◇「党綱領改定案」から市場経済を通じて社会主義に進むことは、日本の条件にかなった社会主義の法則的な発展方向である。社会主義的改革の推進にあたっては、計画性と市場経済とを結合させた弾力的で効率的な経済運営、農漁業・中小商工業など私的な発意の尊重などの努力と探究が重要である。国民の消費生活を統制したり画一化したりするいわゆる「統制経済」は、社会主義・共産主義の日本の経済生活では全面的に否定される。 →関連部分 |
市場経済といいますと、何か資本主義と同じものだと思っている方もおいでですけれども、市場経済というのは自由に商品が売買され、市場で競争し合う仕組み、体制のことです。これは資本主義に向かう道筋にもなれば、条件によっては社会主義に向かう道筋にもなりうるのです。
日本はいま、資本主義的な市場経済が支配している国であります。そこで私たちが将来社会主義への道に踏み出すとしたら、資本主義的市場経済のただなかに、社会主義の部門が生まれることになるでしょう。もちろん、そこには資本主義の部門が残っていますから、社会主義の部門と資本主義の部門が同じ市場の中で競争し合うことになるでしょう。社会主義の部門が能率が悪くて、製品の出来も悪かったら、そういうだめな社会主義は当然、市場で淘汰(とうた)されます。そういう過程をへながら、経済の面でも一段一段、国民の目と経験で確かめながら、社会主義への段階を進む。当然、日本はこういう道筋をたどるでしょう。
(「党綱領の改定について」不破議長の党創立81周年記念講演から)
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第二の点は、市場経済を通じて社会主義へすすむ問題であります。
中国やベトナムの場合には、いったん市場経済をしめだしたあとで、市場経済を復活させる方針に転換し、いま「市場経済を通じて社会主義へ」という道に取り組んでいます。しかし、日本の場合には、いま資本主義的市場経済のなかで生活しているわけですから、社会主義に向かってすすむという場合、社会主義的な改革が市場経済のなかでおこなわれるのが、当然の方向となります。市場経済のなかで、社会主義の部門がいろいろな形態で生まれ、その活動も市場経済のなかでおこなわれる、そういう過程がすすむし、その道すじの全体が「市場経済を通じて社会主義へ」という特徴をもつでしょう。
そこで、どのようにして、計画性と市場経済とを結びつけるのか、農漁業や中小商工業などの発展をどのようにはかってゆくのか、それらは知恵の出しどころですが、そういう点を重視しながら、日本らしい探究をすすめることを、わが党の注意点として書きました。
なお、「計画経済」を国民の消費生活を規制する「統制経済」に変質させてはならないという点は、「自由と民主主義の宣言」をはじめ、わが党が一貫して重視してきたことです。
(「日本共産党綱領改定案についての提案報告」から)
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