2012年総選挙政策各分野政策
25、公務員制度改革
政官業の癒着を断ち切り、国民本位の公務員制度改革、行政改革をめざします
2012年11月
この間、官僚主導か政治主導かどうかが政治の焦点のような宣伝が行われてきました。しかし、政治主導を掲げて政権交代を果たした民主党も、消費税増税と社会保障の一体改悪、危険なオスプレイ配備など、財界・大企業中心、アメリカいいなりの自民党となんら変わらないことが明らかになりました。民主党の国民への裏切りは、官僚主導か政治主導かどうかではなく、改めて、財界・大企業中心、アメリカいいなりという「二つの害悪」の変革こそ、政治の根本問題であることを浮き彫りにしました。
それと同時に、官僚主導「批判」をテコに民主党、自民党、公明党が進めてきた公務員制度「改革」の破たんも明確になってきました。私たちは、政官業の癒着を断ち切り、国民本位の公務員制度改革、行政改革をめざします。
天下りあっせんの禁止ではなく天下りそのものを禁止します
国家公務員法は、民間への天下りを原則禁止してきましたが、2007年、安倍自公政権によって、天下り禁止から天下りあっせん禁止に改悪されました。2007年には、この改悪を批判した民主党も、2009年のマニフェストで、自公政権同様の、天下りあっせん禁止に後退してしまいました。官・民の癒着はさらに深まり、2011年には、経産省・資源エネルギー庁長官が堂々と東京電力顧問に天下るという事件も起こりました。民主党政権は、当初は天下りあっせんはなかったとこれを容認しましたが、国民世論の厳しい批判や日本共産党の国会での追及で、顧問辞職に追い込まれました。癒着が指摘された経産省も、幹部官僚の電力会社への天下り自粛に追い込まれました。官・民の癒着を断ち切るには、天下りあっせんではなく、天下りそのものの禁止が必要であることが鮮明になっています。
また、この問題をめぐっては、天下りだけではなく、電力会社や労働組合から自民党議員や民主党議員への政治献金も明るみに出ました。政官業の癒着を断ち切るには、天下り禁止に加えて、企業・団体献金の禁止も不可欠です。
政権と特権官僚の癒着を断ち切り、民主的な公務員制度の実現を目指します
「官僚主導」の背景には、特権官僚層の存在があります。現在の公務員制度は、戦前の公務員が「天皇の官吏」と位置づけられていたことへの反省から、「全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」(憲法第15条)と規定されています。しかし、歴代自民党政権の下で、そうした規定に反して、キャリアと呼ばれる特権官僚層が復活、政権政党と癒着構造を形成してきました。
自公政権と政権交代後の民主党政権は、この間、この特権官僚層を自らの政権に服従させるために、官邸が幹部公務員を一元管理する国家公務員制度改革法案をそれぞれ競い合って提出してきました。これらは、すべて廃案となりましたが、新たな癒着構造の形成をもくろむものにほかなりません。特権官僚層を温存する「改革」ではなく、特権官僚層を生みだす、天下りやキャリア制度そのものにメスを入れ、幹部も含めて国家公務員全員が、住民と国民の目線にたって働くように改革すべきです。私たちは、公務員が、「全体の奉仕者」として公正中立で効率的な行政を第一とする民主的公務員制度への改革を求めていきます。
労働基本権を回復し、公務員の労働条件の向上をはかります
特権官僚が、天下り先を渡り歩き、驚くほどの退職金をせしめる一方で、一般の公務員の職場では、労働条件の悪化が進行しています。公務員削減の進行により、非常勤職員が常態化し、長時間労働やサービス残業が横行しています。とりわけ、3・11東日本大震災後は、通常業務に加えて復興業務が加わり残業時間は膨れ上がりました。民主党政権は、残業代を十分に手当てしなかっただけでなく、反対に復興財源を口実とした平均7・8%の大幅賃下げを提起し、自民党、公明党とともに、この憲法違反の賃下げ法案を強行しました。
国家公務員は、スト権などの労働基本権がはく奪されている代償として人事院勧告制度がありますが、今回の賃下げは、こうした制度にすら基づかない憲法違反のものです。公務員の賃下げは、公務員の生活を破壊するだけでなく、民間の賃下げと相まって、日本の労働条件全体を引き下げる一因となり、デフレの一因ともなっています。いまこそ、公務員の労働基本権を回復し、労働条件の向上に転換すべきときです。
国の地方機関・独立行政法人の公的役割の発揮を
民主党政権は、「地域主権改革」や「公務員総人件費の二割削減」などを掲げ、国の地方機関の廃止・移譲、独立行政法人の統廃合・民営化を企ててきました。
東日本大震災や頻発する豪雨災害にあたっての救援や復旧・復興に重要な役割を担った国土交通省の地方整備局の廃止・移譲をめぐっては、全国の市町村長でつくる「地方を守る会」からも反対の声が巻き起こりました。国の地方出先機関は、社会資本整備や職業紹介など国の責任で行うべき不可欠な事業等を行っています。国の地方機関の「原則廃止」に反対し、国民のいのちと安全、生活と雇用を守る立場から、国としての役割を果たさせます。
独立行政法人は、民間にゆだねた場合に実施されないおそれがある公共的な事業・サービスを提供しています。民主党政権は、こうした独立行政法人を一律に業務や組織の縮小・廃止、職員リストラを狙う独立行政法人通則法の改悪案も提出しました(審議未了で廃案)。統廃合・民営化ありきの現在の「改革」では、こうした公共性が犠牲にされます。天下りなどの利権をただす改革こそ求められています。