2004年9月16日(木)「しんぶん赤旗」
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【ロンドン=西尾正哉】今年四月に八年ぶりに政権復帰したスペインの社会労働党政権が最低賃金を大幅に引き上げ、欧州連合(EU)内部での“順位”を上げていることが明らかになりました。英国の民間研究所「労働調査局」が発行する『職場リポート』九月号が報じました。
それによると、スペインは七月に最低賃金を引き上げました。物価や所得の上昇率に合わせた定例の月額換算で五百三十七ユーロから五百七十二ユーロ(七万七千円)になり、マルタを抜いて八位になりました。〇八年までに、月額換算で七百ユーロまで引き上げる計画です。
リポートは、スペインの社労党政権は「最低所得層の改善のために政治的な決断をした」と指摘します。
スペインの労働組合ナショナルセンター、労働者総同盟(UGT)は「重要な達成だ」と引き上げを歓迎。〇八年までに、最低賃金が平均賃金の六割という目標に近づくだろうと指摘しています。
フランスも七月に最低賃金を上げ、千九十ユーロから千百五十四ユーロ(十五万五千円)になりました。
同リポートによると、EU加盟二十五カ国のうち最低賃金制度があるのは十八カ国です。
英国の最低賃金制度は一九九八年に労働党政権が初めて導入。当初、二十二歳以上は時給三・六ポンドだったのが〇三年十月には四・五ポンド(約九百円)まで引き上げられました。十月からは四・八五ポンドになります。