2004年11月25日(木)「しんぶん赤旗」
自民党旧橋本派(平成研究会)が、日本歯科医師連盟(日歯連)からの一億円を政治資金として届け出なかった一億円ヤミ献金事件で、政治資金規正法違反(不記載)罪に問われた同会元会計責任者滝川俊行被告(55)の初公判が二十四日、東京地裁(岡田雄一裁判長)で開かれ、同被告は起訴事実を認めました。公判では一億円不記載を決めた同派幹部会に元官房長官村岡兼造被告(73)、青木幹雄同党参院議員会長、野中広務元同党幹事長、上杉光弘元官房副長官が参加していたことが明らかになり、派閥ぐるみ犯罪の構図がはっきりしました。
![]() |
事件では、橋本龍太郎元首相、村岡被告ら同派幹部はほぼそろって関与を否定したり、「記憶にない」などとしてきました。今回の検察側冒頭陳述や滝川被告の陳述と政治家側との食い違いは明らかで、今後、国会で証人喚問など徹底した真相究明をすることがいよいよ重要になってきました。
冒頭陳述などによると、一億円は二○○一年七月二日、日歯連前会長臼田貞夫被告(73)らが都内で橋本元首相、青木、野中両氏と会食した際、元首相に小切手で提供。元首相は翌三日、滝川被告に小切手を渡し、同被告が同会名義の口座に入金しました。
滝川被告は〇二年三月、日歯連側から領収書を求められましたが、収支報告書に記載すれば選挙資金に使ったと批判されると考え、村岡被告に相談。〇三年三月、村岡被告、野中、青木、上杉各氏が参加した幹部会で検討した結果、村岡被告が「それでは領収書は出さないことにしよう」と述べ、裏金処理を決定しました。
滝川被告は被告人質問で、不記載を決定した幹部会で上杉氏が「選挙の年だから目立つからなあ」と発言したことも明らかにしました。また、検察側は冒頭陳述で、一億円は、授受後に実施された参院選立候補者の選挙資金や派閥議員への年末のもち代に充てられたことを明らかにしました。
他方、同派の二十億円近い繰越金がほとんどないことや、日歯連の迂回(うかい)献金疑惑についてはふれられず、国会での真相究明が必要なことを改めて浮き彫りにしました。検察側は論告で「国民の政治不信を増大させた」として、禁固十月を求刑。十二月三日に判決が言い渡されます。
一億円ヤミ献金事件 日歯連の前会長臼田貞夫被告らが二○○一年七月二日、都内の高級料亭で自民党旧橋本派(平成研究会)会長だった橋本龍太郎元首相に一億円の小切手を提供。会合には野中広務元同党幹事長、青木幹雄同党参院議員会長も同席していました。
翌三日、会計責任者だった滝川俊行被告は元首相から小切手を渡され、平成研名義の預金口座に入金。○一年分の平成研の収支報告書に一億円の寄付を記載せず、総務相に提出しました。
滝川被告と会長代理だった元官房長官村岡兼造被告が起訴され、野中元幹事長の関与は認めましたが、起訴猶予となりました。橋本元首相と青木会長は嫌疑不十分で不起訴となりました。