政治権力による教育支配への大改悪――安倍政権の「教育委制度改革」について
志位委員長が会見
2014年2月21日
日本共産党の志位和夫委員長は20日、国会内で記者会見し、つぎのような見解をのべました。
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一、自民党は、19日、文部科学部会を開き、安倍政権が進める教育委員会制度「改革」案を了承しました。「改革」案は、憲法にそくして教育の自主性を守るためにつくられた教育委員会制度の根幹を改変し、国・首長――政治権力による教育支配を歯止めなしに拡大しようという、きわめて危険な内容となっています。
第一に、「改革」案は、首長に、教育行政全体についての「大綱的な方針」を定める権限を与えるとともに、これまで教育委員会の権限とされてきた公立学校の設置・廃止、教職員定数、教職員の人員・懲戒の方針など、教育行政の中心的内容を、首長に与えるとしています。これでは教育委員会は、首長の下請け機関となり、首長がその気になればどこまでも政治介入できるということになってしまいます。
第二に、「改革」案は、教育長について、首長が直接任命・罷免するとしています。現行法では、教育長は、教育委員会が任命し罷免もできますが、この仕組みを変え、教育長を首長の直属の部下にしようというのです。
第三に、「改革」案は、文部科学大臣の教育委員会に対する「是正要求」などの権限を強化しています。現行法では、「教育権の侵害」が明瞭な場合でしか「是正要求」が出せないとされていますが、「改革」案は、それ以外の場合でも「是正要求」が出せるとしています。竹富町の教科書問題などのケースでも「是正要求」が出せるようにしようというのです。
一、安倍政権が当初ねらっていた「教育委員会廃止」論は、教育関係者などからの強い批判もあって採用できませんでした。しかし、自民党「改革」案は、教育委員会から実質的権限を奪い、それを形骸化させるものにほかなりません。それは、1976年の最高裁学力テスト問題の判決に示された、「教育内容に対する権力的介入は抑制的であるべき」とする日本国憲法の要請を踏みにじり、教育への無制限の権力的介入・支配への道を開くものとなっています。
こうした内容が具体化されれば、首長がかわるたびに、その一存で教育現場がふりまわされるという混乱が起こり、子どたちがその最大の被害者となるでしょう。
日本共産党は、安倍政権の「教育委員会制度改革」に強く反対するとともに、教育委員会が子ども、保護者、住民、教職員の声をきちんと受け止め、それを教育行政に反映させる機能を果たすように、その民主的改革を求めます。憲法が保障する教育の自主性、自立性、自由を擁護し、それを生かした教育改革のために力をつくすものです。
一、この動きは、解釈改憲による集団的自衛権行使など、「海外で戦争する国」づくりと一体のものです。秘密保護法によって国民の「目・耳・口」をふさぐ、NHKの経営委員会人事に見られるように公共放送を自らの支配下におく、そして教育制度の改革によって教育への無制限の権力的介入・支配の道を開く――これらの全体が、「海外で戦争する国」づくりの不可欠の構成部分として強行されようとしています。
日本共産党は、党大会で、“戦争する国づくり、暗黒日本への道”を許さない国民的共同を呼びかけましたが、このたたかいがいよいよ重要となっています。“戦争する国づくり、暗黒日本への道”を許さないそれぞれのたたかいを発展させ、合流させて、広大な国民的共同をつくるために、力をつくす決意です。