日本共産党

2002年12月7日(土)「しんぶん赤旗」

ムダな高速道 歯止め作れず

国と地方に負担をかぶせる

4公団民営化推進委が最終報告

今井委員長が異例の辞任

【関連記事】


 政府の道路関係四公団民営化推進委員会は六日午後、都内で会合を開き、小泉純一郎首相に提出する最終報告について協議しました。席上、高速道路の従来通りの建設継続の立場を取る今井敬委員長(新日鉄会長)は、民営新会社の採算性を優先する松田昌士委員(JR東日本会長)ら五人の案との両論の添付を主張しました。これに対し松田氏、猪瀬直樹氏らはあくまで多数決での決着を要求したことから、今井氏は委員長を辞任。これを受け同委は五人の案を多数決で最終報告として決定。担当大臣の石原伸晃行革担当相が首相に提出しました。


 「特殊法人改革の突破口」として小泉首相の肝いりで始まった道路公団の民営化論議は対立が解けず、委員長不在の中で最終報告を取りまとめるという異常事態となりました。また、民営新会社の採算を優先し、新会社でできない不採算の道路は国と地方の財政負担でつくるという最終報告となったことで、「この報告でもつのか、地方の協力が必要」(石原伸晃行革担当相)との懸念もでています。

 同日決定された最終報告は、(1)新会社は民営化後十年をめどに「保有・債務返済機構」の資産を買い取る(2)新会社が機構に支払う道路リース料は、四公団の債務を約四十年間の元利均等で返済することを前提に設定する(3)通行料金は平均一割引き下げる(4)四公団を五分割して新会社にする―などを明記しています。

 一方、本州四国連絡橋公団の債務の処理に国の税金投入、関係自治体の出資金増額を盛り込んでいます。報告を踏まえ政府は民営化の具体策の検討に入り、二〇〇四年の通常国会に関連法案を提出する方針です。


廃止・民営化路線の破たん示す

筆坂政策委員長が談話

 日本共産党の筆坂秀世政策委員長は六日、道路四公団民営化推進委員会の最終報告について次の談話を発表しました。

 、政府の道路四公団民営化推進委員会は、委員の意見がまとまらずに紛糾したうえ、今井敬委員長が辞任した後、松田昌士委員らがまとめた案を最終報告として決定するという異例の事態となった。委員会が最終盤になってこのように混乱したのは、高速道路の建設計画をこのまま進めるのか、巨額の債務をどのようにして処理するのかという根本問題をあいまいにしたまま、もっぱら「民営化」の形態の議論に終始してきたからである。

 、最終報告となった松田案にしても、債務返済期間を若干短縮するとか、民営化会社が十年後には道路を買い取る、などというだけのものである。道路四公団について、国民が改革を求めたのは、(1)無駄な道路建設はやめよ、(2)債務負担を国民におしつけるな、(3)天下りやファミリー企業との癒着の構造にメスをいれよ―ということであった。委員会の審議の中では、過大な交通量予測の問題や、公団の財務状況、ファミリー企業の実態などについての議論もあったが、「民営化」をどう進めるかを中心テーマとするというこの委員会の枠組みにしばられて、こうした根本問題については、解決の方向が示されなかった。

 、小泉首相は、道路公団の解決すべき問題点に正面から対応することなく、「民営化」しさえすれば問題が解決するかのような主張をくりかえしてきた。委員会の結末がこのようなものとなったのは、こうした「特殊法人廃止・民営化」路線の破たんを示すものであり、首相の責任はまぬがれない。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp