1998年4月20・21日

日本共産党第2回中央委員会総会

不破哲三委員長の幹部会報告(その2)

 四月二十、二十一の両日にひらかれた日本共産党第二回中央委員会総会で不破哲三委員長がおこなった幹部会報告(その2)はつぎのとおりです。


二、参院選──党躍進の任務をなしとげるために

(1)党大会決定を全党が身につける

 参議院選挙の方針では、まず第一に、党大会決定を全党が身につけることの重要性を強調したいと思います。

二十一回党大会の決定は、長期にわたる全党の基本方針

 情勢の見方について、大会決定の分析が半年間の裏づけをへて発展していることはすでにみました。

 昨年十一月の都道府県委員長・書記長会議で強調したように、この大会決定はつぎの大会までの全党の基本方針であります。ことの性格からいいますと、もっと長期的な方針――二十一世紀の早い時期に新しい民主的な政権をつくるまで生きる方針だといってもよいと思います。ですから、どの地方でも、あるいは党のどの部門でも、その党組織の活動がどれだけ前進したかは、なによりも大会決定の方針によってはかられます。これが評価の基準になります。

 大会決定は、個々の課題についての当面の方針をのべているだけではありません。大局的な方針、たとえば政治論でも、民主的政権への接近のためになにが必要かという問題について、五つの角度からの提起をおこないました。党活動の問題でも、さまざまな当面の諸課題とともに、「党建設の重点的な努力方向」として、六つの重点的課題を提起しました。それぞれの内容は略しますが、われわれの全活動をその角度からはかって、わが地方ではいったいどこまで前進したか、どの分野でどういう前進があったか、そのことを一つひとつ見定めながら活動をすすめてゆくことが大事であります。その意味では、まさに長期の方針で、今回、中央委員会総会がおこなわれたからといって、大会決定を身につけることの意味が薄まるわけでは全然ありません。

 参議院選挙の方針も、これから具体的な提起をいくつかいたしますが、基本は大会決定に大筋が明記されています。

 そういう意味で、私たちがこれからのたたかいをすすめるにあたって、つねに大会決定を頭においてあらゆる課題にとりくむ、これが党の基本姿勢であることをまず強調したいのであります。

 その大会決定の読了率は、四月十二日現在で、五二・七%、党員の半数を若干こえたところであります。これまでの大会とくらべますと、十九回大会は二十回大会時点で三六%の読了率、これは四年間の成果でした。二十回大会は、二十一回大会時点で四五%の読了率、これは三年間の到達点であります。これまでのこれらの数字にくらべれば、五二・七%という読了率は一定の前進を反映しています。しかし私たちが大会で志を定めたように、全党読了という目標からするならば、まだまだ道半ばであります。

 参議院選挙への意欲的なとりくみのためにも、大会決定を指針として身につける活動を、私たちはこんごも重視してとりくみたいと思います。それには、この問題をけっして中途半端にしないという指導と活動が肝心であります。

全党が大会決定を日常の活動の指針に

 ですから、この二中総の後も、私たちは、大会決定の読了を中心課題として追求したいと思います。もちろん、二中総の決定の討議と読了は、規約にも定められている全党の義務的な課題ですが、それを推進する方法としては、二中総決定については、支部討議の進行状況は報告をもとめるが、読了率の報告はもとめないことにしたいと思います。大会決定の具体化として、参議院選挙のとりくみの推進のために二中総決定を読み、支部でそれを具体化し、機関で具体化する。そういう討議と読了の政治的意義は明白であって、政治的におおいに推進しなければなりません。しかし読了の報告は、大会決定一本にするということです。

 大会決定の読了をすすめる場合、大事なことは、問題を、まだ読んでいない党員、未読了者だけの問題にしないという点です。

 大会決定を身につける全党的な運動をひろめ、党の活動のなかでたえず大会決定にふりかえる、大会決定で情勢を見定め、大会決定を具体化して方針をすすめるという活動の気風をうちたてる、そのなかで、未読了者の問題も位置づけるという態度が大事であります。読了した同志たちが実際の活動では大会決定をたな上げし、なにを書いてあるか定かでないという状態で、読んでいない同志に読了をすすめても、これはなかなか本音の話にはなりません。ですから、党機関や支部自身が、活動のなかでたえず大会決定にたちもどること、また新しい情勢や新しい課題の発展をふくめながら支部でも学習的な討議を大会決定中心によくおこなうこと、そういう雰囲気のなかでこそ、未読了の党員の読了もいっそう推進されるわけです。

 大会決定を身につけ、大会決定で活動を推進するという全党的な運動と雰囲気のなかで、この問題も抜本的な解決をはかる、こういう姿勢でのぞみたいと思います。

(2)参院選での党躍進の目標を明確につかむ

 参議院選挙の具体的な諸問題についてはことし二月の都道府県委員長・参院選挙責任者会議で十の問題を提起しました。そのなかには、答えを比較的早くだせる問題もあれば、かなり検討の余地がある問題もありましたが、十の問題点を指摘して、その結論は二中総でだすことにしました。この間の全党的な検討や経験もあり、そのことをふくめて、これからいくつかの問題について話したいと思います。

選挙での躍進は、国民にたいするわが党の責任

 まず、参議院選挙での躍進の目標についてです。政治の流れを変える――これはいまや国民的な課題となっておりますが、そのためにも、日本共産党が国政選挙で躍進することは、わが党の国民にたいする責任かつ義務であることを銘記したいと思います。

 党大会ではその構えで参議院選挙をたたかう方針を決めました。比例代表選挙については「党支持票を大きく増やして議席の画期的な躍進をめざす」、選挙区選挙については「必勝区と非必勝区の垣根をとりはらい、全選挙区で、議席を争うかまえで、“自共対決”の選挙戦をたたかう」という目標であります。各党組織がこの目標を具体化してとりくんでおりますが、実際に現在の政党状況をみますと、全選挙区で自民党と対決するのは日本共産党だけであります。すでに選挙戦の配置そのものがそういう状況になっています。

 比例代表選挙での議席の躍進についていいますと、これは数字的な計算ですが、総選挙と同じ得票率一三%をかちとるなら、これは比例での六・五議席、七議席に近い数字となります。また、有権者比の得票目標は全国平均では二〇%に近づいていますが、有権者比二〇%の得票を獲得したとすれば、前回並みの投票率として、これは比例での獲得議席二十二〜三議席にあたるものとなります。そういうことを頭におきながら――ここまでという議席の上限は決めません――、できるかぎり議席を増やして、議席の画期的な前進に貢献するというのが、比例代表選挙の任務であります。

 選挙区は、文字どおり全選挙区で議席を争うという大会での基本方針を実行するさい、得票目標をどうするかという問題があります。これは二月の会議で提起した問題ですが、党勢力の比較的弱い一人区ほど、議席をめざすのに必要な得票目標は、数字でいえば高いものになります。だからといって有権者比の目標をそこまで引き上げることは、無理があります、有権者比で全体としては十数%あるいは二〇%を目標にしながら、一議席を争うからということで、選挙区だけは三〇%ないしそれ以上をめざすということは、運動としてたいへん無理な構えになりますから、そういうやり方にしないで、有権者比目標をそのまま堅持しながら、選挙区選挙ではこれを大幅に突破して議席獲得をめざす、このことを基本にして対処したいというのが、この問題での中央の結論であります。

比例と選挙区の相乗作用を発展的にとらえる

 たたかい方では、党大会でも「比例を軸に」ということ、政党選択での日本共産党への支持をもとめる、これを選挙戦全体の基調にするということを強調しました。これが比例での選挙戦と選挙区での選挙戦とを統一する、いわば大きな土台でもあり、基本でもあります。

