核兵器禁止条約の早期締結にむけた国際的合意を
──「国連会議」への要請
2017年3月24日
核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)・日本国衆議院議員
日本共産党幹部会委員長 志位和夫
私は、広島と長崎への原爆投下による言語を絶する惨禍を体験した唯一の戦争被爆国において、戦後一貫して日本国民とともに核兵器廃絶を求め続けてきた政党を代表して、「核兵器全面廃絶につながる、核兵器を禁止する法的拘束力のある協定について交渉する国連会議」の開催を心から歓迎するものです。
第1回国連総会が全会一致で採択した核兵器禁止を確認する第1号決議(1946年1月24日)以来、「核兵器のない世界」への努力が続けられてきました。しかし、核保有国はいまなお1万5千発もの核弾頭を持ち続けています。生物兵器や化学兵器が国際条約によって禁止されるもとで、核兵器は国際条約によって禁止されていない唯一の大量破壊兵器となっています。
国際社会は、2000年のNPT(核不拡散条約)再検討会議で、「自国核兵器の完全廃絶を達成するというすべての核保有国の明確な約束」を確認しています。2010年のNPT再検討会議では、「核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを確立するための特別な取り組みをおこなう」ことを合意しています。
しかし、核保有国は、これらの誓約を実行するどころか、「段階的アプローチ」の名で核兵器廃絶を永久に先送りし、自国の核軍備を近代化・強化する態度をとっています。NPTの枠外の国々での核開発の動きも重大です。
広島、長崎の実相を語り続けてきた被爆者の訴え、核兵器の非人道性を追及する一連の国際会議の開催などを通じて、核兵器が人類と決して共存しえない非人道的で残虐な兵器であることは、いまや誰の目にも明らかとなっています。
以上をふまえて、私は、「国連会議」に参加したすべての政府と市民社会の代表に、つぎの要請をおこないます。
核保有国の参加を追求しつつ、かりに最初は核保有国の参加が得られなかったとしても、賛成する諸国の政府によって核兵器禁止条約――核兵器を禁止する法的拘束力のある協定を早期に締結すること。今回の「国連会議」で、核兵器禁止条約の早期締結にむけた国際的合意を達成すること。
国連加盟国の大多数の賛成で核兵器禁止条約が締結されれば、核兵器は人類史上初めて「違法化」され、あらゆる兵器のなかで最も残虐なこの兵器に「悪の烙印(らくいん)」をおすことになります。そのことによって、核保有国は、法的拘束は受けなくても、政治的・道義的拘束を受けることになるでしょう。それが、核兵器全面廃絶への決定的な突破口になることは疑いありません。
もはやこの課題を先送りすることはできません。国際社会がいま一歩大きく踏み出すことを、心から願うものです。