
2006年10月11日(水)「しんぶん赤旗」
主張
北朝鮮核実験
国際社会の一致した対応こそ
北朝鮮政府が九日核実験を実施したと朝鮮中央通信を通じて発表したことにたいし、世界各国が相次いで強い抗議を表明しています。
日本共産党の志位和夫委員長はただちに、「北朝鮮の核実験強行に抗議する」との談話を発表し、きびしく批判しました。
志位委員長が談話で強調しているように、北朝鮮政府は核兵器とその開発計画を放棄し、即時・無条件で六カ国協議に復帰すべきです。国際社会はこの事態に際して一致協力して対応し、問題の平和的・外交的解決という態度を堅持して臨むべきです。
厳しい警告に逆らう暴挙
北朝鮮の核実験が「国連安保理決議、安保理議長声明などが、世界とアジアの平和と安定への脅威として、一致して反対した国際社会の意思を無視」し「六カ国協議や日朝平壌宣言などの国際的取り決めを蹂躙(じゅうりん)する暴挙」(志位委員長の談話)であることは明白です。
核実験がどのくらいの規模で行われたか、どのような成り行きだったのかなどは、現在各国が調査中です。
しかし、いずれにせよ、北朝鮮政府が公式に核実験の実施を発表したこと自体、核兵器の保有を誇示する態度を改めて明白にしたものであり、憂慮すべき重大事態です。
核兵器は、残虐な大量破壊兵器で、「悪魔の兵器」です。
広島、長崎での悲惨な原爆体験を持つ被爆国・日本として、核保有国が広がることは、北朝鮮がどんな理由を持ち出しても、とうてい容認できるものではありません。
北朝鮮自身、韓国との「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」(一九九二年)で核兵器のない朝鮮半島を目指すと合意したのをはじめ、日本との間で結んだ「日朝平壌宣言」(二〇〇二年)や、北朝鮮の非核化に関する「六カ国協議共同声明」(二〇〇五年)などで、核兵器計画の放棄に同意してきました。
北朝鮮はこうした同意にたちかえり、核兵器とその開発計画を放棄すべきです。
北朝鮮は、核兵器開発の口実として、米国による「制裁圧力策動」をあげ、「核保有」で自らの要求を押し通そうとする「瀬戸際」戦術をとっています。
しかしこうした軍事的冒険主義は、北朝鮮の国際社会からの孤立を深めこそすれ、決して北朝鮮自体に平和と安定をもたらすことのない危険な愚挙です。北朝鮮は国際世論に逆らう無法行為をやめ、六カ国協議にただちに復帰し、国際的な話し合いの場に戻るべきです。
北朝鮮の核実験に対し、各国が抗議の声を上げるとともに、国連安保理での検討も始まりました。
国際社会としていまとりわけ重要なのは、この事態に際して、一致協力して対応し、問題の平和的・外交的解決という立場を堅持して臨むことです。関係諸国と国際社会の粘り強い努力が必要です。
日中、日韓合意もふまえ
日本は唯一の被爆国であり、北朝鮮の隣国です。今月の国連安保理議長国でもあります。
日中(八日)、日韓(九日)首脳会談でも、北朝鮮の核実験を許さないという明確な表明がなされています。
中国や韓国と連携し、共同歩調をとりながら、北朝鮮の核問題を平和的・外交的に解決するために、日本としても力をつくすことが求められます。