 ただ、今回の選挙戦では、全選挙区で、「自共対決」で議席を争う構えでとりくむというところに、こんどの新しい方針があります。従来は、重点区あるいは必勝区とされた選挙区では、選挙区で議席をめざしながら比例でも前進するという構えをとりましたが、それ以外の選挙区では、比例選挙を重点ということで選挙区選挙についての本格的な構えを強調しませんでした。しかし、今回はその面でのたたかい方はちがってきます。全国的に、選挙区の議席を争いながら、比例で躍進するという新しい問題が、これまで非必勝区とされてきたところでも提起されています。つまり、二つの選挙の相乗作用に前回とはちがった発展性があるというのが、今回の選挙戦の特徴であります。

 選挙区選挙そのものが、それぞれの選挙区なりに、「自共対決」の様相を深めて展開されているのが、現状です。それで、比例を軸に全国的な規模で政党選択を大きく争い、比例選挙での前進に力をいれると同時に、選挙区選挙も思いきってたたかい、そこでの日本共産党の比重と役割を高めることを政党選択での支持をさらに大きくする力にする、そういう発展的な関係をつかんでたたかうことが重要であります。

(3)参院選をたたかう選挙態勢を全党的に確立する

 つぎに、新しい特徴、方針もふくめて参議院選挙をたたかう党の態勢の問題です。選挙の投票日はまだ決まっておりませんけれども、現在は、参議院選挙まで二カ月有余という時点であります。

選挙態勢の現状には情勢からの大きな立ち遅れがある

 では、わが党の活動とその態勢が、躍進を意気込む参議院選挙の二カ月前という状態にふさわしい形になっているか、全党が選挙戦の配置につき、それにふさわしい躍進の意気にもえてたちあがっているかというと、そうなっていないというところに、私たちが率直にみつめるべき重大な現状があるということを、まず最初に提起したいのであります。

 これは活動の実際の数字にあらわれています。

 たとえば、いま参議院選挙準備の中心課題の一つとなっているポスター、ステッカーの現状をみましょう。私たちは、政党ポスターを百一万六千枚、全国の党組織に送りました。四月十二日現在で、これが張りだされているのは六十一万四千枚、約六〇%です。各地方党組織がつくっている連名ポスターは、総合計で百二十四万四千枚つくられたと報告されています。しかし、同じ時点で張りだされているのは六十六万八千枚、約五四%です。消費税問題などのステッカーは百万三千枚送付しました。張りだされているのは十六万枚、約一六%です。選挙区によってデコボコはありますけれども、選挙前二カ月あまりという時点で、ポスターやステッカーが、全国的にみて、用意された数の半数そこそこしか張りだされず、ステッカーにいたってはきわめて少数しか張りだされていない。これが、数字にいや応なくあらわれた、われわれの活動の現状です。

 また、選挙戦で全有権者に働きかける活動として、「しんぶん赤旗」号外などの全戸配布という問題があります。この活動の最近の状況をとってみますと、一月号外の配布に全党がとりくみましたが、一月の末までに配布されたのは五九・五%でした。二月十三日の最終報告でようやく九二・八%になりましたが、九割台をこえるまでに、ほぼ一カ月近い時間がかかっています。しかも二月の最終報告の時点でも、完了したと報告されたのは、岐阜、山梨、兵庫、長崎の四県だけでした。

 さらに、全戸配布といっても、中央から送る部数自体が――これは各県との相談のうえで送っているわけですが――、日本の全世帯数は四千五百五十万ですが、一月号外はその六〇・五%にあたる数しか送られていません。その部数の配布率が一カ月かかっていまあげた状態であります。一月号外はいつもより少ない部数だったとのことですが、通常の配布の場合にも、ほんとうに全戸配布という態勢でなくて、世帯数の七二%分しか送られていません。

 ですから全有権者に働きかけるといっても、現在おこなわれている全戸配布の規模は、まだ大きな穴があるし、その範囲でも時間がかかっている、こういう状態が、参議院選挙の年であることしを迎えて最初の号外の状況でした。

 選挙戦では、限られた期間のなかで、全有権者むけの配布活動を機敏に何回もやる必要があるし、これから選挙がはじまるまでの期間にも、政党として必要な宣伝活動にくりかえしとりくまなければなりません。この活動を、日本の政治の今後を争う大事な選挙戦にふさわしい形で、もれなく、しかも機敏に、全戸の規模で実行する態勢をつくりあげることは、急務であります。

 このように、わが党がまわりからはあれだけ躍進の可能性をいわれ、全党もかなりその気になっているはずなのに、実際の活動がそれにふさわしい水準と規模に達していない。このことを私たちはおおいに警告もしたいし、それぞれの党機関がそこに目をむけ、至急、今日の時点にふさわしい、この選挙の性格と意気込みと目標にふさわしい態勢をつくりあげる仕事にとりかかってほしいと思うわけです。

二つの消極主義、受動主義を克服する

 なぜこういうおくれがあるのか、この問題を分析してみますと、二つの問題があると思います。

 一つは、情勢がかなりいい、風もあれば、流れもいい、そういうことをみて浮き足だったといいますか、いわゆる「なんとかなる」論が頭をもたげる、そういう傾向がたしかに一面にあると思います。しかし、わが党には、風や波だけを頼りにして、自動的に前進できるという選挙戦はどんな場合にもありえません。わが党が前進することは、支配勢力にとっては、いちばん手痛いことですから、ありとあらゆる反撃で対抗してくるというのは法則であります。“情勢がいい”ということは、われわれが奮闘すれば、その奮闘が、過去の困難な時期よりも二倍三倍、さらにより大きい前進に実りうる、そういう情勢が発展しているということであって、全力をつくしての奮闘をぬきにして前進が可能だということではありません。そのことを銘記することが大切であります。

 他方ではまた、逆の傾向として、情勢の進展に党の認識と活動がついてゆかないがゆえの消極主義、受動主義が現にあるということに、大きく目をむける必要があります。

 大会の決定は、今日の情勢の展開を指摘しながら、「こうした歴史的激動のもとでは、客観的情勢が大きく発展し、前進しているのに、かんじんの党組織と党員の政治認識がそれにたちおくれることが、おこりうる」、だから、情勢の認識にたちおくれはないか、その情勢にふさわしい党活動になっているか、この両面からの自己点検が大事だということを強調しました。

 われわれは七〇年代の半ばからかなり長い反動攻勢の時期を経験し、そのなかでがんばりぬいてきたわけですが、その時期が長かっただけに、新しい情勢がまわりで発展していても、なかなか自分のこととして、それをうけとめない、そういうたちおくれが生まれやすいことは、これまでもくりかえし指摘してきました。そういうことから、思いきって足がでないというこの傾向にも、私たちはしっかり目をむけなければなりません。

 実際、一昨年の総選挙のときにも、昨年の都議選のときにも、その結果がでたあと、惜敗した選挙区で、「こんなに接戦だったら、もっと力をだすんだった」という嘆きの声がかなりきこえたものですが、これではやっぱり、“あとのまつり”の感想になります。その後も、情勢は当時よりさらにすすんでいるわけで、そのなかで、重要な選挙をたたかうごとに、また同じ種類の感想がしばしばきかれるというのが実態です。ここを意識的に主導的にのりこえる必要があります。

