日本共産党

「事務所長意見交換『今後の河川整備の進め方』」

(2000/8/9開催) 発言抄

「ダム無し治水」の方策とホンネに戻る


九州20河川を眺めてみますと、今後の整備のメニューと申しますのは、川の中の掘削残しかございません。堤防の整備は非常に進んでおりまして、20河川、そんなに用地買収を一生懸命やっている河川は少ないかと思います (12ページ、専門官)

最後に、専門的になってしまいますが、余裕高がありますね。いろいろとうちの連中から計算結果なんかを聞くわけだけれども、余裕高もいろいろとランクがあって、その余裕高という考え方がもう少し検討できないものかなと。余裕高って安全度が下流の方だと結構効いてくるものですから、逆に余裕高も工学的にどういうふうに決まっているのかよくわからないけれども、そういうような検討があるべきではないか (17ページ、遠賀川工事事務所)

余裕高についてですが、本明川はダム計画がございますけれども、その余裕高まで水を流すということになると、本明川ダムがなくても流せるんじゃないかみたいなところもあるわけでございます。その辺、余裕高の考え方について十分理論武装をしていかないといけないんじゃないかと考えております (19ページ、長崎工事事務所)

技術的な問題は、先ほども遠賀川の所長とかいろんなところが言われました、ハイウォーターとか余裕高とか掘削とか計画河床、最新河床と、そんなことをどう考えるかによって、相当振れ幅といいますか、選択する幅が増えますので、そこをどう考えるか。そこを大きめにとると、大体水は流れてしまうということになろうかと思います。従来の考え方でいきますと流れませんので、その場合どうするかというと、こぼすしかない。こぼしたときに破堤しないような堤防をつくるかという議論になるかなと。あと竜門ダ ムとの絡みがございます。竜門ダムは古い計画ですので、それとの整合調整をどう図っていくかというのが今後の課題になろうと思います。(改行)それと、今までは上流ダム群ということで、相当押しつけてあったわけですが、1,000 km2ありまして、竜門ですら20か30ぐらいの流域しかない。今後のダムというのは、ほとんどきかないのが当たり前ですので、そういうのを今さら引き連れていくのかという話が悩ましい問題でございます (23〜24ページ、菊池川工事事務所)

今、工実は 6,000トンで計画していますが、既に平成5年、9年の大水害で 6,400トンから 6,500トンの基本最大流量が流れています。それに対応しまして、私ども事務所の案ですが、一応、 6,500トンぐらいの流量で考えていますが、それにしても 100分の1にはならないということで、その説明の仕方とか、それをどうしていくかというのが、非常に今、頭を抱えているところでございます (29ページ、延岡工事事務所)

その中で河川整備基本方針の考え方なんですが、従来の基本高水については、従来の工実の数字をそのまま簡単に踏襲できるという状況ではないというのがわかっている中でどう処理していくかというところが今後の議論だと思います (30ページ、川内川工事事務所)

流量関係等につきましては、きちんと情報公開に堪えられるような検討、あるいは説明方法、そういった言い回しができるようにということでございます。結果的には工実を数値的には踏襲していくような形になるのかなと思っております (31ページ、大隅工事事務所)

その中でやはりちょっと問題になっていきますのは、ダムの位置づけをどうするか。今のところ、予備調ダムをほとんどつぶして、2ダムに集約しようかなと (32ページ、筑後川工事事務所)

要はダム・プラスの河道で基本高水だと、こうつう理屈なわけですね。昔は先ほど申しましたように、上流ダム群というのを、まやかしでもないんですが、押しつけてかぶせたと。現実にまじめに考えると、なかなかそれはできそうもないよと、こういう話になる。そうなると、河道の中で処理するしかなくて、菊池なんていうのは、先ほどの資料にもありましたけれども、85%ぐらい築堤を終わっているわけです。それを今さら引堤があるかと、それも現実にはない。そうなるとどうするかというと、掘るか、盛るしかないわけ。それからもう一つはこぼすかと。破堤させないようにこぼすかということしかない。非常に乱暴な言い方をすると、その3通りぐらいしかない。(改行)そうしますと、そこに絡むのが余裕高の議論とハイウォーターと計画河床と、これを変えてはいかんよとなったら、あとは考える余地がなくて、こぼすしかない。こぼすのが嫌だったら、治水安全度を下げるかと、こんな話しかない (34ページ、菊池川工事事務所)

ハイウォーターも少しぐらい上げたらと、こうなってしまうと、そこそこ流れるんですよね。非常に幅のある議論。だから、そこはぜったいに変えてはいかんといったら、また大引堤をやらんといかん。そんなばかなと、こういう話もあるわけで、そもそも論としては非常にそこが大きいんだと思うんですね (34ページ、菊池川工事事務所)

