
2006年9月20日(水)「しんぶん赤旗」
6カ国共同声明から1年
北朝鮮の拒否で中断続く
協議再開へ努力は確認
北朝鮮の核開発問題をめぐる六カ国協議で朝鮮半島の非核化に合意した共同声明採択から、十九日で一年がたちました。協議は、米国による金融制裁を理由に北朝鮮が参加を拒否し、昨年十一月から中断。韓国のソウルで十八日、与党「開かれたウリ党」の金槿泰議長主催の昼食会に日本、米国、中国、ロシアの駐韓大使が出席し、各国が共同して協議再開に努力することを確認しました。
ウリ党の発表によると、米国のバシュボウ大使は「北朝鮮が六カ国協議に参加するとの確実な意思を表明すれば、協議再開前にも二国間対話を開き、米朝間のさまざまな懸案を討議する意思があるというのが米国の明確な立場だ」と言明しました。
これまで米国は、北朝鮮が六カ国協議に復帰すれば協議の枠内で二国間対話に応じるとの姿勢を示してきました。
バシュボウ大使は「(六カ国協議で)朝鮮半島の平和条約締結、北朝鮮との外交関係の正常化、北朝鮮の経済の構造調整と開発などを推進したい」と指摘、「ただし、これらすべては北朝鮮が核開発を放棄するときにのみ可能になる」と強調しました。
中国の寧賦魁大使は、米韓首脳が十四日の会談で、六カ国協議再開のための「包括的な取り組み案」の作成を日中ロと協力して進めることで合意したことについて、「われわれは大きな期待を抱いている」と歓迎しました。
日本の大島正太郎大使は「あらゆる対話を通じて北朝鮮が協議に復帰するよう努力する」と語りました。
一方、北朝鮮の金永南・最高人民会議常任委員長は十七日、キューバのハバナで開かれた非同盟諸国首脳会議で、「米国が制裁を続ける限り、六カ国協議に復帰しない」と、これまでの立場を繰り返しました。
米国は昨年九月、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)に対し、北朝鮮のマネーロンダリング(資金洗浄)に関与したとして、事実上の金融制裁を発動。米政府によると、このほか日本、中国、ベトナム、モンゴル、シンガポールの二十以上の金融機関が、米政府の要請を受け北朝鮮との取引を縮小または停止したといいます。
また米国務省高官は十八日、ワシントンで韓国人記者団に対し、北朝鮮による核実験の可能性が取りざたされていることについて、「私たちは北朝鮮のそうした行動に常に落胆している。(核実験は)非常に挑発的な行動だ。われわれはもちろん、国際社会の構成員が強力に対応するだろう」と語りました。
北朝鮮が協議復帰の姿勢を見せない中、日本は十九日に国連安保理決議を根拠に追加制裁を発動。米政府も追加制裁を検討しています。韓国大統領府の徐柱錫・統一外交安保政策首席は十九日、ラジオ番組で「包括的な取り組み案ができるまで、各国が追加制裁を発動しないと断言するのは難しい」と述べ、北朝鮮に早期の決断を促しました。(面川誠)
六カ国協議共同声明
二〇〇五年九月十九日に採択された六カ国協議共同声明の主な内容は次の通りです。
▽平和的な方法により朝鮮半島の検証可能な非核化を実現する。
▽米国は北朝鮮に対して核兵器または通常兵器による攻撃、侵略を行う意図を持たない。
▽北朝鮮と米国は国交を正常化するための措置をとることを約束した。
▽北朝鮮と日本は日朝平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し、懸案事項を解決、国交を正常化するための措置をとる。
▽朝鮮半島の恒久的な平和体制について協議する。
▽北東アジア地域での安全保障協力を促進するための方策を探求する。
▽これらを段階的に実施していくために、調整された措置をとる。