 たとえば、ポスターの張りだしという問題一つをとっても、同じようなことが経験されています。先日、新潟の演説会にゆきました。その新潟県での経験ですが、従来だったらポスターを電柱に張っていた。電柱に張る活動というのは、電柱を説得する必要がないわけですから、いわば、物理的な仕事ですむわけです。しかし、今回はそれをやめよう、個々訪問して、それぞれの店や家に張らせてもらう活動にきりかえようとした。この方針を支部で議論すると抵抗があったというのです。“それは大変だ”、“なかなか張らせてくれないだろう”という声がでる。地区機関がおおいに支部を説得し、一緒にやろうということで、支部の同志もふみきって歩いてみたら、三十軒が軒並み、“共産党のポスターけっこうですよ”と張らせてもらった。その成功で“気分そう快、これならなんでもやれる”とおおいに確信が深まったという報告でした。先日、ポスター問題がおくれているいくつかの大県を中央によんで会議をしたときにも、同じような報告が各県からありました。

 こういう一つひとつの活動にも、情勢にたちおくれるという問題が、かならずでてきます。それほど、いまの情勢の進展は激しく、大きいし、“躍進の情勢”と同じようにいわれても、その質はたえず前進している。これが大事な点であります。

 ですから、情勢がいいからという「なんとかなる」論や、情勢がいいといっても自分のまわりはちがうと思いこむ消極主義、この二重の受動主義をのりこえて、全党が参議院選挙勝利の配置につき、そして早くから、いや、いまただちに、たちあがって、全力をつくす、そしてみずからの手で躍進をかちとる。この活動と指導がいまきわめて重要だということを強調したいのです。

態勢の問題──「支部が主役」の選挙活動を軌道にのせる

 そういう意味で、本格的な選挙闘争の態勢を、党機関、支部、後援会にいたるまでとろうと思うと、これにはなかなかの仕事があります。

 まず、党機関についていいますと、みずからの態勢を確立すると同時に、支部の選挙態勢を確立する指導、これを重視しなければなりません。この指導は、支部にいろいろ課題を割り当てることですむというものではありません。支部が、「支部が主役」の選挙活動に、大いに創意をだし自発性を発揮してとりくむように、支部活動を軌道にのせる。そのためには、支部会議を定期的にもつよう支部生活の確立をはかる。大会決定や今回の二中総決定、大会で新たに確認した「四つの原点」にてらして、目前の選挙戦にむかって「政策と計画」を充実させ、また、その支部のこの選挙での目標を明確にする。

 選挙戦の諸課題についても、党員が個々別々にとりくんで、その合計が支部の成果になるということだけですませないで、支部の活動として協力しあって課題の全体を遂行するよう、そういう実践にふみだす。こういう支部の態勢を早くつくりあげることが、機関の指導の眼目の一つであります。

 また、選挙中、あるいは選挙にいたる過程での、支部にたいする政治指導の態勢を整備することも重要であります。大会では、「中二階」の指導をやめるということをかなりくわしく問題点を指摘して報告しました。しかし、大会後これまでの選挙戦をみますと、依然としてこれが残っている党組織がかなりあります。はっきりいって、「中二階」といった指導方法を残したままでは、「支部が主役」の選挙戦にはならないのです。支部との関係でも、「中二階」に配置された幹部をつうじて支部をつかむということになりますから、地区自身が支部の活動状況を的確につかめない。そのことは、選挙戦が敵、味方どういう形で現に展開されているかということを、現場のレベルでつかめないということになります。支部の方からいえば、地区の方針をじかにきくこともない、他支部の状況を交流の会議でききあうこともないということで、支部もまた、選挙戦の情勢や方針を的確につかまないままでたたかうことになります。極端な場合には、「中二階」に配置された幹部が、支部の活動家を個々に結集して、結局は少数の力で選挙戦を最後までたたかうということになることさえあります。

 こういう面でも、選挙戦にはいってからあわてないように、早くから、党機関と支部が直結した指導の態勢をよくねって準備してあたることが大事です。

必要な諸準備が的確にすすめられているか

 その他にも、選挙戦の諸課題の準備といえば、いまただちにとりかかり、ととのえなければいけないことが、たくさんあります。

 対話・支持拡大の問題でいえば、あらゆる結びつきを生かしての対話が大事ですが、現在支持者台帳をもっている支部がどれだけあるかを調べてみますと、三分の二の支部しか支持者台帳をもっていません。支持者台帳はこの活動のいわば一つの象徴であって、さまざまなつながりの名簿が支部に用意されていないと、あらゆるつながりを生かした選挙戦にはならないのですから、そういうものの用意にも意識的にとりくまなければなりません。

 有権者全体にたいして電話をかける活動というのは、対話の活動として非常に重要なものですが、そのなかでも、実際に人と人とのつながりを生かした対話は、対話の活動全体のいわば骨組みになるものです。やはり党の活動というのは、党と国民のあいだのつながりを具体的に発展させる問題ですから、電話の活用はおおいに重要でありますが、電話帳での無差別の対話だけがすべてだというやり方でなく、つながりを生かすためのいろいろな台帳の準備にもいまからしっかり目を配る必要があります。

 東京四区の補選で威力を発揮したハンドマイクなども、いまのうちから準備をするとか、ここであらためていうまでもなく、選挙戦の諸道具・諸準備というのは決まったものがあります。それらがきちんと用意されて、その面からも、支部の活動をはげましていくかどうかというのが、機関の指導性、積極性が問われる大事なところです。

解散・総選挙にぬかりなく備える

 なお昨年十一月の会議で、解散・総選挙に備えるために、総選挙の候補者は、ことしの春までに、内定するということを確認しあいました。しかし、実際には、小選挙区の候補者は、まだ全国でほぼ半数の選挙区でしか内定していません。桜が咲くころまでになんとかするといって、なんとかならないのは、どこかの政府の景気対策ですが、われわれがそれと同じことをやるわけにはゆきません。至急この面でのおくれものりこえて、解散・総選挙を要求するわれわれ自体が解散・総選挙にたいして、万全の備えをとるということで、この用意も着実にすすめたいと思います。

(4)「自共対決」を軸に政治戦を主導的にたたかう

 つぎに参院選のたたかいの内容であります。まず、政治戦の問題からのべたいと思います。

「自共対決」を政治戦の主軸にすえる

 われわれが参議院選挙を展望する場合、「自共対決」が政治戦の主軸になることは、あきらかであります。私たちは当面の政策についても、あるいは、二十一世紀をめざしてどんな日本をつくるかという問題についても、自民党政治にたいして明確な対案をもち、対決の立場をあきらかにしており、これが政治論争の主軸になることは、総選挙においても、各地の中間選挙においても、証明されてきたことです。

 それにくわえて、いま強調すべきことは、政治論争においてだけでなく、実際の選挙戦の活動でも、われわれが“自共対決”にふさわしいたたかいをやるということであります。

 これまで自民党の政治的な地盤だった階層あるいは分野にも、それをくずす大きな変動がおきていることは、さきほど指摘しました。そういう分野や階層のなかでも、悪政推進の立場にたつのか、それとも批判と転換の立場にたつのかの対決点をおおいに訴えて、そこに日本の政治を変えてゆく大きな地盤をきずいてゆく、いいかえれば、社会の全分野で「自共対決」の争いをやるという構えが重要です。

他の諸党との論戦でも「自共対決」の角度が重要

 また、選挙戦は、たくさんの政党が参加する選挙ですから、全分野をみることは、もちろん大事です。マスコミでも、いまの政党状況について、“三つの勢力”という見方がかなり増えてきています。自民党と日本共産党と、“非自民”のその他の野党というくくり方ですが、“非自民”の野党のあらわれ方は、選挙区によってちがいますけれども、ともかく大きくそういう諸勢力のあいだで、選挙戦が争われることはまちがいありません。当然、自民党以外の政党との批判や論争も、重要な課題になります。

 そのさい、大事なことは、自民党以外の政党への批判や論争においても、「自共対決」の角度からこれにとりくむという立場です。つまり、自民党政治の流れをだれが変えるのか、どの政党が自民党政治の流れを変える先頭にたちうるのか、またその力をもちうるのか、こういう角度からの論争、論戦が大事であります。

 「日本共産党を除く」という体制がくずれ、当面の問題で「総与党化」の体制にひびがはいり、野党共闘の一定の前進がある。これが国政の客観的な状況ですから、このときに、そういう状況が生まれる以前の“オール与党”批判のやり方、すべての党が自民党と一緒だという一律批判の論戦をやるのでは、これはわれわれ自身が情勢からおくれ、道理をもたない立場をとることになります。そういう点で、選挙戦でも今日の情勢にふさわしい論戦に熟達することが重要であります。

 選挙区の状況をみますと、野党であっても、自民党や社民党など、与党との連携を無原則にとる傾向もあらわれています。これは地方政治での自民党との連合とともに、われわれが批判をむけるべき「総与党化」の流れそのもので、こういう流れにたいしては、その角度からの批判が必要です。

 また、選挙区ごとの候補者批判は、政党間論争とは別個の性質をもっており、状況に応じて、候補者批判を重視してとりくむのは、当然です。

党のおしだし──有権者の関心に応じ多面的に党を語る

 党のおしだしの問題では、有権者の関心に応じて、多面的に党を語るというのは、これまで私たちが、一貫して強調してきたことです。とくに最近では、日本共産党への有権者の関心の内容は、多角的で多面的です。

 ある時期には、「唯一のほんとうの野党」というのが評価の中心となったこともありました。このごろは、与野党問わない政党の混迷のなかで、「政党らしい政党だ」という評価をきくことが多くなってきました。そこには、日本共産党の値打ちにたいする、おのずからの見方があるわけで、そういう角度からの党のおしだしも、大きな意味をもっています。

 それから、いまあちこちで、「日本共産党は筋がとおっているが、いったい流れを変える力があるのか」という議論がけっこうあります。こういう問題を的確に論じることも大事であります。

 これには、二十一世紀に政治を変える展望と力をもっているのだという将来的な話と同時に、今日、現に、日本共産党が日本の政治を動かす大きな力を発揮しているという、現在の役割の説明が大きな論点になってきます。

 東京の四区の補選では、民主党の候補とわが党の候補はともに三万五千票台で三百票あまりの票差しかありませんでした。民主党の側は、民友連に新党・平和が連合して七党の連合でしたが、その七党連合の力と日本共産党単独の力がほぼ拮抗(きっこう)したということで、アメリカ筋あたりからも海をこえて反響が私どもにきこえてきました。私どもは前から、激動の情勢のもとでは、国会の議席の力関係と、有権者のあいだでの力関係に大きな落差があるといってきましたが、ここには、そのことの端的な証明がありました。七党連合は、議員の数にしますとわが党の数倍になります。議席は数倍のひらきがあっても、有権者のあいだではわが党がそれに匹敵する力をもつ。ここにも、“わが党には力があるのか”という疑問にこたえる一つの大事な論点があります。

 わが党が前進し共闘の条件がつくられるなかで、野党共闘が力をもってきたことも、いまの日本の政治を動かす大事な問題です。また、東京都政では、昨年の都議選で大きな争点になった東京都の「財政健全化計画」、なかでも大問題になったシルバーパスの廃止、公共料金値上げ、お年寄り医療の助成廃止などの内容が、わが党が第二党に前進した新しい都議会で、撤回されたり否決されたりしました。地方政治のこういう状況も、日本共産党の躍進で現実に政治の流れが変わることの実例として、いまおおいにわかってもらう必要のある点です。

 日本共産党と無党派が連合して政治をになうという地域もどんどん増えています。

 そういうことをふくめ、日本共産党は、二十一世紀に政治を変える力があるだけでなく、現在においても、政治の流れを変える方向で現実政治に力を発揮している、そのことの解明にもしっかり目をむけて党を語ってゆきたいと思います。

無党派層への政治的よびかけを重視する

 無党派層への政治的呼びかけは、この選挙戦でも大事な問題ですが、この点でも、国民的な生活危機が新たな無党派層を生みだし、切実な形で政治のきりかえをもとめている、こういう新しい状況にふさわしい創意・工夫を発揮した活動がもとめられていることを強調したいと思います。

 商店街の変化という問題はさきほどのべましたが、同じことは、農民層のあいだでも、より広い中小企業層のあいだでも、あるいはお医者さんなど医療関係のあいだでも、青年学生の分野でも、さまざまな形でいまひろがっています。そこに目をむけて、たとえば演説会などをひらく場合にも、多くの地方ですでに実行されていることですが、いままで接触のなかった団体や個人にもお誘いの網の目をひろげる、そういう新しい創意をおおいに発揮する必要があります。

反共攻撃への反撃、新たな政治状況もふまえて

 最後に、政治戦で大事な問題は、反共攻撃への反撃であります。わが党をめぐる政治状況はかなり変わってきましたが、これは、わが党の前進をよしとしない勢力からの反共攻撃が、もう過去の問題になったということではありません。いまでも、いろんな 反共攻撃をわれわれは経験しています。

 この問題でひとことのべておきますと、私たちは他党との政策論争はおおいに歓迎するものであって、日本共産党のあの政策はまちがっているという批判が他党からあったからといって、これを反共攻撃とは呼びません。同じ立場で、われわれもいろんな党の政策を批判します。政策がちがう点について、どの政策が妥当かという論争は、偏見なしにどの党ともおおいにやるべきだし、こういう批判をうけたときに、われわれが政策論争をもってこれにこたえるという態度をとるのは当然であります。

 しかし、日本共産党への批判のなかには、「共産党=悪」論にたった、「あの党は体質的に日本に存在しないほうがいい」という立場にたった、そういう攻撃がいまでもあります。われわれはこれを反共攻撃といっているわけです。

 最近の京都の知事選挙では、相手の候補者自身が“共産党は市場経済のわからない党”だとか“民主集中制だから地方自治にそもそも反対なんだ”とか、「共産党=悪」論をむきだしにした反共攻撃をしきりにやりました。また、国会でわが党が共闘している野党の一部にも、あいかわらずソ連問題をもちだし、“ソ連は独裁政治の国だった。それを日本にもちこむのが日本共産党だ”といった、荒唐無稽(こうとうむけい)な日本共産党攻撃をいまでもやっている党があります。

 そういう反共攻撃にたいしては見逃すことなく反撃をする必要がありますが、おもしろいといいますか、重要なことは、こういう反共攻撃をめぐる動きにも、いまの情勢の変化が反映していることです。

 京都の場合ですが、候補者を先頭に、自民党陣営の全体が口をひらけばその種の反共攻撃というやり方でした。その自民党のもっとも有力な人物の一人が、選挙が終わってからこういう述懐をしたそうです。“同じことのくりかえしで、聴衆の反応はなく、いっている自分がいやになった”。これは自民党陣営からの嘆きの声でしたが、京都のマスコミでも選挙が終わってからこういう記事がでました。「有権者は政策が聞きたいから会場に足を運んだんだ。他人の悪口を聞きにいったのではないはずだ」。痛烈な苦言です。そして、知事候補が「共産党を利することだけは絶対にしない」と宣言したことをとらえて、こう「宣言するに至っては、だれのため、何のために府政を担うのかと、首をかしげてしまった」。こういう批判が、選挙を総括したマスコミの論評にでたぐらい、反共攻撃はひどかったわけですが、「共産党=悪」論にたった反共攻撃が、マスコミからひんしゅくを買い、当人たちも嘆きの声をもらすほどに、有権者の気持ちから浮いてしまう。ここに今日の新しい情勢のこの問題での反映もあるのです。ですから京都では、この種の反共攻撃がいかに時代おくれのばかげたものかという反撃が、有効な力をもちました。反共攻撃への反撃では、こういうことも念頭におく必要があります。

