2003年11月8日(土)「しんぶん赤旗」
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暮らしや雇用、中小企業などを守るルールがあまりに弱く、同じ「市場経済」のヨーロッパと比べても、日本は異常です。ところが、日本経団連など財界はいっそうひどい「ノン・ルール(ルールのない)の国」にしようとしています。
日本経団連は十月二十一日、二〇〇三年度「規制改革要望」を公表しました。十六分野・三百六項目におよび、新規の要望が百七十三項目と半分以上をしめています。
日本経団連は「民主導・自律型経済社会」をめざす新ビジョンにもとづく「規制改革プログラム」を五月に発表。これを具体化したのが今回の「規制改革要望」です。「事前規制から事後チェック型行政への転換」と称して規制自体をなくし、財界が勝手放題にできる体制づくりを強調しています。
重点項目には、派遣や有期労働の拡大、株式会社による病院経営や農業への参入、郵貯や簡保の廃止、建築容積率の緩和など、もうけの拡大をねらう身勝手な要求を列挙。中小企業への官公需発注率までヤリ玉にあげて、大企業の受注拡大のため大幅削減を求めています。
ホワイトカラー(事務系労働者)の大半を労働基準法の適用除外にして際限なく働かせる制度も引き続き求めています。
新たに「産業別最低賃金」の廃止を要求。自らすすめる工場の海外移転に反省もなく、「ものづくり産業が産業空洞化で厳しい状況にあり、意義が薄れた」と身勝手な理由を並べています。
大型スーパーなどに課している必要駐車場台数や騒音基準、PCB(ポリ塩化ビフェニール)製品の廃棄物基準の緩和を求めるなど、地域社会や環境をまもる社会的責任を放棄しています。
財界は、こうした身勝手な要求を同じ財界人が取り仕切る「総合規制改革会議」を通じて政府に実施させるという“自作自演”ですすめてきました。
さらに、規制緩和を強力にすすめるために、「規制改革基本法」(仮称)を制定し、今年度で任期切れとなる総合規制改革会議に代わって「民間人を主体とする、より強力な推進機関の設置」を打ち出しています。
財界いいなりで国民いじめの規制緩和をすすめてきた小泉内閣・自民党は「あらゆる分野で改革はすすんでいる」(安倍晋三幹事長、二日のNHKテレビ)といっそう加速させる姿勢です。
民主党も「(自民党の規制緩和は)すべて中途半端。遅すぎる」(岡田克也幹事長、同)と同じ路線の上で速度を競いあっています。
日本共産党は、国民いじめの規制緩和に反対するとともに、国民のくらしと権利をまもる「ルールある経済社会」をつくることを強調。世界では当たり前の「企業の社会的責任」を大企業に果たさせ、くらしや雇用、中小企業をまもり、環境との共生など「持続可能な経済社会」をめざすことを訴えています。
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