
2006年7月16日(日)「しんぶん赤旗」
米ロ首脳会談
北朝鮮ミサイル憂慮
レバノン攻撃など 外交解決を確認
【サンクトペテルブルク=田川実】ブッシュ米大統領とロシアのプーチン大統領は十五日朝、主要国首脳会議(G8サミット)開幕に先立って会談し、イスラエルのレバノン攻撃、北朝鮮のミサイル発射、イランの核開発などで外交解決を図ると確認しました。核兵器の不拡散、世界での原発建設の支援、核テロとのたたかいに関する共同声明を発表しました。
声明は、「北朝鮮の大陸弾道ミサイル実験を深く憂慮し、発射凍結と六カ国協議への復帰を求める」と明記。一方で、ウラン濃縮、核燃料再処理を放棄するすべての国が「国際原子力機関(IAEA)の積極関与の下で核エネルギーの恩恵を享受できるよう」両国が協力するとしました。
両国は「モスクワ(核弾頭削減)条約の履行により、核戦力を大幅削減し核不拡散条約(NPT)六条の議務を果たす」とも述べました。非核保有国からの軍縮要求を意識したものと言えますが、モスクワ条約は抜け穴が大きく核兵器廃絶にはならないと批判されています。
会談後の記者会見でブッシュ大統領は、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラが「最初にイスラエルを攻撃し、同国兵士を拉致したのが一番の問題」と、イスラエルの軍事行動を擁護。プーチン大統領が「テロや拉致は正当化できないが、他国の領土を侵し、過剰な攻撃もだめだ」と述べたのと対照的でした。
中東情勢はサミット全体会合でも中心議題の一つ。議長のプーチン大統領は「速やかな軍事行動の停止だけでなく、イスラエルの安全保障、パレスチナ国家の創設のための共通の対応を出したい」と語りました。