
2006年12月18日(月)「しんぶん赤旗」
6カ国協議再開の課題
北朝鮮に核放棄を迫る
十八日から再開される北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議では、「一方的な核放棄はありえない」とする北朝鮮に対し、他の諸国が核放棄に向けた具体的な措置を迫る構図となります。
六カ国協議は昨年十一月の第五回協議の後、一年一カ月にわたり休会を余儀なくされてきました。昨年九月の協議の共同声明で北朝鮮は、すべての核兵器、核開発計画の廃棄を約束したにもかかわらず、ミサイル発射、核実験へと突き進み、情勢をさらに悪化させました。
日米韓などは、共同声明に明記された核放棄に向け、具体的な措置を北朝鮮に求める方針です。
米国は、北朝鮮が対価を得るための「初期段階措置」として、寧辺にある黒鉛減速炉の稼働停止や国際原子力機関(IAEA)による査察再開、核実験場の閉鎖などを要求。北朝鮮が応じれば、エネルギー・経済支援や国交正常化などに応じる意向を示しています。
しかし北朝鮮は、「共同声明を履行する準備はあるが、一方的な核放棄はありえない」と主張。同国首席代表の金桂冠外務次官も中国入りした直後に「(米国に対する)抑止力が必要な限り持ち続ける」と述べており、「非常に難しい交渉になる」(韓国側の千英宇首席代表)との見方も出ています。
北朝鮮が核放棄の前提とする米国の金融制裁については、六カ国協議と並行して、専門担当者による協議が別途行われる見込みです。
北朝鮮は、昨年九月の米国による金融制裁を厳しく非難し、制裁の先行解除が放棄の前提だと主張しています。これに対して米国は、北朝鮮のドル紙幣偽造などへの対抗策として実施した措置であり、「法執行上の問題」との立場。米朝の折り合いがつかず、協議の停滞を招く要因となりました。
金融制裁問題を本協議と切り離すことで、核放棄をめぐる本協議への影響を最小限にとどめる狙いがあります。
議長国・中国は、共同声明に盛り込まれた目標ごとに、▽日朝・米朝国交正常化▽核廃棄・検証▽食料・エネルギー・経済支援―などの作業部会設置を提案しています。
北朝鮮が核放棄後に得られる「見返り」措置を議論する場を設けることで、北朝鮮に核放棄を迫り進展させる考えです。
日本は、核問題とともに日本人拉致問題の解決を強く迫る方針。北朝鮮は日本が拉致問題を取り上げることに反対しています。「日本は協議に参加する資格もない」とけん制する発言を繰り返しており、協議全体に影響する可能性もあります。(中村圭吾)