 なによりも私たちの反共反撃は、反共攻撃をやっているご当人に事をわからせるのが中心ではないのです。こういう論争をつうじて、広範な有権者に日本共産党のほんとうの姿を知ってもらうところに主眼があるということをしっかりつかんで、反共反撃にとりくんでゆきたいと思います。

 以上が、政治戦をたたかう若干の基本点であります。

(5)「自共対決」のもとで組織戦をいかにたたかうか

 つぎに提起したいのは、組織戦の問題です。

組織戦の今日的な重要性を正面からとらえよう

 こんどの参議院選挙で、「自共対決」のもとで組織戦をどのようにたたかい、ここでどうやって勝つか、これは、わが党に提起された大問題だと考えています。

 実際には、「しんぶん赤旗」の拡大で努力していますが、増える月もあれば減る月もある、しかし、それにもかかわらず選挙では前進をするという現象があります。なかには、「『しんぶん赤旗』が減っても選挙では勝つ」という新しい法則が働いているんだとかといってみずからをなぐさめる向きも、なきにしもあらずときいています。情勢が有利に展開するなかで、組織的なおくれがあってもそれをのりこえて前進するといった可能性も、たしかにある程度はありうることです。しかし、いまのたたかいの状況を考えると、政治戦でおおいに相手を圧倒すると同時に、組織戦でも相手の組織力をうちやぶる力をわれわれがもつことが、いまの局面を大きく打開し、多くの国民が期待しているような日本共産党の前進をかちとるうえで、重要な要(かなめ)の一つになっています。このことをこんどの中央委員会ではおおいに強調したいし、全党がそのことを腹にすえてとりくみたい。あらかじめ、そのことを提起して、この問題の報告にはいりたいと思います。

 この問題でも、東京四区の補欠選挙は、一つの代表的な経験でした。政治の流れを争う選挙であると同時に、現段階での組織戦の重要性を明確にしました。

 この選挙で、自民党が「旧来の集票機構」を総動員する組織戦をやったことについて、マスコミの有力な幹部が感想をよせたことは、先ほど紹介しました。自民党自身も、東京四区の補選についての「自由新報」号外で、“組織戦で相手を撃破した”という大見出しで、この選挙戦を特徴づけました。それくらい、自民党がいわゆる旧来型の「業界しめつけ型」の組織動員を最高度に集中させたたたかいだったといえます。

 わが党はあの選挙で、読者の四倍の得票をえました。以前は、だいたい読者の二倍台の得票というのが普通でした。一昨年の総選挙では、それが読者あたり三・八票になり、去年の都議選では三・五票でした。だから、投票率の低い補欠選挙で、読者の四倍の得票をえたということは、やはり大きな流れを得票に生かした成果だったといえます。しかし、われわれが選挙戦をやった実感からいうと、現におきていた流れのすべてを得票に生かしきったとはいえません。

 私は、選挙戦の最終日に大田の選挙区全域を宣伝カーでまわりましたけれども、街の雰囲気はほんとうにあたたかいもので、好感をもって党の候補を迎え、わが党を迎える空気がどこでも非常につよく感じられました。私は都議選のときにも、大田区を投票日の二日前に走りましたが、そのときとくらべても大きくちがう状況でした。しかし、わが党を好意をもって迎えてくれた人のなかには、翌日投票にいった人も、好意はもっているがいくにはいたらなかった人もふくまれていたと思います。そういう人たちのすべてに投票所に足をはこんでもらう、街のどこにいっても「自民党のやり方には反対」という雰囲気なんですけれども、それを現実に投票にまで組織する、その組織力が足りなかった。これが、選挙戦を最後までたたかってのいつわらざる実感であります。

 私たちがいまめざしているし、客観的にのぞまれている党の躍進というのは、これまでの現状をちょっと上回った程度の前進というようなものではなく、ほんとうに日本の政治の流れを変えるような、少なくともそれに影響をあたえるような、そういう躍進が目標になっています。それをやりとげるためには、ただ、政治戦の分野で大きな風を吹かせるだけでなく、それを確実に投票に実らせ、現実に政治を変える力とするだけの規模と力をもった組織戦での前進が、「自共対決」の要の一つになっている。東京四区補選は、そのことをしめしたものでした。そこからわれわれは、大きな教訓と方針をひきだす必要があります。

 このことは、多かれ少なかれ、他の党派のあいだでも語られていることです。いまでは、表面的な“風だのみ”で新党をつくるとか、新しい流れを実らせるとかということは、もはや成り立たなくなっていて、組織力の大小が基本だというのは、他の政党の幹部のあいだでも常識的にいわれるようになっています。

政党として“草の根”の力と組織をもつのは、日本共産党だけ

 そういうなかでの組織戦という提起であります。

 この角度から各政党をみた場合、組織戦をたたかう“草の根”の組織を政党としてもっているのは、率直にいって日本共産党だけであります。自民党の組織動員がいわれましたが、この組織のおもな力は選挙区である大田区のなかにあったわけではありません。国会議員を動員し、秘書団を動員し、いわば党本部総動員での組織戦だったことは、先ほども報告しました。しかしわが党は、党の成り立ちからいって、全国に二万六千もの支部――それぞれつねづね国民とともに生活し、活動する“草の根”の組織をもち、そこにわが党の本領があります。この力を本気で全面的に発揮すること、これが「支部が主役」という選挙戦のいわば本領の一つ、要の一つとなるものです。

 私たちは、無党派層あるいはこれまで他党を支持していた層との交流・接触・合流を重視しています。この点では、すべての有権者への政治的な呼びかけが大切なことはいうまでもありません。しかし、この分野でも、やはり組織戦が大事であります。宣伝活動はもちろん大きな役割をはたしますが、“宣伝さえしていれば日本共産党の支持と共感がどこまでもひろがっていく”というものではありません。各地の経験でも、人びとの現実生活での経験と私たちの宣伝とがむすびついて、いま無党派層のなかに日本共産党に共感するあらたな動きがひろがっていますが、一般的な呼びかけにとどまらず私たちがその人びとと現実に知りあい話しあうことで、その人びとが積極的な党支持者に前進をし、また、その新しい党支持者がさらに広い人びとのあいだに活動をひろげてくれる。そういう形で、無党派層のあいだでしっかりした日本共産党支持の流れが着実にひろがってゆくという経験が、各地から報告されています。やっぱり人と人との交流、つながりの広さこそが、党と広範な無党派層との合流の力強い骨組みとなるのであって、ここでも、“草の根”の力の発揮が重要であります。

 ですから、わが党と党支持勢力のもつ組織的な力量のすべてを、選挙戦にあますことなく発揮すること、選挙戦に全党員、全後援会員が参加する状態をかちとること、とくにわが党の“草の根”の力の有力な柱をなす四千人をこえる地方議員がその力を選挙戦に全面的に発揮すること、ここに力をつくして、組織戦での大きな前進をきりひらく、この問題に全党の注意と努力をむけたいと思います。

情勢のなかには読者拡大の“カベ”はない

 この面で、いくつか具体的な問題をあげますと、まず機関紙の問題です。

 有権者のあいだに広範な機関紙の網の目をもっているということは、わが党ならではの活動であり、また全党の年来の努力によってきずきあげてきた重要な到達点であります。しかし、はっきりいって、わが党はこの面で、現在、持続的で安定した前進をかちとれないでいます。これを安定した増勢に転じ、躍進の時代にふさわしい新たな発展をかちとることは、「自共対決」下の組織戦にかちぬく上での、欠くことのできない中心課題の一つであります。