実は大野川の、今、基本方針はもう通っていますが、あれの策定の際にそれに近い議論がいっぱいあって、要は矢田ダムをなくしたかわりの代替案として川道を掘削するのか、それとも現行踏襲でダムを別の所にセットするかというところで、大分大激論があったんですけれども、ぶっちゃけた話をすれば、大野川の場合も川道の拡幅あるいは掘削は可能なんですね、無理すれば。それで矢田ダムを1個なくしてしまうというのも、あながち全く不可能な議論ではなかったんだけれども、最終的にはやはりダムをこの時点で抹殺することについての、今まで何やってきたのという部分をどう説明していくかということで、現行踏襲に落ちついてしまったという経緯があります (34〜35ページ、調査官)

予備調ダムをつくる話じゃないんですが、消すんだったら、今しか消しようがないから、いつまでも不透明なまま引っ張っていくわけにもいかんでしょうから、どこの流域でも多分上流ダム群という一固まりで残されているはずなんですね。それを整理するのは今回しかないわけですね。 (中略) それに関連するのは、先ほど言ったハイウォーターを変えてもいいのかとか、現実の河床高を使ってもらう。河床掘削をやられていますから、相当流下能力はあるわけですね、それを使えば。そうしたらダムは消えちゃうわけです。整備基本方針や整備計画の進め方という議論はソフトな議論だと思うんだけれども、そこのところがはっきりしないと、かなりぶれ幅が大きくて、なかなか議論が詰まらない (35ページ、菊池川工事事務所)

もう氾濫させりゃいいと思うんですね、ダムじゃなくて。主要基準点というのは、大体どの川も河口の一番人口・資産が多いところですから、例えばそこは今の安全度みたいに100分の1とか 150分の1とか、そこは守りますよ。だけど、上流の主要地点まで同じ安全度で守る必要はないんだから、逆に上流は下流側の基準点が 100分の1であれば、上流は80分の1とか70分の1ぐらいまでなって、残りそれ以上が来たときには氾濫してしまいますよと。だけど、ダムはないんですよと。だから、80分の1だけど、あとの氾濫原管理をしっかりしますと。まちづくりとして考えますと。例えば道路の嵩上げも含み、河川情報の徹底も含み、そういうふうな打ち出し方というのは、本当はあると思うんですね (36ページ、川内川工事事務所)

だから、10cm、20cmで流れちゃうんですね。ただ、遠賀川の場合はもう出来上がっているんで、結局、逆に安全度が高くなっちゃうという逆の言い方になるわけなんだけれども、その余裕高もランクアップしているんですよね。特に遠賀川なんかは何かしらんけど、河口、下流については、1段、2段というふうに、やけに通常のやつよりもランクアップしていて、すごく安全度が高いなと思って、こんなことでいいのかなと単に思っただけなんです。(中略)本当に工学的な観点からいくと余裕高はどのくらいあるのかというのをきちっとやって、あと、そこの余裕分はやはり流れるというふうにしていくべきではないかなと思っているんですけれども (36〜37ページ、遠賀川工事事務所)

新河道計画は新しそうで、古い言葉で結構一人歩きしているようなんですが、もともとの趣旨は大きく分けて3つあったと思っています。1つが、遠賀の所長もおっしゃったとおり、余裕高のランクアップの話とか、河口の出発水位の話とか、非常に計画がまちまちであると。情報公開にもたないだろうという形の中で一斉に整理したい (38ページ 、川内川工事事務所)

河川整備計画で住民の意見を聞いて、初めて堤防の法線を決めるということに法体系上なったんで、直轄河川改修計画というのは一体何なのと。今まで大臣認可までして、それで例えば収用までしていたような、そういう行政の確定した計画であったものが、実はその後の手続きの河川整備計画の手続きでないと、堤防法線が決まらないという形になったので、改修計画そのものが宙に浮いたような形になる (39ページ、川内川工事事務所)

やはり改修計画というものに則って、ある程度地元説明とか、法線の説明というものが入っている経緯があるわけですね。それが、実はあれは何も根拠がなかったんですというのを言うのはなかなかつらいところもあったりなんかして (40ページ、熊本工事事務所)

結局、住民との公開の中で、いわゆる隠すものはほとんどなくなってくるわけです。住民とぎりぎり議論していきますから。先ほどの余裕高の議論もあるんですが、白川の場合と特殊堤を使っていまして、というのは、構造令上、余裕高というのは土堤原則の中 で生まれているわけですね。そうなっていきますと、余裕高の議論というのもなかなか 説明しづらくなってくる。本当は余裕高でいくと、立野ダム一つが吹っ飛んでしまうわ けですね (45ページ、専門官)


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp