
2006年7月30日(日)「しんぶん赤旗」
当事者に自制促す
ARF議長声明
北朝鮮・中東問題で
【クアラルンプール=鈴木勝比古】当地で開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)が二十八日の終了後に発表したARF議長声明は、朝鮮半島の問題と中東の緊迫する情勢に多くの部分を割き、北朝鮮やイスラエルなど当事者に最大限の自制を呼びかけました。
北朝鮮の白南淳外相が出席して焦点となった北朝鮮のミサイル発射問題では、「アジア太平洋地域の平和と安全保障に悪影響を及ぼす」と指摘して、今後はかつて約束した「発射の凍結」を守るよう要求しました。
ARFは、北朝鮮と外交関係をもつ多くの国が参加するASEAN諸国と関係諸国が一堂に会する場。そこで北朝鮮にたいする要求が採択されたことで、ミサイル発射を「通常の軍事訓練」とか「自衛の権利」として正当化している北朝鮮の立場が国際的な理解を得られないものであることが改めて示されました。
採択された声明はまた朝鮮半島の非核化についての六カ国協議の共同声明を支持し、すべての関係国に無条件で協議を再開するよう求めました。
中東情勢について声明は、イスラエルのパレスチナとレバノンでの「無差別の度を越した武力行使」を名指しを避けながらきびしく批判。すべての当事者に停戦と公正かつ恒久的で、包括的な和平への努力を呼びかけています。
ミャンマー問題について議長声明は、アウン・サン・スー・チーさんなど拘束された人々の早期釈放とすべての当事者の対話を名指しを避けながら呼びかけました。
議長声明はこのほか、南シナ海での紛争と衝突を防止するASEANと中国による規範宣言の具体化、東南アジア非核兵器地帯条約議定書への核兵器保有国の調印を促す協議の継続をうたっています。
議長声明は「ARFがアジア太平洋の唯一の多国間の対話フォーラム」であることを確認し、「全会一致と不干渉の原則の堅持」のもとに「対話と協力」にもとづいてアジア太平洋地域と世界の諸問題を平和的に解決することを強調しています。
今回のARFにはバングラデシュが初めて参加し、イスラム諸国の比重が増大しました。