 「しんぶん赤旗」の役割という点でいえば、情勢の見方の点でも、国政の状況を的確に知らせる点でも、国民自身の動きをあきらかにする点でも、日本共産党の奮闘ぶりの報道の点でも、「しんぶん赤旗」なしには真実が知られないという現状は、ほんとうに多面的にあります。マスコミの当事者からも、“この問題は大事だが、それをとりあげるのは「赤旗」でなくては無理だ”といった声がしばしば寄せられます。

 党への関心のひろがりからみても、現状は、情勢のなかに「赤旗」の拡大にとっての“壁”があるわけではありません。党の活動が、情勢がはらんでいる可能性をくみとれていない――大会決定が指摘しているように、そこにいちばんの問題があるのであって、そこをどう突破するかに努力をつくす必要があります。配達・集金体制の確立の面でのおくれという問題もあります。また、われわれがとくに重視すべき点は、機関紙活動にとりくむ党員がかぎられているという問題です。

 すべての党員が、それぞれなりに機関紙活動にとりくみ、そしてわが党がきずいてきた組織戦のこの大事な陣立て――有権者とのつながりをどうやって発展させるか、そのことに党の力をどれだけ発揮するか、機関紙でわが党とのつながりをもつ読者の力を、選挙戦にどのように生かしてもらうか、ここに今日の大事な問題があります。

すべての支部が新しい同志を迎えて選挙戦をたたかおう

 つぎに、党員の拡大ですが、この重要性は、いうまでもありません。これは、党そのものが太く、大きくなるということで、党員の拡大を、参議院選挙にむけてもあらゆる活動の太い幹になるものとして、重視しなければなりません。

 党員の拡大の規模は、かなり大きくなってきていますが、党員を拡大した支部とまだ拡大していない支部とをくらべてみますと、選挙戦にとりくむ活力そのものにかなりちがいがでていることがわかります。

 新たにわが党にはいった同志たちは、有権者とのつながりという点、党外の人びととのつながりという点で、無数の新しい可能性をもっていて、その同志が党員として活動をはじめることが、ただちに、いままで手が届かなかった層への活動のひろがりになるという場合が、多くあります。また、これらの同志は、今日、広範な人びととわが党のあいだの関係が大きく変わってきたなかで党をえらんだ同志ですから、その活動には、最初から現代的な大胆さがあります。大胆に人びとに働きかける、大胆に読者を募り、大胆に支持をひろげるなど、抜群の成果をただちにしめしてくれる新入党員も少なくありません。また、その新鮮さが党全体に活力をあたえ支部が新たに目をひらかせられた、という経験もあります。

 これから参議院選挙にむかう二カ月ですが、その間にも、おおいに党員拡大に力をいれ、“すべての支部が新しい同志を迎えて選挙戦をたたかう”ということを、ほんとうに現実のものにする必要があります。

 われわれが前から重視してきた青年学生党員の拡大の問題、民青同盟の拡大の問題もいまが大事な時期です。この春に、新入生歓迎運動を、各大学でやっています。状況をきくと、相手は新入生、もちろんはじめて顔をあわせる学生たちですから、新しい、見知らぬ学生たちになかなか働きかけにくいというためらいもずいぶんあったようです。しかしそこを思いきって対話にふみだしてみると、話がはずんで、社会の問題から政治の問題まで対話がどこまでもひろがり、若い人たちがどういう思いをもっているかということがよくわかったという、うれしい報告も寄せられています。

 先日、ある民放のテレビで、日本共産党についての一時間番組を放映したことがありました。そのなかで、ある文化サークル――邦楽サークルに属している学生党員の話がでました。いままでサークルのなかで自分が党員であると名乗らなかった、やっぱり名乗るのにためらいがあったんでしょうね、そしたらテレビの取材の注文もあったのか、サークルの仲間に、実は私は日本共産党にはいっているんだと思いきっていうことになったのです。そうするとまわりのみんなが驚くどころか、「いいじゃない」とかいって口ぐちに激励するわけで、学生党員自身が自信をもつという情景が正面にあらわれていました。このように思いきってふみだしてみたら、こういう反応があったということは、青年学生のなかでも広くあるわけです。これは、私どもが選挙でも感じている、若い層の社会問題への目のひらき方、政治への目のひらき方の変化という問題につながることで、さらに大胆に足をふみだしてゆく必要があると思います。

後援会、タテ線活動でも視野をひろげて

 組織戦という点では、後援会員の拡大も、非常に大事であります。地域の後援会を拡大して後援会の人たちにおおいに力をだしていただく。同時にタテ線の後援会の活動がいよいよ大事になっています。

 一昨日(十八日)の幹部会でも、労働者後援会が、いままでだったら門前払いをうけたような「連合」系などの労働組合を訪問し、それでほんとうに対話が深まったという経験が報告されました。これは、タテ線後援会の活動で、これまでの活動では手がとどかなかった新しい分野に、活動の条件がひろがっていることの、労働戦線での一つのあらわれだと思います。業者の戦線でも、中小企業の戦線でも、農民・農業の戦線でも、あらゆる分野で同じような変化が起きています。ここでも「自共対決」下の組織戦という位置づけを明確にして、タテ線活動も視野をひろげてとりくむ、ここに目をむけながら、おおいに意気高くたたかいたいと思います。

 以上、組織戦のいくつかの問題についてのべました。これらの諸課題は、全党員が動いてこそ実行できるものであります。

すべての党員が選挙戦で活動する状態をつくりだすために

 政治戦と同時に、組織戦の重要性が高まってきた今日の情勢のもとで、すべての党員が選挙戦で活動する状態をどうやってつくりだすのか、ここに、党の指導のうえで力をそそぐべき大事な点があることを、組織戦の最後に強調したいと思います。

 いままで、この半年間でも、重要な選挙戦でありながら、党員の活動率がなかなか高まらないということは、何度も経験しました。活動率の低さというなかには、党機関の側が、党員の活動を一律の形でとらえていて、実際には選挙戦の活動をいろいろとやっているんだが、機関のものさしにあわないために、不活動と勘定されてしまうという場合もかなりあります。しかし、そのことを差し引いて考えてみても、いま党がもっている力をすべてだしつくしての活動になかなかならないという悩みが、実際に広くあります。この問題をなおざりにすることなく、ここにしっかり目をむけて、早い時期から、すべての党員の総決起、すべての党員がなんらかの任務をになって選挙戦の配置につき活動する、後援会でも全員参加の運動、こういう状態をいかにしてつくりあげてゆくかが、大事であります。

 それには、二つの問題を私は提起したいと思います。  ひとつは、選挙戦での全体としてのたちおくれの問題としてのべたことに共通しますが、情勢をどう認識するか、その情勢がどんな党活動をもとめているか、そして、たたかえばどんな展望がひらけるか、そういう政治的な認識と確信が徹底していない、という問題です。非常に困難な時代の消極主義をいまだに残していて、なかなか足をふみだせない。この消極主義をのりこえ、思いきって、足をふみだしたら、情勢にも活動にも自信がでて、さらに活動がひろがったという経験も無数にあります。その点で、政治的な指導の徹底という問題が、一つの大事な問題です。

 これには、決定を身につけること、「しんぶん赤旗」を読むこと、ビデオを活用すること、あるいはまた、日常の活動でも基礎的な独習を重視すること、それぞれの同志の親しめる分野で雑誌の購読をひろめることなど、いろいろな活動があります。いまの情勢と展望についての確信をしっかり全党のものにすることは、どんな場合でも欠くわけにゆかない基礎的な仕事であります。

