米トランプ政権はエルサレムの首都認定を撤回せよ
2017年12月6日 日本共産党幹部会委員長 志位和夫
一、米国のトランプ政権は6日、エルサレムをイスラエルの首都として認定し、テルアビブにある米大使館をエルサレムに移転する方針を決めた。これは、イスラエル・パレスチナ問題の解決に関する国連の諸決議に反し、問題の公正な解決、中東の平和と安定に逆行する暴挙である。決定のすみやかな撤回を強く求める。
一、国連は安保理決議478(1980年)をはじめとする諸決議で、イスラエルが同年に占領地を含むエルサレム全体を首都とした決定を、国際法違反で無効なものとして認めていない。国連総会は、パレスチナ国家の樹立、イスラエルとの2国家平和共存などを基本に、エルサレムの地位は交渉で決めるとして、パレスチナ問題の平和解決を目指す決議を圧倒的多数で採択している。米国は1995年に議会が採択した法律で大使館のエルサレム移設を決めているが、歴代政権はその実行を延期してきた。
トランプ政権の行動は、国連の諸決定はもとより、米国の歴代政権の立場をも覆すものである。それは中東和平に重大な障害を持ち込み、地域の緊張を高めるものである。パレスチナ自治政府やアラブ諸国、欧州各国をはじめ国際社会から強い批判が起こっているのは当然である。
一、日本政府はこれまで、2国家の平和共存によるイスラエル・パレスチナ問題の解決を支持してきた。安倍政権は、米トランプ政権に対し、今回の無法な決定の撤回を強く働きかけるべきである。
一、日本共産党は中東和平について、イスラエルの占領地からの撤退、パレスチナ独立国家樹立を含む民族自決権の実現、両者の生存権の相互承認を求めるとともに、日本政府がパレスチナ独立国家を承認するよう主張してきた。米トランプ政権による新たな逆流がつくられるもと、中東問題の公正な解決のためいっそう力をつくす決意である。