2003年10月26日(日)「しんぶん赤旗」
リストラ・人減らしを強行した自動車メーカー六社と鉄鋼三社が、産業再生法によって、この三年間に三十億円の減税を受け、六億円を自民党に献金していることが本紙の調査でわかりました。
リストラすれば減税される産業再生法は一九九九年八月、自民党、自由党、公明党の賛成で成立しました。対象企業の拡大などを盛り込んだことし四月の改悪には、民主党も賛成しました。
九九年十月の施行からことし七月までに、減税の認定をうけた企業は二百十七社。合計八百十億円減税されました。人減らしの計画は約九万人。
労働者一人を減らすごとに九十万円が減税され、その一部が献金にまわっている格好です。
▽自動車メーカー六社の場合。約一万二千人の人減らし計画による減税額は約二十一億四千万円。自民党への献金額は、約四億五千万円です。減税額の21%で献金がまかなえる計算です。
ことし三月の連結決算で、過去最高の一兆四千百億円にのぼる経常利益を記録したトヨタは、三千二百五十九人を削減するリストラ計画で三億五千五百万円の減税をうけました。献金額はその55%に当たる一億九千四百二十万円です。民主党本部への献金はありませんが、トヨタの企業城下町、愛知県豊田市では、民主党候補を労資一体で支援しています。
▽鉄鋼大手三社の場合。五千九百三十二人の人減らし計画で減税額は約八億四千万円。自民党に約一億五千五百万円の献金をしており、減税額の18%でまかなえます。
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産業再生法 リストラをおこなう企業が「生産性の向上と財務体質の改善」をめざした計画を作成して、一定の基準を満たしていると国に認定されれば各種の減税を受けられる、というもの。この法律は、経団連(現・日本経団連)が一九九九年五月に出した提言にもとづいてつくられました。ことし四月に五年間延長され、複数の企業が共同しておこなう事業再編型のリストラ計画にも適用できるように認定対象が大幅に拡大されました。日本共産党は、国民の税金を使ってリストラを支援する制度は認められない、と一貫して反対しています。
献金エサに政党買収作戦 財界・大企業は、自分に都合のいい法律をつくるように要望し、その見返りとして毎年巨額の献金をしています。産業再生法はそれが実った典型です。財界の総本山・日本経団連(奥田碩会長)は九月二十五日、献金する政党の政策評価基準を発表。「消費税増税や法人税減税などに賛同した政党に献金する」と政党の買収作戦に乗り出しています。
民主党はこれにこたえようとしています。菅代表は七月十六日、奥田会長との会談で「(言ったことを)実現できるかどうかが自民党との大きな違いだ。民主党にかけていただきたい」とアピールしました。
財界からは、こんな発言もでています。「自民党に期待しているが、政権与党には緊張感が必要だ。それには二大政党制が理想だ」「(民主党への献金を)検討していくべき課題」(経済同友会の「政治の将来ビジョンを考える委員会」委員長・資生堂の池田守男社長、十六日付「朝日」)
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