 同時に、もう一つ、新たに強調したい点は、党機関の側、支部の指導部の側が、一人ひとりの党員の活動の状況に目をむけ、条件と得手に応じて、すべての党員が選挙戦に参加できるようにする努力の重要性です。

 それにはまず、各分野での党員の活動形態を一律にせばめないことが大事です。党員だからこれをやるべきだ、という課題の提起だけですませないで、はげましあい、協力しあって、支部全体で活動をすすめる。党の基礎の集団である支部の真価は、そこにあるといってよいでしょう。そういうところまでふくめ、一人ひとりに目を配っての指導ということを強調したいと思います。

党員一人ひとりの活動とその成長に目をくばる

 さきほど、機関紙拡大の活動に参加する党員がかぎられているという問題をいいました。いろいろな人に「赤旗」の拡大をすすめる活動がやりにくい、得手でないという同志もいるのです。選挙戦でも、対話が苦手だという同志もかなりいます。電話の対話ということも、楽なようだけれども、ある意味では、まったく知らない家に電話をかけて、「実は日本共産党ですが」といって話しかけ、相手の顔色もわからないところでものをいうわけですから、これも苦手だという人も、当然います。そういうことから、選挙戦にたちあがる腰が重いという場合が少なくないことも、われわれはよくみる必要があると思うのです。

 つきつめて考えてみると、これは、根本的には、党員一人ひとりの大衆活動の問題、一人ひとりの党員が大衆活動の分野で、どう成長しどう発展するかという問題です。得手不得手はあるにしても、国民と話しあって党の考えをひろめるということは、すべての党員に共通する基本の任務ですし、全党員一人ひとりが、生活のなかで政治について語り党について語る、そういう語りあいを国民のいろいろな人たちとやる、ここに、他の党が簡単にはもちえないわが党の草の根の力があるのです。また、どの党員も社会的なつながりをさまざまな形で無数にもっているはずです。そのつながりを党員としてのつながりに変えられるかどうか、こういう問題がたえず身の周りにあるわけです。

 ここに党員としての基本の活動があるのですが、すべての党員が、同じようなかたちで、同じような水準でこの活動をこなせるかというと、そこには当然さまざまなちがいがあります。しかし、そのちがいはけっして固定したものではないのです。

 ごく最近の話ですが、東京の四区の補選には、党本部の同志たちにも、ハンドマイク隊としてずいぶんいってもらいました。その状況をきくと、最初にいってくれといわれたときには、なかなか覚悟をきめないといけないという同志もいるわけです。まったく知らない地域にいって、ハンドマイクで演説するのですから、相手がどういう反応をするか、だいたい足を止めてくれるか、きいてくれるかわからない。だから、本部で働いている活動家でも、そういう問題をいきなり提起されるとそれなりのふみきりがいるのです。しかし、一度ふみきってハンドマイク宣伝をやってみると、反応があっておもしろいということになって、二度目のときには、かなり勇んでいくようになる。

 これは、身近な一つの例ですが、わが党の活動には、党外の人びとへの働きかけという問題でも、党員一人ひとりにとっては、活動を発展させる過程で、何回もふみきりが経験されるものです。どの党員もわが党の道をえらんだ以上、国民のみなさんと話しあって、党の事業を大きくするというこの志は、共通してもっているわけですから、党機関の側、指導部の側がそのことをよく心得て、すべての党員が一歩一歩、その同志なりにふみきりを経験しながら、その力を身につけ大きくし、成長してゆくことを援助する、そういう配慮が、私は、いまの段階の党にはとりわけもとめられていると思います。

 「支部が主役」ということ、支部に結集しているすべての党員が力をだすということ、そこには、そういう問題があるわけで、これは選挙戦の諸任務を、ただ義務としてあるいは課題として強調しただけではすまない問題です。さまざまな力をもち、さまざまな水準にあり、経験もさまざまにちがう人たちが一つの支部にまとまって集団としての力を発揮するのが支部ですから、支部での助けあい、はげましあい、ときには組をくんで活動し、おたがいに学びあうなどがたいへん重要です。電話をかけるときにも、得手の人と一緒になってかけるとか、いろんな創意の発揮の仕方があるはずです。肝心なことは、党の側がそこまで目を配って、一人ひとりの同志たちの現状をよくつかみ、成長に力をかすという角度で、すべての党員の活動参加、たちあがりを実現してゆくことです。

 七〇年代のはじめにも、党の組織活動改善という問題を提起して、この問題に全党的にとりくんだことがあります。その時期とはまたちがった新しい条件のもとで、全党がそこまで目を配りながら、血の通いあった党づくりをすすめ、わが党ならではの“草の根”からの力を発揮した組織戦を、全面的に発展的に展開し、その面からも選挙戦の勝利をささえたい、これがここでの提起の主眼であります。

(6)経営支部の活動。職場の問題を選挙戦の争点に。

 つぎに、経営支部の問題に目をむけたいと思います。

経営内の党組織の発展は、国際的にも大きな意義をもっている

 二月の会議で、経営支部が選挙戦にどう参加するかという問題を提起しました。

 経営支部に属する党員は、現在、全党の党員数の四二%、約半数に近い規模にのぼります。その経営支部が選挙戦でどう活動するかということは、参議院選挙の全体の様相を左右する大きな意味をもちます。

 党大会でものべたことですけれども、現在、経営では、新しい情勢が展開しています。

 七〇年代は、反動攻勢が経営でも集中的にはじまったときで、大経営では、日本共産党員であれば、これをどんなに迫害しても“天下御免”という過酷な体制がしかれました。わが党の同志たちはそのなかでがんばりぬいて、今日をきずいているわけです。いまでは、その体制がくずれはじめて、日本共産党員を差別するしくみは、裁判所で不当だという判決を何度も受けました。また、組合側から共産党員を締めつける「連合」系組合でのやり方も大きく破産して、少なくない経営で、中間管理職までがわが党に接近してくるなどの新しい動きが、つぎつぎにあらわれています。

 ここでも、情勢からのわが党のたちおくれという問題はかなり根深くあります。新しい情勢をつかんですすんで活動している支部もあれば、情勢からたちおくれて、足をふみだしてはじめて変化に気がつくという支部もあります。その対照は、もともと過酷な条件が支配してきた経営でのことだけに、いっそう鮮明にでています。

 経営支部の活動をはげまし、発展させることは、わが党の重要な課題です。各県、地区での経営交流会議という活動も、回を重ねてかなり定着してきました。この二月からは、「しんぶん赤旗」の別刷り学習・党活動版で、月二回、一面も二面も経営での活動の問題にあてた特集号をだすことにしました。ひきつづき党全体が経営に目をむけるという方向に活動を前進させたいと思います。

 なお、つけくわえていいますと、わが党が経営支部に党全体の四二%、十数万の党員を擁しているということは、国際的にみてもたいへんな到達点だといえます。先日、共産主義運動の歴史についての本を読んでいましたら、ヨーロッパでは、第二インターの社会民主党の時代から、経営での活動は困難だから、経営党員も市民として地域で組織するというのが主流だったようです。社民党が共産党に変わってから、経営に組織をつくることに力をいれたが、経営者側からの攻撃があってなかなか成功しない。そういう状況のまま、ヒトラーのファシズム支配などの時期をむかえたわけで、この問題は第二次大戦後もなかなか解決されなかったといわれます。

