽減をやめさせ、その分を保険料に転嫁させることにあります。差し押さえなどの収納対策の強化、病院統廃合や病床削減による医療費削減なども推進するとしています。都道府県と市町村のこうした取り組みを政府が“採点”し、“成績の良い自治体”に予算を重点配分する仕組み(保険者努力支援制度)も導入されました。

 こうした政府のやり方をいっしょになって推進するのか、住民をまもる防波堤となるのか、自治体の役割も問われています。改悪法は施行されましたが、厚生労働省は、「都道府県化」実施後も、「一般会計の繰入は自治体の判断でできる」「生活困窮者への自治体独自の軽減は問題ない」と答弁しています。地方自治の原則を完全否定することはできないからです。

今年度には、宮崎市、韮崎市など少なくない市町村が国保料(税)引き下げを実施し、仙台市、清瀬市、旭川市などが子どもの均等割の独自軽減に足を踏み出しました。国保の運営主体である市町村と都道府県が、住民の立場で国保料(税)の値下げ・抑制の努力を続けるかどうかも問われています。

――「国保の都道府県化」による国保料(税)引き上げに断固反対し、改悪を中止・撤回させます。

――住民の生活破壊をくいとめ、国保危機の加速をとめるため、自治体独自の負担軽減の取り組みを維持・拡充するために力を尽くします。

 

≪高すぎる国保料(税)を引き下げるために、自治体や医療機関をはじめとするみなさんの知恵と力を≫

 医療保険制度には、国保料(税)問題以外にも、改善すべき様々な課題があります。窓口負担の引き下げ、国による子どもの医療費無料制度の創設、後期高齢者医療制度を元の老人保健制度に戻して“差別医療制度”をなくす、協会けんぽへの国の支援を拡充するとともに、被用者保険の拠出金負担を軽減するなど、病気と貧困から命と健康、暮らしを守る医療保険制度へと改革することが必要だと、日本共産党は考えています。

 同時に、高すぎる国保料(税)の問題の解決は、住民の健康と暮らしを守るうえでも、国民皆保険制度の最重要な柱である国民健康保険制度の持続性を確保するうえでも、社会の公平・公正という面からも、避けて通れない課題となっています。立場の違いや社会保障政策の違いがあったとしても、この問題の解決に向けて、知恵を出し合い、力をあわせることは可能であるし、必要だと考えます。日本共産党は、そのために力をつくす決意です。

【資料】PDFでダウンロード(表示)できます➡ 表・グラフ

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