2004年2月17日(火)「しんぶん赤旗」
八兆円にのぼる公的資金の大半が損失となる一方、巨額の株式上場益を外資が手にする――日本共産党の塩川鉄也議員は十六日の衆院予算委員会で、十九日に東京証券取引所(東証)第一部に株式上場する新生銀行の問題をとりあげ、国民と中小企業を犠牲にするやり方は許されないと追及しました。
新生銀株の99%は、世界中で企業買収などを進める米系投資組合リップルウッドが中核となったニュー・LTCB・パートナーズ(オランダ籍)が保有。リップル側は、その三分の一の株式上場にともない、買収・増資に投じた千二百十億円を上回る二千二百億円もの収益を手にし、最終的には七千億円もの上場益をあげることになります。
塩川氏は、これまで新生銀に投入された公的資金八兆円のうち、少なくとも約四兆円が損失になったうえに、中小企業向け貸出は三年間で、約二兆七千億円から約一兆八千億円へと激減していることを指摘。新生銀の株式上場が国民の犠牲の上に行われようとしていることを批判しました。
アメリカの投資組合などの株式譲渡所得に課税できるようにする改定日米租税条約(今国会提出予定)では“条約発効前は適用しない”と特別条項がつくられ、新生銀行を例外扱いしようとしています。塩川氏は、オランダ籍の投資組合には現在、日本の課税権が及ばないが、改定日米租税条約の特別条項でアメリカ籍のリップルにも課税できなくなるのは大問題だ、と指摘しました。
谷垣禎一財務相は「予期せざる不利益をかけるわけにはいかない」として、新生銀の例外扱いを見直す考えがないと述べました。
塩川氏は、リップルの全株売却に課税すれば千四百億円が国庫に入ることを示し、「消費税の免税点引き下げで苦境の百四十万事業者からとりたてて数千億円集めるより、投資ファンド(リップル)に課税するほうが、中小企業と日本経済のためになる」と強調しました。