 経営のなかに日本共産党の支部をつくるという活動は、こういう国際的な経験にてらしてもたいへん大きな意義をもつ事業だったということをあらためて痛感しました。

 しかも、七〇年代以来、世界の資本主義諸国でも最近ではほとんど例がないような過酷な反動攻勢にたちむかい、そのなかでこれだけの経営支部を建設してきたということは、わが党の誇りとも宝ともいうべき大事な成果です。

経営支部が力を効果的に発揮できるよう、選挙戦での配置を研究する

 そのことに目をむけつつ、この経営支部の力を二十一世紀を争う選挙戦にどう発揮させるかということを、こんどの選挙の大問題の一つとして重視しなければなりません。

 従来、経営支部の選挙戦の三つの任務ということを提起してきました。経営のなかでの活動、党員の居住地での活動、経営支部が属する地域での活動の三つです。実際には、その三つの任務のさまざまな組みあわせで活動をしてきたと思いますが、今日の時点で、これだけの規模に発展した経営支部の力をおおいに発揮してもらうためには、三つの任務をきちんとやりなさいと一般的にいうだけでは足りません。その経営支部の活動と経験、力量をどこにどう生かしたら選挙戦に有効に役立つのかということを、それぞれの支部の実情にてらしてよく考え、経営支部と相談しながら、どういう活動をしたら支部の力をもっとも効果的に発揮できるかを、決めるようにしてもらいたい。これが二月の会議の提起でしたが、そのことをあらためて、この中央委員会総会で確認したいと思います。

 さきほど、人との対話が不得手だという同志もいるという話をしましたが、経営支部には、非常に困難ななかで、さまざまな立場の相手と対話をかさねて今日の地歩をきずいている支部が多くあります。ですから、そういう政治的力量を蓄積されている支部がずいぶんあります。その力量を有効に生かすこともふくめて、経営支部の力の効果的な発揮という問題を、こんどの選挙戦の大事な問題と位置づけて、とりくんでほしいと思います。

職場の問題を選挙戦の争点にすえる──東京四区補選での経験から

 もう一つ、このことに関連してのべたいのは、東京四区の補選で新たに展開した活動についてです。それは、職場の問題を国政選挙の争点として大規模に職場の労働者に訴えるという問題です。

 従来は、経営支部が、経営でその訴えをやるということは多くあったと思います。しかし、わが党の支部がある経営というのは、全体的にはきわめてかぎられています。有権者の四分の三は、さまざまな形の労働者ですから、職場の問題というのは、労働者全体の問題としてとらえれば、国政選挙の大きな争点に当然なるべき性質のものです。しかし、これまでは、全有権者にむけての私たちの訴えのなかでは、なかなかとりあげにくい問題で、職場の問題をとらえての直接の訴えというのは、国政選挙ではいままで本格的にはやられませんでした。しかし、いま、これが非常に重要な国政問題になっています。

 一方では、労働基準法の大改悪があります。この問題では、労働戦線では、「連合」をふくめて反対していますけれども、政党レベルでは、わが党は共闘をよびかけていますが、現時点で、明確に反対の立場をとっている党はわが党だけです。これは国政選挙の大事な争点となります。

 しかも、過密労働の問題とか、労働時間の問題とか、サービス残業の問題とか、職場の命と健康の問題とか、労働者の職場での利益の問題を、わが党ほど具体的に国政の場で大きくとりあげてきた党はありません。そういう実績も十分にあります。

 そのことを選挙戦の正面の主題の一つにするというのは、きわめて大事な課題です。どうやってこれを争点にしてゆくかという方法の問題ですが、東京の補欠選挙では、私たちは、職場の問題をとりあげた「赤旗」号外をつくって、出勤・退勤時に全駅頭でこれを配布するという活動をやりました。出勤・退勤時間がちがう労働者もいますが、だいたいあの時間帯に乗り降りする人は、どこかの職場の労働者ですから、こういうやり方でとりくめば、人口の四分の三にあたる労働者をかなり包括できるわけです。工場や事務所の門前や、社宅など労働者が集中している居住地でも、号外の配布をおこないました。

 この活動形態をもっと工夫して全国的にひろげ、国政で職場の問題が重要な問題になり、わが党が職場でこれだけの力をもっているのにふさわしく、参議院選挙のなかでも、職場の問題を国政で大きな争点にして労働者に訴える活動を発展させたいというのが、新しい提起であります。

(7)全国議員会議と地方議員の活動

 以上、参議院選挙の諸問題を報告しましたが、最後に、一週間後に開催する全国地方議員会議についてのべたいと思います。  この会議には広い注目があつまっています。わが党が地方議員数で第一党になったこと、四千名をこえる議員団をもっていることは、それ自体が各界から大きな注目をあびました。その四千名をこえる議員団が一堂に会して、日本の地方政治の諸問題を討論しあうというのは、党としてもはじめての試みであります。しかもこれが、自民党政治が破たんし、その破たんのしわよせが地方自治体になによりも集中している、そしてこの自民党政治の是非を争う選挙戦を目前にしているという、政治的にきわめて重要な時期にひらかれるわけです。

 地方政治の問題は、その全国議員会議の場で報告し、討論することですが、いまの地方政治のきわめて重大な特徴は、自民党の逆立ち政治のもとで、地方政治の矛盾と破たんが極限にまで進行していることです。ある意味では、地方政治は、自民党政治の危機と破たんの集中点だといえると思います。去年は、地方自治法制定五十年でした が、住民の利益をまもることが最大の使命だと定められている地方自治体が、住民の利益をないがしろにすればするほど政府からほめられる、また大型開発で破たんすればするほどほめられる、こういう形で、逆立ち政治のレールにもっとも極端な形で引きこまれて、財政的にもどうにもならない大破たんに直面しているというのが現状です。  それにたいして、いま、わが党が政党として責任をおっている革新・民主の自治体は、これとは対照的に、自治体本来の力を発揮したらなにができるかということを、事実で雄弁にしめしつつ前進しています。

 この二つの流れの対照が、いま地方政治の上ではくっきりとあらわれているのです。

 そのなかで、わが党の議員団が四千をこえる力をもつようになりました。地方政治の分野で、革新・民主の自治体と党の地方議員が知恵と力を発揮すれば、それがほんとうに政治を変える巨大な力となりうる、こういう情勢にあります。

 その時期におこなわれる全国地方議員会議ですから、この大きな成功をかちとって、参議院選挙でもその力をいかんなく発揮できるようにしたいというのが、この会議を開催する党中央の意気込みであります。

 以上で、情勢と方針についての報告を終わります。

 いよいよ二カ月余り後に参院選挙であります。大会は「衆議院に百をこえる議席、参議院に数十の議席をもち、国会の力関係のうえでも自民党と正面から対決できる力量をきずきあげること」を民主連合政府にいたる第一段階の目標として確認しました。その大会決定のもとでおこなわれる最初の国政選挙であります。二十一世紀への民主的政権への流れがどれだけ早くなるか、どれだけ力をもつか、これを左右する選挙であります。

 また、私たちは党大会できめた「党建設の重点的な努力方向」のなかで、日本共産党を代表する立場で各機関が活動すること、選挙戦の推進・指導に熟達すること、「支部が主役」を党の内部生活でつらぬくことなどの大事な方向を確認しましたが、そのすべてがこの選挙戦で試されます。この中央委員会では、政治戦と同時に組織戦を重視し、政治・理論指導とともに、支部・党員が実践にふみだす指導を重視することを提起しました。それは、これから議論いただくわけですが、そういうことをふくめて、これから二カ月有余、党のもっているすべての力量を発揮し、すべての可能性をくみつくすたたかいで、歴史を前進させる大きな勝利をかちとることを、みなさんに呼びかけて、幹部会の報告を終わります。(拍手)


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