一、今日五月三日は日本国憲法施行六十一周年記念日です。いま、憲法の平和的・民主的原則への国民的支持はますます広がり、わが国の憲法のもつ比類ない先駆的価値が浮き彫りになっています。憲法に関する世論調査をつづけてきた「読売」によれば、「改憲賛成」の回答は二〇〇四年をピークにその後は減少し続け、今年はついに、「改憲反対」(43・1%)が「改憲賛成」(42・5%)を上回りました。しかも、「改憲反対」の最大の理由は、「世界に誇る平和憲法だから」(53%)というものです。こうした世論の大きな変化は、いまや列島津々浦々で七千を超えるにいたった「九条の会」をはじめ、執拗(しつよう)な改憲キャンペーンに抗して、草の根で粘り強く取り組まれている改憲阻止運動がもたらした貴重な成果です。
一、この間の、イラクへの自衛隊派兵に関する名古屋高等裁判所の判決は、「平和な世界と日本を」「憲法を大切にしたい」と願う多くの人びとを励ます画期的なものでした。
政府は自衛隊のイラク派兵について、武力行使ではない∞戦闘地域で活動するものではない≠ネどと強弁してきましたが、今回の判決は、イラクの現状や自衛隊の活動の実態をつぶさに検証したうえで、自衛隊のイラク派兵が、憲法九条はもちろん、政府が海外派兵のよりどころにしているイラク特措法自体にも違反していると断じました。
判決が、憲法前文に明記された「平和的生存権」について、それが政府のいうような「抽象的な権利」にとどまらない「基本的人権の基底的権利」「具体的な権利」だと判示したことも、憲法をいっそう豊かで実りあるものとするうえで大きな意義をもつものです。
一、改憲勢力が巻き返しをはかる動きに出ていることは軽視できません。これまでは自民党の国会議員を中心に組織されていた「新憲法制定議員同盟」は、今年三月、「草の根から改憲機運を盛り上げる」ことを目的に、民主党の幹部も役員に加えて活動をはじめています。また改憲派議員は、国会に設置したものの、事実上開店休業¥態を余儀なくされている「憲法審査会」を始動させ、早期に改憲への足がかりを築こうとくわだてています。さらに、自衛隊の海外派兵を恒久化するための法制定も依然としてねらわれています。
日本共産党は、こうした改憲のくわだてに断固として反対するとともに、文字通り憲法の平和的民主的諸原則を生かす政治を実現するために、国民のみなさんと手をたずさえて奮闘する決意を表明します。