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日本共産党

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赤旗

2012年総選挙政策各分野政策

31、憲法

2012年11月


 日本共産党は、日本国憲法の前文を含むすべての条項を守ります。政党の政策と行動の基礎になる綱領に明記した日本共産党の首尾一貫した憲法政策です。同時に、日本共産党は、憲法の五つの進歩的原則――国民主権と国家主権、恒久平和主義、基本的人権、議会制民主主義、地方自治――については、将来にわたってこれを守り、その全面実施をもとめていきます。人権や民主主義の規定を、現実の政治に生かすとりくみが求められています

 日本国憲法の原則は、世界の進歩的流れをふまえ、それを発展させた先駆的価値をもつもので、21世紀の新しい日本の民主的な国づくりの羅針盤 になりうるものだと考えています。

 こうした見地から、現憲法を「改正」しようとするいかなる行動にも反対します。とくに、米軍とともに戦争ができることを可能にするための集団的自衛権を行使できるよう憲法の解釈を変えようとする野田首相の「解釈改憲」の動きにも、憲法9条を変えて「国防軍」を明記しようとする自民党の「改憲案」にも強く反対します。

 民主党、自民党の両党をはじめいま、同時多発的に改憲の動きがいっせいに出てきています。

 野田首相は8月9日の国会の予算委員会で、「集団的自衛権についての政府内での議論も詰めていきたい」と述べました。この発言は、自衛権の発動は日本への武力攻撃があった場合に限られており、集団的自衛権は保有するが、憲法上の制約から行使はできないという、それまでの政府の憲法解釈の見直しを示唆したものです。自ら議長を努め、関係大臣、財界代表をメンバーにした国家戦略会議の「フロンティア分科会」では、これに先立つ7月6日に、「能動的な平和主義」のうたい文句のもとに、「他国との連携・ネットワークを高めるためには、集団的自衛権に関する解釈など旧来の制度慣行を見直すことも検討されるべきである」との見解をまとめていますが、野田首相の発言はこれに沿ったものです。

 今年に入ってからの動きだけみても、「たちあがれ日本」が「自主憲法大綱案」を発表(4月25日)、自民党が9条を変えて自衛隊を「国防軍」とすることをうちだした「日本国憲法改正草案」を発表(4月27日)、「みんなの党」が「憲法改正の基本的考え方」を発表(4月27日)、民主党の野田首相が議長を努める「国家戦略会議フロンティア分科会」が報告書を発表(7月6日)、自民党国家安全保障基本法案(概要)の発表、「日本維新の会」が改憲発議の要件緩和を主張する「維新八策(最終案)」を発表(8月31日)と続きました。衆参対等一院制国会実現議員連盟の「憲法改正案」の衆院議長提出などの動きも生まれています。

 9月の自民党総裁選挙では、候補者の5人全員が集団的自衛権の容認・行使をうたって「憲法改正」を競い合うという異様な状況が生まれています。勝利した安倍晋三総裁は、「安倍晋三の6つの全力」公約のなかで、「憲法改正」と「集団的自衛権の行使を可能に」を政策の柱に掲げました。安倍総裁もとで新たに幹事長に就任した石破茂元防衛相は、同党の国家安全保障基本法案(概要)をまとめた安全保障調査会長であり、「集団的自衛権の行使」と「国民の責務」(「国や地方自治体、国民の責務を定め、国をあげて国家安全保障に取り組む」)をあげ、安全保障の課題で国民が果たす義務を語るなど平和憲法に背く危険な主張をしています。

 こうした憲法論議とあわせて、「動的防衛協力」をうたい米軍と自衛隊による海外共同基地建設や共同作戦など、「米軍とともに戦争できる国」への具体化や、武器輸出三原則の緩和、原子力基本法への「安全保障に資する」ことを原子力利用の目的としての盛り込み、秘密保全法制定やPKO協力法案をめぐる動きなどが続いています。

 改憲案を発議できる国会の憲法審査会は、2011年10月から衆参両院で本格的に始動し、条文ごとの審査に加え、東北大震災や福島原発事故を口実にして、国家の非常時の超法規的な動きに言及する主張も出されています。

 橋下大阪市長が、震災の復興の停滞が「憲法9条のせい」だとのべるなど、社会の矛盾や行政対応の遅れを憲法9条と結び付けるでたらめな議論もありますが、「荒唐無稽」と片づけられません。マスコミの世論調査では、「憲法改正」への支持が大きく上回ったと報じるものもありますが、「国の停滞」をとりあげて「国の統治の仕組みを定めた憲法に原因があるか」と問い、政治の閉塞状況と憲法を結びつけるというやり方もとられるなど、事実上、政治が悪いのも生活がよくならないのも、実は9条のせいだという、メッセージが公然と発信されている状況もあります。

 現在の日本の政治の停滞や閉塞状況は、現行憲法のせいではありません。国民の意思や願いにさからって、もっぱら財界本位とアメリカいいなりの政治に偏重し、憲法をないがしろにしてきた政治にこそその原因があります。

 日本共産党は、徹底した平和主義をかかげる9条、国民の生存権と文化的生活を明記した25条をはじめ、憲法の全条項を厳格に守り実践することこそ、豊かな国民生活を保障する切り札であり、真に国民本位の政治を実現する道だと確信しており、広範な人々との共同を通じて、憲法を擁護しその条項の徹底のために全力をあげます。

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