第25回党大会・第6回中央委員会総会
志位委員長の幹部会報告 「3、東アジアの平和・安定・友好にかかわって――三つの国際問題」より
尖閣問題解決のための三つの原則を提起する
2013年2月9日~10日
「提言」を発表し、日中両国政府、国際社会に粘り強く働きかける
尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐって、私は、昨年9月20日、「外交交渉による尖閣諸島問題の解決を」と題する「提言」を発表し、日本政府および中国政府に、わが党の立場を提起するとともに、関係各国、国際社会に、粘り強く働きかけてきました。
「提言」では、尖閣諸島について、日本の領有は歴史的にも国際法上も正当であるとの見解を表明したうえで、日本政府の対応が「領土問題は存在しない」とい う立場をとり、それに拘束されて日本の領有の正当性を理をつくして主張することができず、中国側の主張にも反論できないという自縄自縛に陥っているという 問題点を指摘しました。さらに、「提言」では、物理的対応の強化や軍事的対応論を、日中双方がきびしく自制すべきであることを強調しました。
冷静な外交的解決に逆行する動きを、きびしく戒めることを強く求める
その後も、日本と中国の両国間の対立と緊張が続いています。それは両国間の経済的・人的交流にも悪影響をおよぼしています。とりわけ憂慮され、絶対に避けなければならないのは、重大な不測の事態、軍事的衝突であります。
日本側から、尖閣諸島への公務員常駐の検討、尖閣問題を理由にした軍事力強化、軍事同盟強化の動きが起こっていますが、これらは冷静な外交的解決に逆行する動きであり、戒める必要があります。
中国側は、政府の監視船による継続的な日本の領海内の航行や、政府の航空機による領空侵犯をおこなっています。中国側にどんな言い分があったとしても、あ る国が実効支配をしている地域に対して、力によってその変更を迫るというのは、今日の世界で紛争解決の手段として決して許されるものではありません。中国 側によって、力によって日本の実効支配を脅かす動きが続いていることは、きわめて遺憾であります。
力対力の対応を続けるなら、それはエス カレートし、制御不能な事態を引き起こしかねません。冷静で理性的な話し合いこそが、問題解決の唯一の道です。日本共産党は、日中両国政府にたいして、日 中関係を正常で友好的なものとするために、大局にたった、理性と決断を強く求めるものです。
三つの原則を一体的に踏まえた解決を提起する
わが党は、すでに発表した「提言」を踏まえつつ、つぎの三つの原則に一体的にのっとって、問題の解決をはかることを提起するものです。
第一は、日中双方が、領土に関わる紛争問題の存在を認め、冷静な外交交渉による解決をはかることです。
第二は、日中双方が、現状を変更する物理的対応、軍事的対応を、きびしく自制することです。
第三は、日中双方が、この問題を、両国の経済関係、人的・文化的交流に影響をあたえないよう努力をはかることです。
わが党は、こうした諸原則を一体的に踏まえた対話による解決が、問題解決の唯一の道であると確信するものです。そして、問題解決のために、党としても可能なあらゆる努力をはらう意思を表明するものであります。