
2006年7月17日(月)「しんぶん赤旗」
北朝鮮非難 国連安保理決議
国際社会の知恵発揮した合意
国連安保理は十五日、ミサイル開発計画の全面停止を北朝鮮に求める決議一六九五を全会一致で採択しました。安保理の協議は五日から続けられ、各国が互いに歩み寄る形で合意に達し、国際社会の知恵が発揮されました。
7章明記に反対
安保理の交渉で主要な争点となったのは、「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為」に対して、非軍事的措置(四一条)、軍事的措置(四二条)の制裁措置で対処できると規定する国連憲章第七章(三九―五一条)を法的根拠として明記するかどうかでした。
国連憲章は、武力不行使を原則とし、国際紛争が起きた場合は平和的解決に努力することを各国に義務づけています。しかし、その例外として、(1)安保理で合意した制裁(2)自衛権の行使(3)安保理に許可された一部加盟国による制裁―の軍事的措置に頼ってもよいとしています。それを定めたのが憲章第七章です。
五日に決議案を提出した日本は、北朝鮮への制裁に法的拘束力をもたせるとして、強制措置の前段階である「暫定措置」を規定した憲章四〇条まで持ち出し、「七章」明記に最後までこだわりました。
これに対して常任理事国として拒否権をもつ中ロ両国は、決議に「七章」がある限り、結局は憲章四二条を根拠とした対北朝鮮軍事制裁に道を開く可能性があるとして、「七章」明記にあくまで反対しました。ここでは、「安保理決議違反」を理由に米国が強行したイラク戦争の先例が念頭におかれました。
中国は、北朝鮮の建国以来密接な関係をもつ最大の貿易相手国として、「朝鮮半島の緊張に導くいかなる行為にも反対する」(王国連大使)と繰り返し表明しました。
米国も結束強調
米国は、日本の決議案に賛同しつつも、安保理の一致した対応を重視する態度も示しました。六日の記者会見でブッシュ大統領は、安保理決議採択が北朝鮮にメッセージを送る「一つの道」だとする一方で、「われわれが声を一つにして発言する」ことこそ重要だとし、時間がかかっても国際社会の結束を追求する姿勢を強調しました。
当初、日本の決議案に賛成していた安保理議長国のフランスや英国は十四日、全会一致を優先させる立場から、中国などの立場も考慮し、「七章」を明記せず、「国際の平和と安全を維持する特別な責任の下で行動する」とした調停案を提示。結局、この線で安保理全体が合意に達しました。
(坂口明)